尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

キム・ミンギ、ロバート・タウン、シェリー・デュヴァル他ー2024年7月の訃報②

2024年08月08日 22時24分55秒 | 追悼
 2024年7月の訃報特集。外国と1回目で書けなかった国内の訃報。まず韓国のシンガーソングライター、劇作家、俳優のキム・ミンギ(金敏基)が21日に死去、73歳。誰だと言われるかもしれないが、韓国現代史に大きな影響力を持った人である。70年代以後の韓国民主化運動を象徴する歌とされる「朝露」を作った人。「朝露」初め彼の歌は独裁政権下では禁止曲に指定されていた。2003年の金大中の葬儀では集まった人々が期せずして「朝露」の歌声が響いたと言われる。91年にソウル大学路に小劇場を開き、そこから多くの歌手や俳優を輩出した。特に94年初演のミュージカル『地下鉄1号線』は世界的にヒットした。僕は李政美(イ・ジョンミ)さんが「朝露」を原語と訳詞で歌ったCDを持っているけど、今回探し出せなかった。
(キム・ミンギ)
 アメリカの脚本家ロバート・タウンが1日死去、89歳。1974年の『チャイナタウン』(ロマン・ポランスキー監督)でアカデミー脚本賞を受賞した。この映画で身勝手な父を演じていたのが映画監督のジョン・ヒューストンである。他にも『さらば冬のかもめ』『シャンプー』『グレイストーク』でアカデミー賞にノミネートされた。テレビで『ナポレオン・ソロ』などを書いた後で、ロジャー・コーマンの低予算映画の脚本を書くようになり、クレジットされていないものの『ゴッドファーザー』にも参加したという。その後監督にも進出したが成功しなかった。他に『チャイナタウン』の続編『黄昏のチャイナタウン』(1989、ジャック・ニコルソン監督)や『ミッション・インポッシブル』などがある。
(ロバート・タウン)
 アメリカの女優シェリー・デュヴァルが7月11日死去、73歳。アルトマン監督の『三人の女』(77)でカンヌ映画祭女優賞を受けた。初期にはアルトマン監督作品の出演が多く、独特の風貌が作風に合ってすぐに名前を覚えてしまった。『BIRD★SHT』『ギャンブラー』『ボウイ&キーチ』『ナッシュビル』などである。その後スタンリー・キューブリックの『シャイニング』(80)で夫に恐怖して絶叫する妻役で知られた。同年のアルトマン監督『ポパイ』のオリーブ役など大作にも出た。90年代以後はテレビドラマの出演が多くなり、2002年に引退。僕は初期のアルトマン作品が好きなので忘れられない女優である。
(シェリー・デュヴァル)
 小説家ではアルバニアのイスマイル・カダレが1日死去、88歳。日本では知名度が低いが、第1回ブッカー国際賞やエルサレム賞などを受けていて、ノーベル文学賞候補と言われていた。アルバニア労働党一党独裁時代には発禁とされ、弾圧を受けた。そのような不条理な体験を原体験にした作品で知られている。日本では『夢宮殿』『砕かれた四月』『死者の軍隊の将軍』などが邦訳されている。またアイルランドの作家エドナ・オブライエンが27日死去、93歳。女性を主題にした作品が評価され、日本でも『カントリー・ガール』『みどりの瞳』『八月はいじわるな月』『愛に傷ついて』などが翻訳されている。
(イスマイル・カダレ)(エドナ・オブライエン)
 アメリカの映画プロデューサー、ジョン・ランドー(5日死去、63歳)は、『タイタニック』の製作者だった。アメリカのビデオ・アートの第一人者、ビル・ヴィオラ(12日死去、73歳)は日本に滞在して禅などの影響も受けた。世界文化賞受賞。アメリカの女優シャナン・ドハーティ(13日死去、53歳)は『大草原の小さな家』の子役で活躍、その後『ビバリーヒルズ白書』のブレンダ役で人気を得た。ベトナムの最高指導者、ベトナム共産党書記長グエン・フー・チョンが19日死去した。80歳。2011年に書記長となり、15年に初の訪米、日本との関係強化を図った。国内では統制を強化し、国家主席2人、国会議長を解任している。それだけの実力者であっても、もう僕はベトナム指導者の名前を覚えていなかった。31日にハマスの最高指導者、イスマイル・ハニヤがイランで殺害された。62歳。これは「イスラエルの国家テロ」というべきだが、ここで書く対象とは異なるだろう。
(グエン・フー・チョン)
 日本ではフリーアナウンサーの押阪忍(6月29日死去、89歳)、陶造形作家で笠間に工房を構えた伊藤公象(いとう・こうしょう、6日死去、92歳)、漫才師「大瀬ゆめじ・うたじ」で活躍し、13年に解散後はピン芸人で活動した大瀬うたじ(6日死去、76歳)、浪曲師で故国本武春の母だった国本晴美(6日死去、86歳)、劇作家、演出家で劇団「少年王者館」主宰の天野天涯(7日死去、64歳)、プロゴルファーで上田桃子や古閑美保らを育てるとともに、マンガの原作者として『風の大地』などが人気となった坂田信弘(22日死去、76歳)、特定のたんぱく質分解酵素「プロテアソーム」の発見者で文化功労者、田中啓二(23日死去、75歳)、91年から1期大阪府知事を務めた中川和雄(29日死去、97歳)、政治家で衆議院議員6期、参議院議員2期、郵政相を務めた渡辺秀央(31日死去、90歳)。この人は自民党、新進党、自由党、民主党、改革クラブ(新党改革)と移った。それよりミャンマー軍部と深いつながりがあることで知られ、日本ミャンマー協会を設立し会長となった。軍事クーデター以後も関わりを持ち続け政界引退後も影響力を持っていた。
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