尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

整合性なきコロナ対策の末にー「分科会」で政府方針が一変

2021年05月17日 22時42分20秒 |  〃 (新型コロナウイルス問題)
 新型コロナウイルス問題について、あまり書いてない。現在、東京都には「緊急事態宣言」が出されているけれど、自分の日常生活はあまり変わっていない。良く行く小さな映画館は上映を継続しているから。寄席が最初は開けていて、そのうち閉まったことは前に書いた。しかし、12日から客席を制限して再開されている。同日からプロ野球大相撲も観客を入れているし、歌舞伎ミュージカルも再開した。しかし、TOHOシネマズなどの大規模映画館は閉まっている。デパートは少し売り場を再開したらしいが、国立博物館国立美術館は相変わらず閉まっている。

 この実情に「整合性」はあるのかと多くの人が言っている。僕もそう思っているが、当面美術館に行かなくてもいいやと思う。そもそも東京都に「緊急事態宣言」を出すかどうかもなかなか決まらなかった。「まん延防止重点措置」の効果を見たいなどと言っていたが、結局4月25日から5月11日までの期間で緊急事態宣言が出された。連休の人出を抑える必要があると言っていたが、近県は「まん延防止」に止まったので、出掛ける人もいたようだ。そもそも5月11日までというのは、「短すぎる」と当初から言われていた。案の定、5月31日まで延長された。

 もはやどこの県に緊急事態宣言、またはまん延防止重点措置が出ているか、ちゃんと判っている人は少ないだろう。5月14日の朝刊には、「まん延防止 5県追加へ」「群馬・石川・岡山・広島・熊本」と大きく一面に載っていた。ところが、翌15日の朝刊では「政府案一変 緊急事態」「分科会が反対 北海道・岡山・広島追加」とある。(なお、群馬・石川・熊本は「まん延防止」で、ともに6月13日まで。)今まで専門家会議は政府の諮問案を結局は追認してきたが、今回はついに政府案への疑問が噴出し、政府側が異例の方針転換に至ったのである。
(異例の方針転換を説明する西村経済再生相)
 この専門家会議は「分科会」と言われるけれど、一体何の分科会なのか。僕もよく判らないので調べてみると、内閣官房に「新型インフルエンザ等対策推進会議」というのが置かれている。その下に「基本的対処方針分科会」、「医療及び公衆衛生分科会」、「社会経済活動分科会」、「新型コロナウイルス感染症対策分科会」がある。根拠法と構成員はリンク先から見られる。今回の方針を一変させた「分科会」は「基本的対処方針分科会」である。前回も北海道には緊急事態宣言を出すべきだという意見が出されていたが、その時は意見が通らなかった。

 こういう状況になったら「まん延防止」、こういう数値になったら「緊急事態」といった明確な基準がなく、その都度その都度自治体の長と話を詰めつつ政治的に決まる感じ。大阪は2回目の緊急事態宣言を東京に先駆けて途中で解除した。その時点ですでに英国型変異株が見られたのだが。東京も感染者数は少しずつ増加傾向に合ったときに2回目の緊急事態を解除した。そして、やはり増えてしまって再び緊急事態宣言である。そもそも2回目の時には、菅首相は「ウイルスのことがかなり判ってきた」として飲食への対策に止めた。その時は大規模施設は閉まらなかったのに、3回目ではデパートや大規模施設が閉まった。どこに境目があるのか、判らない。
(5月14日の菅首相会見)
 その都度、菅首相が記者会見するが、一向に判った感じにならない。特に今回は北海道や岡山・広島の話なので、もう僕は見なかった。東京の延長の時は少し見たけど、まあ同じだなと思って途中で止めた。そもそも「11日まで」が短いので、延長するといっても誰も緊張感がない。でも12日から出来るかもと思って、店を開ける準備をした人も多かったという。そして、12日から野球も相撲もテレビを見れば一目瞭然、観客がいるのだから、実質の気分としては半分ぐらいもう解除された感じである。何度も何度も「勝負の2週間」「我慢の年末年始」みたいな言われ方をされて、正式な緊急事態になっても慣れてしまった感じか。

 この事態を変えるとしたら、記者会見を繰り返している首相が正直に語るしかない。ところが、質問には同じ答えを繰り返すだけだ。もともと11日まででは短かったと問われても、連休の人流は減ったとか答える。まあ安倍内閣の官房長官として「何も答えない」ことを得意技にして「実力者」と見られるようになった。「誠実に答える」ことではなく、「無愛想で質問には答えない」ことで党内で評価されたのである。しかし、それがリーダーシップとして評価されるのは、日本ぐらいだろう。去年以来何度も「コロナ」を書いたけど、本当はもう書きたくない。「賞味期限」が短すぎるから。自分でも去年何を書いたか読み返さないし、今になっては古い情報が多い。今回書いたこともすぐに意味がなくなるのだが、やはり書く必要もあるかと思って記録することにした。
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