このほど播磨の黒田武士顕彰会の福田要先生より黒田官兵衛「吾れは中才」改定版が贈られてきた。先日お会いした時に旧著は不足の箇所があり全うしたい旨仰っていたので心待ちにしていたのだが、ついに発刊となった。この書は今までのどの著者にも負けないほどの力作であり黒田如水に関する著作としては比肩さるるものなしといえるほどの快著であると言っても過言ではない。黒田如水を知ろうと思う方はこの書を読めばほぼその全容が分かるというものだ。是非多くの如水ファンの方々に読んで欲しいと思います。*「吾れは中才」の謂は、秀吉から関白を譲られた秀次が今まで秀吉の軍師として大活躍し天下にその名聞こえたる智将黒田如水にある時「そなたはどれほどの器量と(自分で)存じおるか?」と問うた。如水は口ごもりながら「中の位でございましょうか」と答えた。「もし上才であれば太閤の威光をもって先陣を承ることなく、この身で天下を取ることを思うべし。またもし下才であればこの身は叢民の中にあって空しく朽ち果てるべし。ただ中才なるが故に太閤より広く封土を賜る所以に、、、。」(名将言行録より)。天下に如水ほどの器量を持っているものは居ない。上才であると誰もが認めるところであるが、かって備中松城を水攻めにしていた時、織田信長が明智光秀に謀反をされ本能寺で自刃した報を受けるやいなやすぐさま秀吉に天下を狙いなさいと言った一言が秀吉から警戒されたことのある如水は慎重に危なげなく穏やかに言葉を選んだのだ。十分に天下を取れるほどの器量を持っていた如水であるが残念ながら「時」に運無く天はそれを許さず、「おもひおく言の葉なくてつゐに行く道はまよはじなるにまかせて」の辞世の歌を残してその生涯を終えた。
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