今回の五輪から「追加競技」というのが認められた。東京大会ではサーフィン、スケートボード、スポーツクライミング、空手、野球・ソフトボールだったが、パリ大会では最初の3つは実施されるが、後の2つは外れて、代わりにブレイクダンスが追加される。ますます「若者受けねらい」が明確になっている。
この中のスケートボードでは若い日本選手が続々とメダルを獲得して驚かせた。真っ昼間にやってたから僕はナマでは見てないけど、後でニュースで見て競技がよく判らないのにも驚いた。テレビの「解説」も何だか有名になってしまって、「ゴン攻め」「鬼やばい」とか流行語大賞にノミネートされそうだ。
ちょっと振り返ってみると、「ストリート」男子で堀米雄斗(22歳)が金、女子で西矢椛(にしや・もみじ、13歳)が金、中山楓奈(16歳)が銅、「パーク」女子で四十住さくら(よそずみ・さくら、19歳)が金、開心那(ひらき・ここな、12歳)が銀という好成績だった。堀米選手だって若いのに、12歳、13歳までいるから年長に見えてしまう。西矢選手の金メダルは、岩崎恭子を越えて日本の最年少記録である。
(西矢椛選手)
他国のメダリストを見ても、ストリート女子銀のライッサ・レアウ(ブラジル)は13歳、パーク女子銅のスカイ・ブラウン(イギリス)も13歳である。ブラウン選手は英国人の父と日本人の母の間に生まれ、宮崎県で育ったという。今回英国の最年少メダリストとなった。プロサーファーでもあり、ナイキなど多くのスポンサーが付き、ユーチューバーとしても大人気だという話。これは朝日新聞の記事を読んで知ったことで、世界は僕には全く理解できなくなっている。スケボーのメダリスト全12人中、4人が中学生なのである。
こういう若い五輪選手といえば、僕のような高齢世代にとっては1976年モントリオール五輪に登場したルーマニアの「白い妖精」、体操競技のナディア・コマネチを思い出す。当時はあり得なかった満点の「10.0」を連発し、個人総合と平均台、段違い平行棒で3つの金メダルを獲得した。その時わずか14歳だったことで世界を驚かせた。モスクワ五輪でも床運動と平均台で金メダルを獲得したが、1981年に引退。その後苦難の人生を送ることになるが、今はアメリカで体操コーチをしている。ところで、その後世界体操連盟は五輪参加規定を変更し、参加できるのは16歳からとなっている。
(ナディア・コマネチ)
他にも年齢制限といえば、フィギュアスケートでは「五輪前年の6月30日までに15歳になっていること」という年齢規定がある。このため2006年のトリノ冬季五輪では、9月25日が誕生日の浅田真央が3ヶ月ほど足りなかったために出場できなかった。フィギュアスケートを見ていると、選手はジャンプ後の着地に失敗して転倒する場面をよく見る。あまりに若い時に五輪メダルを目指した過酷な練習を繰り返すことは若い心身に大きな負担になるということだろう。スポーツ選手はケガを避けられず、「スポーツは危険」なのだ。
多分スポーツの中でも一番「危険」なのは、ボクシングだろう。このボクシングは五輪参加可能年齢を18歳からとしているとのことだ。今回の大会のボクシングで日本は金1,銅2個を獲得した。特に女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈(せな、20歳)選手は、そのファイトある戦いぶりと謙虚な人柄が注目を集めた。蛙マニアというのも面白いし、決勝の相手のネスティー・ペテシオ(フィリピン)を「大尊敬している」と語るインタビューも好感を持てた。ウィキペディアを見ると、今まで二人は勝ったり負けたりしてきた間柄だと判る。入江選手は鳥取県米子の出身で中学時代は陸上部で活躍し、米子西高校進学後からボクシングに専念したと出ている。
(入江聖奈選手)
若いとは言え、高校生からならボクシングを始めてもいいだろう。サッカーでも今は若い時期はヘディング禁止という議論がある。ボクシングではどうあっても頭部への衝撃を避けられない。サッカーのヘディングも同じだろう。それを考えると、スケートボードも相当に危険なスポーツだと思う。今は何だかマスコミでも「自由なスポーツ」「国家を背負わず延び延びと若い世代が躍動している」などと持ち上げている。しかし、スカイ・ブラウン選手は昨年5月に大けがを負って、頭蓋骨や左手首を骨折し肺や胃に裂傷を負って命の危険もあったという。
特にスケボーは学校と別に友人や家族と始めたり、街中でパフォーマンスすることも多いだろうから、もちろんヘルメットをしているとしても危険性は大きいと思う。恐らくパリだけでなくロス大会でも採用されると思うが、その頃には五輪参加には年齢制限を設けるという議論が出て来ると思う。「中学生で金メダル」を持ち上げるだけでは、マネして大けがをする若い世代が続出しかねない。学校に持ち込んで廊下で滑ったりする生徒が出ないといいんだけど。ケガする生徒が多くなる前からきちんと考えるべきではないか。
