竹中半兵衛亡き後、官兵衛を参謀として重用してきた秀吉は、その天才的な智力を恐れるようになった。
ある時、俺の後を継いで天下を収めるものは誰と思うかとお伽衆(諸大名説有)に聞いたところ、徳川殿、前田殿、毛利殿など有力大名の名を挙げるも、秀吉は一笑に付して黒田官兵衛の名を挙げた。
それを聞いた官兵衛は身の危険を感じ隠居を申し出た。
官兵衛に二心無く、ただ只管戦の無い世を目指して秀吉に尽くしてきたが、天下人となった秀吉には己の地位を脅かすのではないかと、猜疑心のほうが強くなった。
しかし、官兵衛は、戦国の世を達観し、富貴を望むことなく粛々と己の出番の到来を待ち続けたのである。