読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

泣き虫弱虫 諸葛孔明 第壱部 酒見賢一 文春文庫

2009-12-23 17:40:04 | 読んだ
別冊文芸春秋の2002年1月号から連載が始まった。
その後、私のほうは別冊文芸春秋が手に入らなかった(本屋に行っても見つけられなかったりした)ため、何回かは読んだのだが、あきらめていたものである。

酒見賢一の「陋巷に在り」が好きで全13巻すごくおもしろく読んだ。
そして、満を持したかのように「三国志」に挑んだ。

「正統的」であろうと思っていたのである。

しかし、この物語に登場する諸葛孔明は、これまでとは違ったキャラクターになっている。
何しろ、文庫の帯には
『こんな孔明、見たことない!』
と大きくあって、続いて
『神算鬼謀の大軍師?はたまたヤクザ以下の変奇郎?』
とある。

三国志のファンはこの物語を読んで二つに分かれると思う。
一つは、受容派。
この派は更に二つに分かれる。積極的受容派と消極的受容派である。
もう一つは、否定派。
絶対に許せない!イカサマ!ペテン師!孔明様を侮辱している非三国志民!
という絶対否定をなさるに違いない。

で、私は勿論、積極的受容派である。

第壱部は、いわゆる孔明出盧までの、あまりわかられていない部分の孔明が描かれている。
一部の最後は、あの有名な「三顧の礼」である。

何がこれまでの孔明像と違うのか?

著者は、孔明の逸話を史実に照らして検討すると、戦火に油を注ぎこそすれ、平和を実現することはなかった、また戦に勝ったことなど数えるほどしかない。として、後年の北伐(魏との戦い)では4戦4敗しているのに、名宰相、軍略の天才という評価に疑問をあらわしている。
そして「おとなげない男」とまで言い切っているのである。

で、物語では、たとえばチンピラたちに孔明についてこう語らせている。
「自分たちはごろつきであり、決して人様に威張れるような者ではないが、孔明ほど人でなしではない」

また、この物語の大きな特徴は、著者が登場人物に対し或いは歴史的な出来事について「ツッコミ」を入れていることである。
というか「ツッコミ」だらけであるといっても過言ではない。(「・・・過言ではない」という表現は過言なのであるからそのあたりはご容赦願いたい)

興味のある方はゼヒ読んでもらいたい。
バカ受け、大笑いする人は、仲間である。ぜひご一報を願う。

そのうち、泣き虫弱虫諸葛孔明オフ会、なんてできるかもしれない、中毒になりそうな物語である。

すでに、第弐部が単行本で出ている。文庫派の私だが・・・迷ってしまう。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 警察庁から来た男 佐々木譲... | トップ | 白骨の語り部-作家六波羅一輝... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます (嘉壽家堂)
2010-05-06 21:40:30
酒見賢一の小説はおもしろいです。

陋巷に在りは、新たな孔子に出会ったようで、そして泣き虫弱虫は別人のような孔明に出会ったようです。

泣き虫弱虫はどこまでそしていつまで続くのか楽しみです。
返信する
面白い (hon-yomi)
2010-05-05 22:40:52
こんにちは。
陋巷に在り面白いですよね。私は、たぶん5回ぐらいは読み返しました。

昔「雲のように風のように」というアニメがありましたが、ああいう感じで陋巷に在りもアニメ化したら面白いんじゃないかなって思っています。

泣き虫弱虫 諸葛孔明 第壱部 先日購入しまして読んでます。やっぱり面白いです。語り口がなんともいえません。
返信する

コメントを投稿

読んだ」カテゴリの最新記事