尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「コロナ時代」とは何だったのかー新年度から一般医療に移行

2024年03月30日 22時08分11秒 |  〃 (新型コロナウイルス問題)
 「新型コロナウイルス」に全世界が翻弄されていたのは、たった4年前のことである。2020年の今頃は突然の学校休校で大騒ぎになっていた。2023年5月の連休明けから感染症法上の位置づけが「5類」に移行し、感染者の全数把握が行われなくなった。その前までは毎日毎日の新規感染者数が日々の大きなニュースになっていた。5類に移行した後でも、特に大きな問題は起きなかった。今では何となく「もう終わった問題」に感じている人が多いだろう。

 そして、2024年4月からは、感染者の医療は(普通の病気と同様に)自己負担が発生するようになる。(今までは全額国庫負担。)ワクチン接種もインフルエンザ等のワクチンと同様に自己負担となる。(高齢者等への配慮はあると思うが。)最後の週末に「駆け込み接種」に訪れている人も多いとか。2020年の「流行語」だった「三密」も、今ではすぐに全部言える人は少ないんじゃないだろうか。自分もそうなので、検索してみたら「密閉・密集・密接」だった。忘れるのは早い。

 もちろん、コロナウイルスそのものは今も当然存在し、新たに感染する人は多い。3月29日に厚労省は定点医療機関からの新規感染者数は計2万5727人だったと発表した。(東京新聞3月30日付。)これは前週比0.85倍だという。1医療機関あたりの感染者数は、東京や大阪が3人台なのに対し、秋田が10人を越えるなど比較的東北地方に多いらしい。今でも毎週2万5千人が新たに感染しているのである。だけど、社会が不安感に満ちることはない。この間感染した人も増えてきたが、まあ「風邪」のような感じで軽快した人が多い。今では過剰に心配する人はいないだろう。

 コロナウイルスの専門家会合も解散したという。2024年4月をもって、「新型コロナウイルスの時代」は完全に終了すると言っても良いだろう。4年前の夏は中止せざるを得なかった高校野球も、春の選抜大会では声出し応援も可能になって開催されている。こうなると、世の中の人々は「あの頃の恐怖」を全く忘れたのかと逆にちょっと心配だ。あの時代は一体何だったのか。そして、そこから学ぶべきこと、考えるべきことは何か。例えば内閣や国会で、総括する動きはあるのだろうか。あるいはマスコミや医療関係者もきちんと検証しているのか。もう忘れてしまっても良いという問題じゃないだろう。
(平均寿命の推移)
 日本では2023年5月までに、約6万人の死者があったという。当初は「自粛」で他の感染症も減り死者が減少したが、翌年以降は高齢者の「フレイル」(衰弱)が進行し、死者が増大した。結果的にずっと伸びてきた(東日本大震災以後)の平均寿命が下がる現象が起きた。「コロナ期」に予想以上に少子化が進行したのも、自粛やテレワークの影響が大きいと思われる。その影響は今後もずっと続くわけで、日本社会に大きな影響を与えた大事件だった。忘れてよい問題ではなく、多くの組織で記録を保存する必要がある。公立学校など職員が異動する職場では、この間の取り組み状況が廃棄されてしまう可能性がある。

 僕の見るところでは、コロナの影響は職業や生活環境によって大きく違ったと思う。医療関係者新規開業したばかりの飲食店などが一番大変だったのではないか。自分の住んでいるところでも、ずいぶん店がなくなった。もともと回転が早い店が多いのだが、出来たばかりの店がコロナで閉店してしまったのは借金が返せないのではないかと心配になる。学校や福祉施設なども大変だっただろうが、基本的には「言われたとおりにやって、感染を防ぐ」以外に方法がない。普通の会社はテレワークが多かったようだが、結局一段落すると元に戻ったのだろうか。いや、労働力は結局完全には戻っていないのではないか。

 国全体で言えば、「緊急事態」に対応する専門部署が必要だと、大災害などが起きるたびに言われるが結局何も変わらないようである。何事も「その場しのぎ」という政治文化が根づいているのである。これほどの規模のパンデミックは、100年間起きないかも知れない。だが、SARSなどを考えると「10年に一度は中程度の新感染症の流行がある」と考えるべきだろう。その間に大地震も1~2回程度はある。集中豪雨などはほぼ毎年起きる。またテロ事件なども起きないとは言えない。やはり「常設機関」が必要だと僕は思っている。

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