チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

蚕は人間の思い通り

2014年05月03日 09時58分31秒 | 日記
農業の改革や発展はいつも蚕が率先云う
蚕は研究者にとって優良モデルでもある
人間は其の蚕をあらゆる方向から品質改良をして
「絹」という此の世で全く持って美しい布に仕上げた
富岡整糸場がこの6月正式に世界遺産に登録される
遺産と云うからには其れを生かすという考えはなく
ただ丁寧に守っていくと言うのであろうか

明治5年に創られた建物は当時としては画期的な建物である
フランスの機械技術を取り入れ明治政府の掲げる
富国強兵に大きな役割を示したのが
この富岡製糸工場を始めその後各地にできた製糸工場だ

当初は其の機械を動かすために
フランスから技術者が来日していて
あの建物の中にあるワインセラーは製糸場をしのぐほど良く出来ている

ワインを水代わりに飲むフランス人を
当時の日本人は
「血を飲んでいる近づくな」
と恐怖を感じていたらしい

このfactoryで仕事をする女性たちは
良家の子女に限られていて英語もフランス語もできて
ワインは果実酒であることを村の人たちに説明したという

しかし
繭から糸を引くのに機械に糸を通さなければならないとなれば
手で糸を引くことが当たり前だった繭を代えなければならず
機械用の繭を作れるような蚕の改良が始まった

其のお陰で大量の糸をとれるようになった日本は絹の輸出国として世界一となり
あの小さな蚕のお陰で日本は近代国家の仲間入りができた

しかしそれ以来蚕はがあっても飛べない虫になった

輝かしい役目を果たした建物は遺産に
蚕は品質改良の末今では日本の絹は0に等しい
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