読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

お美味しんぼ -99- 究極の料理人“秋編”“冬編” 作:雁屋哲 画:花咲アキラ

2007-07-01 23:10:34 | 読んだ
とうとう99巻になったのである。

今回のメインとなった「究極の料理人“秋編”“冬編”」はそれぞれ3話づつある。
これは、山岡の盟友・岡星がうつ病になったのを、京料理の西父子の料理を食べさせ、なんとかうつ病から救い出そうというのが、話の柱である。

とはいえ、やはりメインは料理。
だが、どう説明されても作り方から描かれていても、想像がつかない料理なのである。そしてたぶんこれらの料理はいわゆる「高級」なものである。

お美味しんぼ、が社会に与えた影響というのは大きい。
現代の食、というものに対する警鐘から始まり、食文化を後世に残す、というような展開である。
そして、本物を自宅でどのように食べるか、ということもあった。

ところが、いつの頃からか、いわゆる庶民性みたいなものがなくなって、高級志向になってきたような気がする。
高級志向がいけないというわけではないが「なんだかなあ」という気持ちもある。

で、このお美味んぼの影響を社会は確かに受けているのか?
ホンモノ志向、自然志向は社会にどれだけ溶け込んでいるのか?

近頃起きたなんとかミートの事件などは、本物志向を逆手に取ったような手法である。
そしてあの社長がいみじくも言ったように、安いもの志向、というのが販売店や消費者にあることも事実である。

本当にいいものを安く仕上げたいなら、自らが仕入れて作るしかない。
しかし、現代の人は、食に対する欲求が深いのと同時に、自分では作らないし「早さ」片一方で求めている。

いつでもいつでも本物志向で自然志向で「手作り」の料理を食べられるわけではないことは重々承知である。
世の中、お美味んぼのような食を志向する人たちと、安くて早くできるものを食べている人たちと、両極化しているのではないだろうか。

我が家でも近頃のカレーライスはインスタント系であり、弁当のおかずの鯖の味噌煮も出来合いのものである。

近頃、お美味しんぼは、ここまでつきあったのだから、という気持ちで読んでいたのだが、今回はちょいと考えてしまった。

もっとも今回の第1話「パンケーキの調べ」とか第3話「病院食にも喜びを」(前編・後編)は、初期の頃の思想が継続されているような感じがして、心地よく読むことができた。

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