尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

行き詰まる安倍外交

2019年05月14日 23時08分04秒 |  〃  (安倍政権論)
 内政では経済の先行きが怪しくなっているものの、「改元」「即位」を利用して安倍政権の支持率がむしろアップしてる不思議。「10連休」やら近づく「五輪」などで浮かれているうちに、つい忘れてしまいがちだが安倍内閣の外交が完全に行き詰まっている。国会も開かれず、やぶ蛇に終わったアメリカ訪問などがきちちんと追求されないままだ。米中経済摩擦が大きくなりすぎ、当面日米経済問題は後回しかもしれないが、大統領選前に再度持ち出されるのは確実だ。
 (4月27日の安倍・トランプのゴルフ)
 安倍首相はトランプをもてなしておけばなんとかなると思っているのか、今度は新天皇下の最初の国賓に招くという。天皇の政治利用の極致だろう。それに大相撲も見に来るという。「同盟国」の首脳が「国技」を見に来る。拒否はできないかもしれないが、それなら貴賓室で見ればいいだろう。何でも升席に椅子を設置する方向らしいが、ちょっと特別扱いがすぎる。それに特別にトランプ杯を作って自ら優勝力士に授与したいらしい。ここまで来れば、その目立ちたがりにさすがとも思うけど、そんなトランプを大相撲千秋楽に合わせて招く安倍外交こそ批判しないといけない。

 本来なら参院選前にでも「北方領土問題」に一定のめどを付ける想定だったはずだ。しかし、全く解決の兆しもない。僕は秘密情報を持たないから、首相が何度もロシアを訪問しているぐらいだから、何らかの感触はあるのかもしれないと思っていた。しかし多分何の進展もないまま、6月の「G20サミット」を迎えるしかない。もう弊害の方が大きくなっているから、すっぱりと諦めた方がいいと思う。プーチンを怒らせないように、日本だけロシアに何も言えない、言わない

 さらに外務省が「外交青書」から「北方四島は日本に帰属する」との表現を削除した。日本の公的な主張が外交青書にないんだったら、そもそも交渉する意味が判らなくなる。それなのに、教科書では領土問題で日本の主張を伝えよと検定でうるさく指摘される。一体日本の主張とはなに? 今後は北方領土は教えなくてもいいということか。(僕が言いたいのは、政府の方針に矛盾があるということである。日本の「領土問題」はいずれも辺境にあって、どこも日本人の住民がいない。様々な教育的課題がある中で領土問題だけをことさら重視すること自体がおかしい。)

 そんな安倍首相が新たに言い出したのが、「キム・ジョンウン委員長と前提条件なしに向き合う」との言葉だ。あれだけあっちこっちで「対話より圧力を」と言い続けてきたのが安倍首相だ。トランプ大統領がキム・ジョンウン委員長との会談に踏みきって以来、すこしずつスタンスを変えてきた。しかし全然日朝首脳会談のめどが立たないまま、思い切って「無条件」と踏み込んだ。方針が変わったわけじゃないと強弁しているが、明らかに方針転換である。だが、そんな新方針も相手にされてないのか、答えが「弾道ミサイル発射」である。逆に北側から条件を付けているとの観測もある。

 ということで、難しい外交課題に参院選前の進展は難しい。せっかくG20サミットがあっても、米中の間を取り持つこともできず、たいしたことも出来なさそうだ。しかし、海外首脳の中に立って会議をリードする姿を見せることで、なんだかエラそうな雰囲気を醸し出すんだろう。だが、実は日本外交は危機にある。サミットや五輪などのイヴェントに外国首脳は来るだろうが、それだけだ。トランプと親密と言っても、イラン問題やパレスチナ問題で何も言えない。米中経済摩擦でもWTOを無視する高関税を批判できない。何かうまくいきそうな感じを与えてきた分、安倍外交の行き詰まりはむしろ安倍支持層に疑念を呼ぶんじゃないだろうか
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ガス・ヴァン・サント監督「... | トップ | 映画「主戦場」、慰安婦問題... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

 〃  (安倍政権論)」カテゴリの最新記事