読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

私家版 椿説弓張月 平岩弓枝 新潮文庫

2017-08-21 20:32:52 | 読んだ


椿説弓張月(ちんせつ ゆみはりづき)である。
小学生のころ、この物語が好きで、よく読んでいた。
鎮西八郎為朝、礫の紀平治をはじめ、為朝方の勇ましいことすがすがしいことがよかった。
でも、なぜかいつも負けていたんだね。

原作は滝沢馬琴、それを平岩弓枝が原作を圧縮し加工したものだ(と解説者島内景二が言っている)

さて、原作の正式名称は「鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月」というのだそうだ。

主人公は、源頼朝や義経の叔父「源為朝」、頼朝、義経の父が嫡男で義朝、為朝は八男であるので八郎為朝。
義朝、為朝の父は為義である。

ちなみに、義経は九郎義経と名乗ったが、実は八男であるが、叔父八郎為朝と同じ八郎を名乗ることは恐れ多い、ということで九郎にしたという説があります。

さて、為朝は幼少のころから「弓の上手」といわれ、膂力胆力知力とまあありとあらゆる「力」に恵まれていた。

その為朝というか源氏と平氏が、朝廷の争いごとに巻き込まれ、為朝の勇名が上がるにつれそれを利用しようとする者や排除しようとする者が増え、父為義は為朝に一時都を離れ九州で身を隠すように指示した。

指示に従って為朝は九州に赴き、紆余曲折を経て、肥後の国で阿蘇忠国の娘白縫と結婚し、更には九州を平定する。
このことから「鎮西八郎」となったのである。

朝廷からの指示により都に戻ったところ、保元の乱に巻き込まれ、崇徳上皇側についた為義、為朝は負け、後白河天皇側についた源義朝、平清盛は勝った。

このことにより為朝は伊豆大島に流刑になるが、伊豆七島を実質支配する。そして追討を受ける。

とまあ、ここまでがどうも正史らしいのだが、源義経が平泉から蝦夷そしてモンゴルへ行きジンギスカンになったような、物語がこの「椿説弓張月」なのである。

為朝は伊豆大島から沖縄に行き、為朝の息子である舜天丸が琉球王朝の初代となる、というのが大筋。

この壮大な物語のために、ありとあらゆるところに伏線が張られ、奇想天外な出来事がおこる。
何よりもこの物語は「勧善懲悪」であるから、主人公たちが災難にあり苦しんでも最後には勝つ。

このあたりが、ご都合主義と言えばそうなのだが、でもやっぱり主人公が勝つに越したことはない。
非常に爽快感がある。
それに、敵役は本当に悪人なので、同情する余地もない。

こういう物語も時にはいいものだ。

「勧善懲悪」モノはも一つのジャンルとして伝えられてほしいものだ。

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