読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

トラぺジウム 高山一実 KADOKAWA

2019-01-25 10:48:56 | 読んだ
私が、乃木坂46のファンであることを知っている人は少ないが確実に存在する。
しかし、『推しメン』が<かずみん>こと高山一実であることを知っている人はまずいない。
なぜなら、乃木坂46でそこまで突っ込んで話をする人がいないからである。

そもそも、私は中学時代から「アイドル好き」で、いろいろ注目をしてきている。
近年はAKB48にもはまっていたのであるが、何しろあそこは系列を含めるとメンバーが多すぎる。
目移りする、というよりは、誰が誰だかわからなくなってしまった。
そこに登場したのが乃木坂46であって・・・・

まあ、私の場合はテレビとかユーチューブとか雑誌とかでみるだけであって、そんなにコアなファンではないのであるが・・・

アイドルの話は、とてもとても長くなるので、また後日することとして、

今回は推しメン高山一実の小説「トラぺジウム」である。



表紙の帯には
『現役トップアイドルが描く』
『アイドルを目指す女の子の10年間」
とあり、小説家中村文則の「これは一つの青春の終わりから、次の青春へ向かう物語」というメッセージ。



帯の裏側には、小説家羽田圭介の「時折あらわれる、鋭い“いじわる”表現が良い」というメッセージがある。

ちなみにこの本はアマゾンで予約して購入しました。

12月24日に届いて、まあ2~3日で読み終わるだろうと思っていたのだが、なんと半月ほどかかってしまった。

その原因は「読みづらさ」にあるんだと思う。
近頃の若い子が書いている文章なので、なんとなく違和感がある。

それはまさに「ジェネレーションギャップ」であった。そして「アメイジング!」

サンドウィッチマンの「ちょっと何言っているかわからない」状態で、ページが進まなかった。

『まるで純金インゴットのような光を放つ彼女』『5畳に凝縮された部屋』『母親の買ってきた服をそのまま着ているようなコーディネートは好印象である』『角膜レベルでの変態』

なんだ?何故だ?
ということで、なかなか前に進まなかった。

私はディテールや比喩などにはあまり反応しないタイプなのであるが、今回はそれに引っかかってしまった。

でも、中1日とか2日とかで読んでみて(ときどき前に遡って)、徐々に、そのペースというか形態というかやり方に慣れ始めてきた。

もしかしたらジェネレーションギャップを埋めることができるのか?
ポジピース!

『理想は一人で描くもので、期待は他者に向けてするものだ。もう期待することはやめよう。』
『見上げると空が青黒い。コケの生えた青いプールサイドと茶色い水は今の自分にふさわしい。』

主人公「東ゆう」(あずまゆう)にそう言われると応援したくなるではないか。

さて、この物語は、主人公「東ゆう」がアイドルをめざして、自分で計画を立て実行していく物語である。

自分を含めて4人のユニットを結成するところから始まり、そのユニットをどのようにしてアイドル化していくかがつづられている。

その間には、いつもの挫折があり、いつもの成功があり、いつもの失敗がある。
「いくつも」ではなく「いつもの」という、ごくごくあるだろうというレベルである。
つまり、ストーリー的には『まあ、なんというか』のレベルなのであるが、主人公の気持ちを語るところが通常の成功、失敗、挫折と違う。

もしかしらもう古くなっているのかもしれないが、私から見れば、今の考え方、今の言葉、今の行動力で主人公は進んでいく。

私はいつも若い人に対して「その自信はどこから来るのか」「自分がよければ他人もいいのか」なんで考えていたのだが、この小説を読むと、根っこの部分では以前と変わらないということがわかる。

いつの世のことでもあるが、やっぱり「生きづらい世の中」というのは普遍的なのであり、何が生きづらいのかということも普遍なのである。

それにしても、読み終わったときに感じた「ああ、おわり?」という気持ちは、物語の中から解き放たれた安堵だったのか、もうちょっと居てもいいかなという心のころりだったのか、自分でもよくわからない気持ちだった。



コメント
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