読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

転迷-隠蔽捜査4- 今野敏 小説新潮5月号

2011-05-07 22:57:20 | 読んだ
平成22年6月号から連載され丁度1年のたった5月号(つまり12回)で最終回となった。

隠蔽捜査シリーズの第4弾。
隠蔽捜査シリーズは、警察庁のキャリア官僚で独特のというか正論を述べ正論のままに行動する竜崎伸也を主人公とした小説である。

竜崎は正論を述べ正論のままに行動したことにより、エリートコースからはずれ今は大森署の署長となっている。
しかし、そもそもエリートコースを歩いていた人間であるから、先ず「位」というか「階級」が高い。
従ってそんじょそこいらの署長とは違う。

いわゆる「所轄」として軽く見られている警察署ではあるが、大森署はちょっと違う。

その大森署管内で、事件が二つ発生する。
一つは殺人事件、もう一つはひき逃げ事件である。

この事件の捜査本部が大森署におかれ、幼馴染の刑事部長の伊丹と交通部長の柿本がそれぞれの事件の責任者である。

通常であれば、警視庁の刑事部長と交通部長であれば所轄の警察署長は畏れ多くてかしこまっているだけなのであるが、刑事部長とはオレ・オマエの仲(竜崎は伊丹の事をあまり快く思っていないのがおかしいのだが)だし、なにしろ正論なので向かうところに遠慮無しである。

ところで、この二つの事件は外務省と厚生労働省を巻き込み国際的事件に発展してくる。
で、この二つの省と、警察庁と警視庁、更には警視庁内の刑事部と交通部と大森署の関係を整理しながらでなければ、解決への道はなかった。

そこで、正論だけの竜崎が調整するのである。
このあたりが、事件の解決というか謎をとくよりも面白い。

竜崎がなぜこの難しい調整を行うこととなったのかといえば、いつも竜崎にギャフンといわされている伊丹が柿本交通部長と結託して、任せてしまったからである。

しかもその任せ方が正論派の竜崎が望む条件を全て呑むことであったから面白い。
なにしろ、警察署長の指揮下に刑事部長も交通部長も入るのだから・・・

というわけで、このシリーズは謎解きよりも、竜崎がどのように行動し、その行動に面食らう警察内部の人・外部の人のアタフタぶりが読みどころなのかもしれない。

隠蔽捜査外伝とも言うべき伊丹刑事部長を主人公とした物語も面白い。
今最も気に入っている警察小説である。

追伸
 竜崎のようになれれば面白いだろうと思うが、そうはいかないのが世の中なのである。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする