読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

コーヒー、もう一杯 第5話 平安寿子 小説新潮3月号

2011-02-27 10:16:46 | 読んだ
昨年の3月号から小説新潮で、3ヶ月ごとに発表されている物語である。

主人公の未来は飲食店の開店のコンサルティング会社に勤めていたが、イロイロありまして、会社を辞め、借金をして、『ひなたカフェ』を開いた。

前作の第4話で、いよいよ開店をしたのであったが、これが予想に反してというか自らの希望的観測に反して客が入らない。

開店までの間は、コンサルティングの実績やら、他の店を見てまわったり、経験者からの話を聞いたりして、理想と現実の違いをある程度認識していたのであるが、いざ開店してみると、その隔たりがあまりにも大きいことに改めて気づくのであった。

第5話は、5月にオープンして初めての年末年始を迎え、昨年までのまあ「お気楽な」正月とは違うことに、くよくよと悔やんでみたり、今までは気にも留めなかったことが大きなことになっている事に気づいたり、これからどうしようかと弱気になったりするのである。

客を呼ぶために何をすべきなのか?
という大きな命題は、客商売をする上でもっとも慣用なことなのかもしれない。

そして客を呼ぶと言うことは自分の理想の形と違うことが多く、自分の理想と現実をどう折り合いをつけるのか、ということがまた一つの課題なのではないのか。

この理想と現実の折り合いというのは、客商売だけでなく生きていくうえでいつも発生するものだと思う。

で、折り合いがつかないのに傍から見ればうまくいっている場合もあるし、折り合いがついているけれど世間的には失敗なんてこともある。

今、主人公の未来はそのあたりで煮詰まっている。
最初、カフェをやろうとしたときの理想から、開店をする間までにそうとう折り合いをつけてきた。
つまり理想をかなえるには「金」が足りなかった。
そして、今はせっかく折り合いをつけたのにそれが足を引っ張っていることになっていて、やればやるほど「どつぼにはまる」形になりかけているのだ。

でも、多分成功してきている人たちの多くはそういう経験を経てきているんだと思うのだが・・・

平安寿子の描く女性たちは非常に魅力的だ。
といっても、少し離れたところからお付き合いをしたい。
それは彼女達がドーンと人に頼ることをしないからではないか、と思う。

時には、何もかも全てお任せしてもいいのではないかと・・・
お膳立てとかに乗るのも一つの方法だと思うのだが、あまりにも真面目で一生懸命すぎて痛々しい場合がある。

といっても、その真面目で一生懸命なところが物語りになるし魅力的でもあるのだが。

物語の主人公はこれからどうなっていくのか、大いに興味深いものである。
次は6月号あたり。ものすごく楽しみである。

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