この中のスケートボードでは若い日本選手が続々とメダルを獲得して驚かせた。真っ昼間にやってたから僕はナマでは見てないけど、後でニュースで見て競技がよく判らないのにも驚いた。テレビの「解説」も何だか有名になってしまって、「ゴン攻め」「鬼やばい」とか流行語大賞にノミネートされそうだ。
ちょっと振り返ってみると、「ストリート」男子で堀米雄斗(22歳)が金、女子で西矢椛(にしや・もみじ、13歳)が金、中山楓奈(16歳)が銅、「パーク」女子で四十住さくら(よそずみ・さくら、19歳)が金、開心那(ひらき・ここな、12歳)が銀という好成績だった。堀米選手だって若いのに、12歳、13歳までいるから年長に見えてしまう。西矢選手の金メダルは、岩崎恭子を越えて日本の最年少記録である。
(西矢椛選手)
他国のメダリストを見ても、ストリート女子銀のライッサ・レアウ(ブラジル)は13歳、パーク女子銅のスカイ・ブラウン(イギリス)も13歳である。ブラウン選手は英国人の父と日本人の母の間に生まれ、宮崎県で育ったという。今回英国の最年少メダリストとなった。プロサーファーでもあり、ナイキなど多くのスポンサーが付き、ユーチューバーとしても大人気だという話。これは朝日新聞の記事を読んで知ったことで、世界は僕には全く理解できなくなっている。スケボーのメダリスト全12人中、4人が中学生なのである。
こういう若い五輪選手といえば、僕のような高齢世代にとっては1976年モントリオール五輪に登場したルーマニアの「白い妖精」、体操競技のナディア・コマネチを思い出す。当時はあり得なかった満点の「10.0」を連発し、個人総合と平均台、段違い平行棒で3つの金メダルを獲得した。その時わずか14歳だったことで世界を驚かせた。モスクワ五輪でも床運動と平均台で金メダルを獲得したが、1981年に引退。その後苦難の人生を送ることになるが、今はアメリカで体操コーチをしている。ところで、その後世界体操連盟は五輪参加規定を変更し、参加できるのは16歳からとなっている。
(ナディア・コマネチ)
他にも年齢制限といえば、フィギュアスケートでは「五輪前年の6月30日までに15歳になっていること」という年齢規定がある。このため2006年のトリノ冬季五輪では、9月25日が誕生日の浅田真央が3ヶ月ほど足りなかったために出場できなかった。フィギュアスケートを見ていると、選手はジャンプ後の着地に失敗して転倒する場面をよく見る。あまりに若い時に五輪メダルを目指した過酷な練習を繰り返すことは若い心身に大きな負担になるということだろう。スポーツ選手はケガを避けられず、「スポーツは危険」なのだ。
多分スポーツの中でも一番「危険」なのは、ボクシングだろう。このボクシングは五輪参加可能年齢を18歳からとしているとのことだ。今回の大会のボクシングで日本は金1,銅2個を獲得した。特に女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈(せな、20歳)選手は、そのファイトある戦いぶりと謙虚な人柄が注目を集めた。蛙マニアというのも面白いし、決勝の相手のネスティー・ペテシオ(フィリピン)を「大尊敬している」と語るインタビューも好感を持てた。ウィキペディアを見ると、今まで二人は勝ったり負けたりしてきた間柄だと判る。入江選手は鳥取県米子の出身で中学時代は陸上部で活躍し、米子西高校進学後からボクシングに専念したと出ている。
(入江聖奈選手)
若いとは言え、高校生からならボクシングを始めてもいいだろう。サッカーでも今は若い時期はヘディング禁止という議論がある。ボクシングではどうあっても頭部への衝撃を避けられない。サッカーのヘディングも同じだろう。それを考えると、スケートボードも相当に危険なスポーツだと思う。今は何だかマスコミでも「自由なスポーツ」「国家を背負わず延び延びと若い世代が躍動している」などと持ち上げている。しかし、スカイ・ブラウン選手は昨年5月に大けがを負って、頭蓋骨や左手首を骨折し肺や胃に裂傷を負って命の危険もあったという。
特にスケボーは学校と別に友人や家族と始めたり、街中でパフォーマンスすることも多いだろうから、もちろんヘルメットをしているとしても危険性は大きいと思う。恐らくパリだけでなくロス大会でも採用されると思うが、その頃には五輪参加には年齢制限を設けるという議論が出て来ると思う。「中学生で金メダル」を持ち上げるだけでは、マネして大けがをする若い世代が続出しかねない。学校に持ち込んで廊下で滑ったりする生徒が出ないといいんだけど。ケガする生徒が多くなる前からきちんと考えるべきではないか。