読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

海将伝 小説島村速雄  中村彰彦 文春文庫

2012-06-07 00:13:40 | 読んだ
島村速雄については、なんとなく知っていた。

日本海海戦に関する小説や読物などを読むと、わき役として登場しているが、それほど目立ってはいないので、印象が薄い、のである。

で、この物語を読むと島村速雄は印象が薄くなることを望んでいたようだ。

物語は、島村速雄が「大尉」のときから始まる。軍艦「高尾」の当直将校、35歳。
その時の挿話があり、そして生い立ちが語られる。

島村速雄は、土佐の郷士出身、上京し海軍兵学寮に入る。

成績優秀、沈着冷静。

明治時代、或いは昭和初期のころまでは、年若くして「大人」の人がいる。
しかもこの「大人」は現代の大人よりずっとできている。
そういう日本の風土を、こういう歴史物を読むとわかる。

『ああ、こういう人になりたい』
と思うのは「真っ直ぐで損得を考えない人」である。

島村速雄もそういう人である。

彼は、36歳にして常備艦隊の参謀となり、艦隊戦術について本格的な研究を開始するのである。

そして、日清戦争で単縦陣戦法で、東洋一の艦隊といわれた清国の艦隊を撃滅する。

その後、軍令部や巡洋艦の艦長や教育部長などを経て、日露戦争前に連合艦隊参謀長となる。

そして、あの日本海海戦へとなる。

日本海海戦当時、島村は第2艦隊第2戦隊司令官となっており、裏方の仕事についていた。しかし、日本海海戦の勝利を得る戦術、準備、支度の多くは彼の仕事による。

明治時代の優秀な人たちは、スマートである。合理的な考え方と武士道がうまく融合していたのではないかと思われる。
だから、明治時代、日清、日露と勝利したのではないか。

明治時代の日本人が近代日本の初代だとすると、その後2代目で驕り、3代目で日本をつぶしてしまった。

そして太平洋戦争後の日本人は、更にどうかなってしまったのではないだろうか。

というわけで、次は「闘将伝-小説 立見尚文-」を読んでみよう。
「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岳<ガク> 最終回 石塚真... | トップ | 湯布院・産土神(うぶすなが... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読んだ」カテゴリの最新記事