尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

長すぎた安倍政権ー安倍政権総括①

2020年09月18日 22時16分19秒 |  〃  (安倍政権論)
 9月16日に第4次安倍内閣が総辞職して、直ちに菅義偉内閣が成立した。菅内閣の今後を考えることも大切だけど、本当はまずは「安倍政権の総括」をしっかりと行わないといけない。そう思いつつ時間が経ってしまったのは、書き始めると何回も必要だし、少しじっくり考える時間がいると思ったからだ。そろそろ書かないと自分も関心が薄れてしまうので、今日から何回か。

 安倍首相は通算で3188日間首相に在任し、第2位の桂太郎の2866日間を圧倒している。桂太郎は明治後期に西園寺公望と交互に首相を担当し、「桂園時代」と呼ばれる。だから桂の「連続在任日数」では短くて、今までの連続首相在任記録は佐藤栄作2798日だった。安倍首相は2012年12月の第2次安倍内閣発足以来、第3次、第4次と務め、結局2822日間連続して在任した。8月24日には佐藤内閣の記録を抜いて史上1位となった。第1次内閣が短期で終わったため、復活後にこれほど続くと予想した人はいなかっただろう。
(左から安倍、桂、佐藤、伊藤博文)
 僕はこの日数は「長すぎた」と思う。「長くてもいいじゃないか」という考え方もあるだろう。首相の任期は憲法や法律で決められてはいない。世界を見回しても、大統領制の国では大統領の任期は決められているが、議院内閣制の国では首相の任期は決まってない。大統領だとアメリカは1期4年で2回まで、韓国は1期5年で再任なし、ロシアは2008年までは1期4年で2回までだったが、現在は1期6年、2回まで。しかし戦後ドイツでは西ドイツ時代を通して、たった8人しか首相がいない。現在のメルケル首相も2005年11月から連続在任中である。

 議院内閣制では国会が首相を指名する。国会議員の任期は憲法で決まっているわけで、数年ごとに必ず選挙が行われる。選挙で勝った党の党首が首相になるのだから、首相の人気が下がれば政党の方で首相交代の動きが出てくる。「政党」は私的な集まりだから、代表の任期をどう決めるかは法律で決めるべきものじゃない。そういうことなんだろうけど、しかし安倍首相復帰時にはは自民党総裁1期3年、2回までだった。それを2017年に「連続3回まで」と変更して「現任者から適用」とした。自分でルールを変えて自分から適用したわけである。
(2018年総裁選で石破氏に勝利)
 僕はそのことに引っかかりを感じているのである。当初の規定通りだったら、安倍政権は2018年9月までだった。そうなると「東京五輪」や「天皇交代」を前に退任することになる。それがやはり本人には残念だったのだろう。選挙でも勝っていたから、二階幹事長を中心に「安倍の次も安倍」などという方針が出てきた。そして「安倍3選」が可能になった。

 国民が支持するならそれでいいわけだけど、僕が引っ掛かるのはこれでは中国やロシアと同じではないかと思うからだ。中国主席は「1期5年、2回まで」と規定されていたが、2018年の憲法改正で無制限となった。恐らく現任の習近平主席から適用されるのだろうが、自民党政権はそれを批判できない。「日本はルールを守る国」というイメージを自ら壊してしまった。中国や韓国を「ルールを守らない」と安倍政権は批判するが、その「道徳的根拠」を自ら手放してしまった。

 さらに安倍首相が連続在任記録を続けている間、同じように「副首相連続在任記録」も「官房長官連続在任記録」も最長を更新し続けた。安倍首相を「愛国者」として賞賛する保守系の人が結構いるけれど、「愛国」の定義次第ではあるけれど、個人的事情を国家より優先する人は「愛国者」ではないだろう。僕にはどうしても解せないないんだけど、麻生太郎氏はなぜずっと副首相兼財務相兼金融相を担当し続けたのか。あれほど「失言」「暴言」を続けたあげく、公文書改ざん問題に事務次官セクハラ問題が重なった時はさすがに辞任すると僕は思った。

 しかし安倍首相は麻生氏の存在が必要なんだとかで、ずっと副首相を続けることになった。しかし、それなら「自民党副総裁」など党の要職で処遇すればいいのであって、「国家リーダー」としては「泣いて馬謖を斬る」ことが出来ないと困る。安倍政権のもとで「人治」になってしまった。これでは「日本の中国化」とみなされてもやむを得ないのではないか。そんな安倍政権を「反中国」らしき人々が「愛国者」ともてはやすのが僕には理解出来ない。
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