尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

コロナ「第三波」をどう考えたらいいのか

2020年12月17日 22時56分32秒 |  〃 (新型コロナウイルス問題)
 新型コロナウイルスの感染者増が止まらない。12月17日には、東京で「822人」という「過去最多」を大幅に更新する人数となった。日本各地で毎日のように「過去最多」を更新し続けている。一体この事態をどう考えればいいのだろうか。ここしばらく「新型コロナウイルス問題」については何も書かなかった。政府の政策について書いたことはあるが、ウイルス感染の広がりそのものに関しては書いていない。僕には全然判らないので書くことがないからだ。しかし、ここまでの事態になったので、判らないなりにそのことを書いておきたい。
(東京で822人)
 この事態は「第三波」とみなされている。夏に「第二波」があったということを前提にしている。確かに感染者数のグラフを見れば、山が3つあるというのが確認できる。しかし、一番重要な「死者数」に関しては、第一波の方が多かった。この死者数が第二波で激増しなかったことが、ある種の「油断」につながったのは間違いない。

 この1ヶ月でどのくらい増えたかを確認しておきたい。11月15日付の新聞を見ると、国内での確認感染者数は「11万7145人」となっている。前日から1731人が増加していて、3日連続で最多となったと書いてある。死者数は「1888人」である。今度は12月15日付の新聞を見てみると、感染者数は「18万2230人」になっている。「6万5085人」の増加である。死者数は「2649人」である。増加数は「761人」になる。この死者数は現時点で「2754人」で、2日で100人以上増えている。
(11月までの感染者数グラフ)
 感染、発症、重症化、死亡と段階が進むにはタイムラグ(時間差)がある。今後死者数の激増が強く懸念される。それにしても、感染者がたった1ヶ月で5割も増えたことには驚いてしまう。年末年始にかけて、重症化する患者が増えて「医療崩壊」に近い状況が起きる可能性が高い。
(重症者数の推移、10月から12月)
 日本だけでなく、規模はそれぞれ異なるものの、アメリカ、ヨーロッパ諸国、韓国などでも同じく感染者増が報告されている。その意味では「季節要因」、つまり冬になって気候が寒冷になって「風邪を引きやすい季節」になったことが背景にあるのは間違いないだろう。東京では雨がほとんど降らず乾燥が進み、紫外線も弱くなっているので、それらもウイルス蔓延の原因だろう。

 また「ウイルスの変異」も恐らくあるだろう。コロナウイルスは特に変異が激しく、ダイヤモンド・プリンセス号の中でさえ変異が起こったというのだから、今後もどんどん変容していくだろう。日本でどのような変異があったか、なかったかは判らないけれど、より感染しやすいウイルスが登場したのかもしれない。特に感染が広がっている欧米との行き来はほとんど無いのだから、最近近隣アジア諸国との往来が少し緩和されたが今回は「外国からの感染」は考えにくい。

 「PCR検査」の数が春頃に比べて大きく増えているから、その結果陽性患者が増えているという指摘もあるがそれは本質的な原因ではないだろう。そうなると、やはり「社会的要因」が大きいと思う。特に「若年層に緩みがある」という声が高い。ただし、若年層には重症化リスクがほとんどないということが判っている。ゼロとは言えないものの、死亡に至るケースは他の疾患がある場合を除けば、ほぼ考えられないと思う。それを考えると、若い層がコロナを恐れず会食や旅行をしたとしても、病気に関するエビデンスから「問題ない」とも考えられる。

 過去にはインフルエンザ流行が報道されていても、多くの人はマスクもせずに忘年会に出掛けたり、ライブハウスに行ったりしていた。12月にはベートーヴェンの「第九」で合唱していた人も多いだろう。インフルエンザで毎年数千人が亡くなっていたことを考えれば、「新型コロナウイルスもそれほど恐れるべきではない」というのも一理あると思う。だがインフルエンザは検査もすぐ出来るし、治療法も確立されている。今度の新型コロナウイルスは未だに治療法が確立していない。急激に悪化して死亡する事態も起こっている。じゃあ、どうすればいいのか。

 僕は何より「会食」が問題ではないかと思う。医者が会食してクラスターが発生したりしている。やはり「やる人はやる」のである。夜の飲み会でも、風俗産業でも、開いていれば「行く人は行く」のである。そしてやがて若年層の感染は高齢層にも広がってしまう。無症状の段階でも感染力があるというウイルスなんだから、たちが悪い。完全に止めてしまうと「倒産」や「失業」が激増してしまう。だが税金を使って「会食を奨励する」政策を冬が来る直前に始めたことは間違っていたのではないだろうか。「Go To イート」は飲食業支援という以上に「デジタル化推進策」だったのではないだろうか。
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