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チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 28

2018年10月03日 18時08分49秒 | 日記
「わたしは明日パリに帰ります」
未だ私が編集者になりたての頃の話

その頃毎月一回Mデパートで「女性記者の会」が開かれていた
フルコースのランチを頂きながらフアッションから時事問題迄を話し合っていた

ペーペーの私は勿論話を先輩から聞くだけで参加できるなんて夢の夢であった
所が
在ろう事かその会議のある日上の連中は全員しごとや病気欠席で誰も居ない
いきなり
「チャコお前行ってこい何も言わんでもいい食うもの食ってこい」
と編集長
「ウハッやったー嬉しいな^_^」
スキップ踏んでいそいそ出かけた

何やら物々しい男がいっぱい!
「あのー」
恐る恐る名刺を出すといつも相手をしてくださる宣伝部長が
「ヤーよく来たね」
と中に招き入れてくれた
お姉さん記者ばかりジロリとみられてペコペコお辞儀して指定の場所に座る

と落ち着いて正面を見るとわー超有名なパリのデザイナーが通訳らしき男と仕切りに話し合っている

周りを見ると着物が何枚か羽を広げたように飾ってあった
l
さてP氏は日本の着物がどのようにできているかをお姉さん記者に質問。
その頃は四大婦雑誌のお姉様が出版界では幅を聞かせて居たので
その中の編集長が着物の構造を説明する

黒板(ホワイトボードなんて未だない)にいきなり白墨で線を引き
「長さは12メートルそして袖二枚衽二枚身頃二枚襟二枚の8枚のパーツを繋ぎ合わせこのような方にあるのが着物です。布は全く捨てません」
パチパチパチ
思わず立ち上がって拍手する私
「シー」とおねさんがたに一斉に睨まれ首をすくめる

凄い凄いと興奮するのは私だけと思いきや

静かに沈思黙考して居たP氏
「私が着物の形を変えるということは日本の文化を冒涜することになる。この仕事はなかったことにしましょう」
と冒頭の発言となった!

前置きが長くなったが(長すぎるよ)
青樹さんの工房で8枚のパーツに裾濃を染める時にこういう工夫があるということを聞いて、新人の頃ショックを受けた光景を思い出した

その話を聞いた青樹さんは
「ご自分の国の文化を大事にしているから他所の国の文化がわかるんだよね、いい話を聞いたな」

さて12月はどうしようかということになり
「雪を意識した真珠のような色の着物を見たい!」
「うーーーん」
としばらく考えた青樹さんはにっこりすると
「白樺と藍で出してみようか?」
「白樺ですか?」
南国育ちの私は見たこともない洒落た樹木幹が真っ白に
ああこんな色になるのかとワクワク (つづく)
コメント
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