尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

夏休みの延長が必要ではないかー教員にも広がるコロナ感染

2021年08月19日 22時11分06秒 |  〃 (新型コロナウイルス問題)
 菅内閣は17日に6都府県に出ている緊急事態宣言の延長(9.12まで)と新たに20日から7府県に緊急事態宣言を出すことを決定した。一応書いておくと、延長するのは東京神奈川埼玉千葉の首都圏及び大阪沖縄である。新たに出すのは、茨城栃木群馬静岡京都兵庫福岡である。また北海道、福島、石川、愛知、滋賀、熊本に出されている「まん延防止等重点措置」も延長され、新たに宮城、山梨、富山、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島の10県にも出される。どこに何が出ているか、ちゃんと判っている人はいないだろう。
(緊急事態宣言の延長)
 その緊急事態宣言を延長することで、一体何がどうなるのか。人出が減っている感じはしないし、いろんな場所(デパート、劇場、映画館等)は(ところによって人数制限をしているが)、やっているのである。やっていれば行く人がいる。そこら辺の問題をどう考えるべきかはまた別の問題だが、そうは言っても電車は一時期よりは空いている。テレワークもあるんだろうが、それより何より「夏休み」だから高校生がいないわけである。そして、もうすぐ夏休みが終わってしまう。このまま学校に子どもたちが集まってしまって大丈夫なんだろうか。

 高校野球や高校総体(インターハイ)でも辞退校が出ていると書いたが、本当はこの問題を書きたかったのである。沖縄県では「夏休みの延長」という措置を取る市町村もあるようだ。もっとも沖縄で8月中に夏休みが終わるとは知らなかった。寒冷地方では大体8月20日過ぎには夏休みも終わるだろうし、東京でも基本的に8月いっぱいが休みだろうが、小中学校では2学期を早めることも多いと思う。つまり、もうすぐ全国かなりの地域で夏休みが終わるのである。このまま2学期に入るとどうなるだろうか。
(沖縄県の夏休み延長状況)
 東京都の場合だが、教員のコロナ感染が非常に増えている東京都教育委員会のホームページの「新着情報一覧」を見ると、このところほぼ毎日「新型コロナウイルス感染者について」という記事が掲載されている。土日は更新されないので、週明けには5人、6人とまとめて載っていたりする。8月の分だけまとめてみると、8月19日掲載までで総計でちょうど60人になった。ただし、正職員以外も載っていて、行政職(教育庁勤務等)が6人、非常勤職員が8人である。差し引くと、常勤の教育職の感染は46人ということになる。都教委のサイトだから、都立学校(高等学校、特別支援学校、中高一貫校)のみである。市区町村の小中学校教職員、あるいは近隣県の教職員だけは感染しないという理由はないから、恐らく感染者はある程度出ているはずである。

 また子ども世代の感染も増えているという。家族内感染が多いのである。その場合、親が発症した段階では子どもは無症状のことが多いらしい。やはりデルタ株であっても、若い世代には無症状のケースが多くあるのである。親が発症してPCR検査を受けて陽性を確認するまでの間に、子どももすでに感染しているが、しかし無症状だから、陽性が確認された親の濃厚接触者になるまでPCR検査を受けられない。その間は無症状だから、当然学校に登校するだろうが、この段階でも感染力はあるということになる。

 そういう心配があるということを夕方のニュースでやっていた。つまり、教員も生徒も感染者が多い現状から、このままでは学校では集団感染が多発する可能性がある。そう思うんだけど、去年の「全国一斉休校」の傷というか、トラウマが残っているんだろうか、学校休校という選択肢が問題にされない。実際、高校生などでは果たして家庭で勉強しているか怪しいかもしれない。つまり「オンライン授業」にすべきだという意見も出てくる。また2学期は学校行事や進路指導でとても休校するわけにはいかないという意見もあるだろう。しかし、教員が生徒に感染させるケースが起きたら、休校せざるを得ないだろう。

 教員が風邪を引いて休暇を取ることは日常的によくあることだけど、その場合は一般的に数日で終わる。そういうときは「自習」になってうれしいという記憶がある人はかなりの年長だろう。今は自習課題を用意して、自習監督も付くことが多いのではなか。コロナの場合、数日で復帰できるとは思えないから、一人が感染するだけで教科や学年への負担は非常に大きくなる。そういうことが頻発することは目に見えていると思う。都教委のサイトでは学校名は不明だが、都立高校は全部で186校、特別支援58校、中高一貫校10校なので、感染者が全部違う学校だとすると、8月中にすでに5校に1人ぐらい感染教員が出ている。7月以前にも多くの感染者が報告されているが、もう現場復帰できる状態なのかどうかは判らない。

 当然ながら生徒の感染も増えているだろう。僕は何も「全国一斉休校」は求めていない。緊急事態宣言の出ている地域の学校で、教員や生徒、保護者の感染状態を見ながら、どの程度の危険性が予想できるか判断するべきだ。感染者が出てバラバラに休校すると、「どこ?」「誰?」という噂が飛び交う可能性もある。危険性、緊急性が予見されるなら、ある程度「まとめて夏休みを一週間延長」などとする方が良いのではないだろうか。

 もちろん弊害も多い。高校だと就職希望者の試験が迫っていて進路指導が欠かせない。また普通科高校では9月半ばにも文化祭を予定していたところが多いだろう。文化祭のあり方も課題だが、簡素な形で生徒の準備登校を認めてもいいだろう。小学校などの場合、昨年も問題化したけれど「給食」をどうするか。夏休みに食事環境が悪くなっているケースも多いと思う。給食だけ出すこともあるだろう。その場合も出来るだけ家に持ち運べる「弁当」形式にするのも考えられる。むしろしばらくマスク付きで出来る教科を中心にした「午前授業」にして、給食で終わりという方がいいのかも。「一斉」が行き過ぎて、個別事情を酌めないのもおかしい。

 いろんなケースがあるだろうが、学校でクラスターが発生することは避けられず、それを見越した対応を準備しておかないと後手後手になる。誰々が感染したから行事や部活ができないなどと、ウェブ上で曝されるような事態をあらかじめ避けるのが最優先だと考える。
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