尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

クラス替えはどうするのか①ーまずは「成績」で分けてみる

2024年04月23日 22時23分16秒 |  〃 (教育問題一般)
 新書本の感想だとどうしても対象テーマが堅くなる。書く方も飽きて来たので、違うテーマで少し。ブログ開設からしばらくの間は、教育問題を書くことが多かった。教育行政への怒りが書くエネルギーとなっていたわけ。自分で読み直すと、案外いいこと書いてるじゃないかと思ったりする。もう教員を辞めてから長くなって、「教育」について書くなら早いうちにと思う気持ちがある。(なお「教育政策」に関しては、国民誰もが発言して良いから別扱いになる。)

 今回は「クラス替えはどうするのか」を書いてみたい。某県の中学校で、一端発表された新クラスが撤回され、クラス替えがやり直しになったとか。これは極めて珍しいケースだと思うが、今までにあったとしてもニュースになってないのかもしれない。新学期になって、突然新しい転入生が来ることになって、その一人のために基準を上回って1クラス増えたという話なら聞いたことがある。しかし、その場合も春休み中(生徒への発表前)にやり直したという話だったと思う。

 自分もかつて中学や高校の勤務時に、何回かクラス分けを経験したものである。もちろん自分が通っていた時代にもあった。昔の小中学校では結構「クラス替えなし」(担任ごと持ち上がり)が多かったと思う。自分の小学校時代は、3年、5年になるときと2回しかクラス替えがなかった。中学は2年になった時だけだった。(高校は毎年。)しかし、自分が教員になったときは、「毎年クラス替え」が一般的になっていた。校内研修で誰かエラい人が来て、「担任と合わない生徒もいるから、毎年シャッフルする必要がある」と言っていたと記憶している。

 高校の場合は、特に一年生の時は「芸術選択」(音楽、美術、書道)で分けるのが普通だ。また専門高校(特に工業高校)の場合、少人数の学科が多くもともと卒業まで1クラスという学校も多い。進学校でも3年間同じクラスという例があるようだ。自分の経験では、夜間定時制高校では「単学級」校だったから、クラス替えをやれなかった。また単位制高校では授業がひとりひとり別々の時間割になる一方、ホームルームは最後まで固定だった。つまり自分は21世紀になってからはクラス替えを経験してないのである。

 だから自分の経験はもう四半世紀以上前のことになるが、「クラス替え」について書いてるブログなどもあって、今もほぼ同じだなと思った。以下は主に中学3年生を想定して書く。今は私立や公立中高一貫校へ行く中学生も多いだろう。また「学校選択制」などもあるが、それでも公立中学は一応「地域の生徒を幅広く集める」場所だろう。そうなると、成績を上中下で言えば、「中」が一番多い「正規分布」に近づくはずである。クラス替えの基本は、各クラスの成績を「正規分布」に近づけることである。

 中高の学習や部活動は、結局は「進路決定」に結びついていく。現実の進路決定と成績は完全にリンクはしないが、一応「成績上位生徒の方が進路決定がうまくいく」蓋然性が高い。また中学では「学習系行事」も多いし(スペリング・コンテストなど)、今は全国学力テストもある。また定期テストでは「クラス平均」を出すことが多い。最初から低学力生徒が多かったら、学習集団として成り立たないだろう。ということで、まず最初にやることは「成績順に分けてみる」ことである。

 「成績」といっても何を基準にするか。昔は「業者テスト」を校内で行って、それを基準にしていたことが多いと思う。ある時から使えなくなって、今は「評定合計」が多いのかと思う。つまり「5」「4」など各教科の成績を足した数字である。それでも何教科を対象にするか、1年の成績を加えるかなどヴァリエーションがあるだろう。それを全員分並べて、高い方から並べていく。4クラスだとすると、「1位から4位まで」を第1グループとして、「5位から8位まで」の第2グループは折り返して並べる。つまり5位を4位の下に置き、そこから6位、7位、8位と置いて、次はまた折り返していく。それを繰り返すわけである。
(4クラスの場合)
 今はパソコンですぐ出来ることも、昔は手作業で出していた。それでも80年代半ばになると、パソコンに強い教員が駆使してすぐに作っていたかと思う。ところで、今は男女混合名簿の場合が多いと思うが、クラス替えのデータは男女別に作るだろう。体育の授業は性別で行うからである。(「技術・家庭」は昔は男女別だったが、今は共通カリキュラムになってるという話。)この成績順名簿がまず最初に作る基本データで、いろいろな配慮事項によって新しいクラスが作られていく。

 案外長くなってしまったので、一端ここで切って「様々な配慮」でクラスが作られていくところは次回に回したい。ところで、この「クラス替え」は誰が担当するのかという問題がある。それは「学年団」の仕事だが、場合によって担任教員が新年度に変わることがある。特に2年生になるときは、異動する教員がいるものだ。異動内示、新校務分掌提示が終わって、その時点の旧担任団が「成績順データ」を作る。おおよその配慮事項を考慮した「原案」を春休み中には完成させる。最終的には4月初めに「新担任団」の学年会議で、持ちクラスを含めて決定するという流れが普通だろう。

 今後は少子化で1クラスの学年、あるいはせいぜい2クラスという学年も多くなると思う。そうなるとクラス替えが出来ない。2クラスあれば替えられるが、「こっちか、あっちか」という問題になる。そこも含めて、クラス替えがうまく行くかどうか、そこに学年団の力量が見えてくると思っている。

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