チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 521

2023年06月22日 07時34分17秒 | 日記

「絽ちりめん」という夏の素材がある、いえあったと過去形になった

このパンデミックで製造中止になったと聞く

縮緬糸で絽目を作っている素材、普通の平絽よりちょっと重くドレープが多い

それがどうして湿気の多い5月の末からの生地なのだろうかと疑問を持っていたある日

今は亡くなった竺仙の先代の社長が

「絽ちりめんは、縮緬浴衣として素肌に着ていた女人が昔はいた」

と教えてくれた

「ほうー」

と思いすぐ実行、いやー気持ちがいい贅沢だし、極楽極楽

こういう贅沢でおしゃれな着物の着方があったのだ!

 

もちろん縮緬浴衣を着る女人は「堅気」の人ではない。「黒塀」に住んでる人だ

大店、政治経済界の大物の囲い者、場合によってはやんごとなき世界の人たちのーーーというのもあったらしい

一軒家を与えられ、身の回りの世話をする人、庭番などの使用人と暮らす。こんな優雅なことはない

身に着けた三味線や、琴、常磐津、などの師匠をして日銭を稼ぐ

お手当もあるが日銭もあるから結構裕福

 

黒塀に女人を囲っても本家は安泰

男も女も大人の生き方ができていたのだ

 

黒塀の女が湯上りに縮緬浴衣を素肌に着て旦那を待つ

日本画の世界だな

 

囲い者のおかげで

建築、建具、庭師、什器、衣服すべて美にあふれたものが作られていく

これもまた日本の文化だったとおもう

絽ちりめんの着物を表に着ている自分の野暮さ加減を笑う


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