尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

宮城県の峩々温泉、胃腸病の名湯ー日本の温泉⑪

2021年11月24日 20時29分38秒 |  〃 (日本の山・日本の温泉)
 東北地方の温泉では、前回山形県瀬見温泉喜至楼を取り上げたが、今回は東北からもう一つ宮城県峩々(がが)温泉を書きたい。最近読んだ山崎まゆみ女将は見た 温泉旅館の表と裏」(文春文庫、2020)に峩々温泉の女将も出ていて、そう言えばあの温泉は良かったなあと思いだした。それがきっかけだけど、もう一つ「日本三大胃腸病の名湯」を紹介する意味がある。
(峩々温泉の露天風呂)
 峩々温泉は宮城蔵王の中腹に古くからある一軒宿である。蔵王山は宮城県と山形県にまたがる連峰で、山形側には蔵王温泉、宮城側には遠刈田(とおがった)温泉、青根温泉、峩々温泉があるという火山の恩恵の多い地域だ。ある時、一日目に青根温泉に泊まって、翌日に蔵王に登ってから峩々温泉に泊まったことがある。蔵王山は宮城側からも山形側からも、道路やロープウェイが上の方まで通じている。宮城側から刈田岳の駐車場で下りて蔵王連峰の最高峰、熊野岳(1840m)まで軽快なトレッキングを楽しめる。ただし当日は強風で、ずっと吹きさらしで体が冷えてしまった。最高峰までの登山としては楽な山になる。
(峩々温泉全景)
 駐車場に戻って蔵王エコーラインを下っていくと、峩々温泉への分岐がある。濁川沿いにオシャレな宿が建っている。昔は古びた湯治宿だったらしいが、今は館内も食事も素晴らしくなっている。まあそれなりの料金で、「秘湯」というイメージじゃないかもしれない。しかし、独特の入浴法があって、館内には飲泉所もあって、秘湯っぽいムードが残っている。泉質はナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉の透明な湯だが、最初に書いたように「日本三大胃腸病の湯」と言われている。他の二つは群馬県の四万(しま)温泉、大分県の湯平(ゆのひら)温泉。湯平は知らないが、四万温泉には町中にいくつも飲泉所がある。
(峩々温泉の飲泉所)
 飲泉が出来る温泉は新鮮で、体にも良いと思う。僕は別に胃腸が弱い方わけじゃないから、まあ胃腸病の名湯に行く必要はないけど、峩々温泉はその中でも独特の入浴法で面白いのである。お風呂には「あつ湯」「ぬる湯」があって、あつ湯は47度もある。僕は熱い湯は苦手で、これではとても入れない。大昔は温度調節も出来ず、湯治客は自然に「あつ湯」を体に掛けるという入浴法を始めたという。枕に出来る木が置いてあって、寝そべりながら熱い湯を腹に掛けるのである。100杯掛けるというのが伝統だという。僕も少しやってみたけど、熱い湯を10杯も掛ければもういいやである。胃腸が弱いわけではないから、そこで止めた。でもちゃんとやってる人もいたので、胃腸の悩みがある人が来ているのだろう。
(青根温泉不忘閣)
 一日目に泊まった青根温泉湯元不忘閣も魅力的だった。ここは仙台藩の御殿湯だったという宿である。青根温泉は峩々温泉より山麓にあって、数軒の宿がある。中でも「不忘閣」は伊達政宗が「この地忘れまじ」と言ったというのが名前の由来という由緒正しき宿なのである。外観も趣があるが、何よりたっぷりと出ているお湯が魅力。風呂もいっぱいあるが、何より伊達時代からあるという「大湯金泉堂」は洗い場もない昔のままの風情が残されている。全体的にちょっと古すぎる感じもしたけれど、名湯に違いない。遠刈田温泉から青根、峩々へ行く道沿いに蔵王チーズのレストランがあって美味しかった。
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