猛暑・酷暑の日々が続いていて疲れてしまう。まあブログを休んでもいいんだけど、何だか書いてないとそのまま書けなくなりそうで落ち着かない。本の話、映画の話と書いてきたから、そろそろ五輪かコロナかとも思うが、たまには全然違う小ネタ話。東京新聞7月31日付夕刊の一面トップに「タッチペンになる鉛筆キャップ」という大きな記事が載っていた。いやあ今一面で扱う記事かなとも思ったが、なかなかいい話だったから紹介。
(北星の鉛筆キャップ)
東京の葛飾区四つ木に「北星鉛筆」という会社がある。東京東部は小さな会社が集まっている地区である。この地区には今も鉛筆会社が多くあるという。鉛筆は学校では使うけれど、社会に出たらボールペンやサインペンを使うことが多いだろう。もちろん字を書くこと自体が減っている。字は書くのではなく「打つ」ものという時代である。そんな中で鉛筆の消費量はどんどん減ってきた。高度成長期に業界全体で年間14億本あった生産量が、最近は2億本まで減っているという。そんな中で学校、特に小学校が「最後の砦」みたいなもんだろう。
(北星鉛筆本社ビル)
ところが最近は教育もデジタル化の時代である。小学校でもコロナ禍の中でデジタル端末を配って授業で使うようになった。その際には指で画面をなぞるよりも、もっと細かい操作ができるタッチペンが役に立つ。でもタッチペンは結構高い(1本あたり1500円前後)。そこで注目されているのが北星鉛筆の「スタイラスな鉛筆キャップ」(250円)という製品である。生徒が必ず持っている鉛筆に被せるだけで、タッチペンになる。鉛筆の芯に使われる黒鉛は導電性があり、芯が触れるキャップの先端に導電処理をしたものだという。
ここで大切なことは、なぜキャップなのかということだ。鉛筆の芯の反対側はよく消しゴムが付いていたりする。そこをキャップにすることじゃダメなのか。開発段階では最初はそれも考えたという。しかし、そうするとキャップとして使うとき、とがった芯が生徒の顔に向いてしまう。不慮の事故が心配だし、鉛筆はどんどん短くなって捨てられてしまう。キャップ型ならば他の鉛筆に付け替えれば繰り返し使える。そういう配慮で出来たのが北星のタッチペンキャップなのである。学校、特に小学校などに向いている商品なのである。2014年に発売以来、6年間で1万個売れたのが、昨年だけで1万個売れたという。
(小川洋子「そこに工場がある限り」)
ところでこの北星鉛筆のことは最近読んだなあと思いだした。小川洋子さんの近著「そこに工場がある限り」(集英社)である。小川さんのファンであるとともに、このような社会科見学的な本が大好きなのである。神戸のグリコピアとか、丘の上のボート工場、「サンポカー」(小さな子どもを一度にたくさん乗せられるベビーカー)を作っている会社などを訪ねている。その中に北星鉛筆も出てくる。何しろここは鉛筆について学べる「東京ペンシルラボ」という施設を作って見学を受け付けている会社である。環境に配慮してリサイクルにも力を入れ、おが屑を利用した製品を作っている。なかなかすごい会社で、だからこそ鉛筆会社でありながらデジタル時代の子ども向け商品も開発できたのだろう。もちろん学校だけでなく、個人でスマホ用タッチペンにも使えます。
(北星の鉛筆キャップ)
東京の葛飾区四つ木に「北星鉛筆」という会社がある。東京東部は小さな会社が集まっている地区である。この地区には今も鉛筆会社が多くあるという。鉛筆は学校では使うけれど、社会に出たらボールペンやサインペンを使うことが多いだろう。もちろん字を書くこと自体が減っている。字は書くのではなく「打つ」ものという時代である。そんな中で鉛筆の消費量はどんどん減ってきた。高度成長期に業界全体で年間14億本あった生産量が、最近は2億本まで減っているという。そんな中で学校、特に小学校が「最後の砦」みたいなもんだろう。
(北星鉛筆本社ビル)
ところが最近は教育もデジタル化の時代である。小学校でもコロナ禍の中でデジタル端末を配って授業で使うようになった。その際には指で画面をなぞるよりも、もっと細かい操作ができるタッチペンが役に立つ。でもタッチペンは結構高い(1本あたり1500円前後)。そこで注目されているのが北星鉛筆の「スタイラスな鉛筆キャップ」(250円)という製品である。生徒が必ず持っている鉛筆に被せるだけで、タッチペンになる。鉛筆の芯に使われる黒鉛は導電性があり、芯が触れるキャップの先端に導電処理をしたものだという。
ここで大切なことは、なぜキャップなのかということだ。鉛筆の芯の反対側はよく消しゴムが付いていたりする。そこをキャップにすることじゃダメなのか。開発段階では最初はそれも考えたという。しかし、そうするとキャップとして使うとき、とがった芯が生徒の顔に向いてしまう。不慮の事故が心配だし、鉛筆はどんどん短くなって捨てられてしまう。キャップ型ならば他の鉛筆に付け替えれば繰り返し使える。そういう配慮で出来たのが北星のタッチペンキャップなのである。学校、特に小学校などに向いている商品なのである。2014年に発売以来、6年間で1万個売れたのが、昨年だけで1万個売れたという。
(小川洋子「そこに工場がある限り」)
ところでこの北星鉛筆のことは最近読んだなあと思いだした。小川洋子さんの近著「そこに工場がある限り」(集英社)である。小川さんのファンであるとともに、このような社会科見学的な本が大好きなのである。神戸のグリコピアとか、丘の上のボート工場、「サンポカー」(小さな子どもを一度にたくさん乗せられるベビーカー)を作っている会社などを訪ねている。その中に北星鉛筆も出てくる。何しろここは鉛筆について学べる「東京ペンシルラボ」という施設を作って見学を受け付けている会社である。環境に配慮してリサイクルにも力を入れ、おが屑を利用した製品を作っている。なかなかすごい会社で、だからこそ鉛筆会社でありながらデジタル時代の子ども向け商品も開発できたのだろう。もちろん学校だけでなく、個人でスマホ用タッチペンにも使えます。