「アセンション」をめぐる最近のトピックは、ますます社会体制に関連するものが多くなってきている。その中で気になるのは、「アメリカ帝国の崩壊」を唱える人が多いということ。これについては、どうなんだろう。
まず思うのは、たとえ現在の覇権国であるアメリカが没落したところで、それは単なる「国家の盛衰」にすぎないということ。それは、歴史上、数え切れないほど繰り返されてきた。近代ヨーロッパでも、春秋戦国時代の古代中国でも、覇権国家はクルクル入れ替わっていた。しょせん、すべては地球の人類社会という、コップの中の嵐にすぎない。それらは、物質世界に特有の、破壊的な混沌の中に浮かんでは消える泡々・・・。
とはいえ、「アメリカ」がこれほど目のカタキにされるのには、理由がある。まず、金融と軍事のパワーで世界を支配しているということ自体が、「支配者と被支配者のシステム」の象徴と受け取られている。資本主義国の自由競争原理も、共存共栄を好む精神世界関係者の嫌うところ。軍事力にモノを言わせて世界秩序を創造し、維持しようとしているのも、煙たがられるのは仕方がない。
それは分かるのだが、だからと言って「次の覇権国家は中国だ」と言い出す人がいるのには、クビをかしげざるを得ない。中国こそは、先進国の常識では考えられないほどの極端な過剰融資で、狂乱の不動産バブルを起こしている国。それこそ、「強欲資本主義」が生み出した、鬼っ子のような存在だ。しかも、四千年の歴史にも前例がないほど海軍力を強化して、日本の近海を平然と横行し、アフリカ諸国の政治にまで干渉するほど野心をムキ出しにしている。国内では、そこら中で暴動が起き、いつも人が死んでいる。いわば、アメリカが嫌われている理由が、さらに拡大再生産されているような国だというのに、それが取って代わったところでどうなると言うのか。もちろん、現実問題として、アメリカに取って代わるような国力はないのだが・・・。
アメリカに話を戻すと、ここは世界中から集まった民族のルツボで、競争原理に基づいたサバイバル社会が展開されている。その意味で、典型的な地球の社会と言える。目もくらむほどの、貧富の格差。銃器が簡単に手に入り、身近な人から急に撃たれることも珍しくない危険な社会。それはまさに、ジャングルの掟が支配する世界だ。あれだけの科学技術を持つ超先進国でありながら、その一方では、人類が野生動物から進化したばかりだということをまざまざと思い出させてくれる、なんとも貴重な存在。
でも一方で、アメリカは、精神世界の本場でもある。特に、アメリカ西海岸。精神世界関係者なら、それを忘れたとは言えないはず。「20世紀最高の聖者」ことクリシュナムルティも、「現代のスピリチュアル・リーダー」ことエックハルト・トールも、生まれはそれぞれ違うのに、アメリカ西海岸を活動の拠点としていた。ラー文書も、バシャールも、モンロー研究所も、「奇跡のコース」も、みんなアメリカから出てきた。ここは、最先端の精神世界論が、常に生み出される場所。ほとんどすべてが、アメリカから出てきて世界に広がっている。
世界に冠たるスピリチュアル大国の日本でさえ、アメリカと比べれば、大きく離れて後を追っている国に、どうしても見えてしまう。中矢伸一氏によれば、「まず、外国の人民が気づきて、それから日本の人民にも伝わるのざぞ」と、あの「日月神示」にも書いてあるそうだから、仕方がないのかもしれない(笑)。
でも、それはあくまでも、アメリカと比べた場合の話。それ以外の国々と比べたならば、日本では遥か先をゆく最先端の精神世界談義が行われている。もっとも、これは精神世界に限らず、金融やIT、エンターテインメントなど他のさまざまな分野においても言えることだろう。多くの分野において、日本はアメリカよりは大きく遅れているが、それ以外の大半の国々よりはずっと先を行っている。ただし、「国民の、平均的な意識レベルの高さ」という観点で見るならば、日本がピカイチと言えるかもしれない。アメリカ社会と比べて、日本社会のほうが、来るべきシンクロニシティの社会により近づいている面もある。
思えば、孔子さまも、お釈迦さまも、ジャングルの掟が支配する戦乱の世に生まれ、そこで活動したのだ。どちらも、黄河やガンジス川の流域に、大小さまざまな国々が林立して争う中で、秦や斉、マガダ国やコーサラ国といった大国が覇権を広げていた時代。そんな社会に、人類の師ともいえる聖人たちが登場した。現代のアメリカにも、そういう二面性があるということを忘れてはいけない。
筆者の見たところでは、やっぱり、近い将来に来るべき新しい人類の精神文明には、アメリカが先頭を切って突入するというのが自然な流れのように思える。「日本がアセンションの中心になります」と言う人たちの気持ちも分からないではないのだが、やっぱり、それ以外はちょっと考えにくいんじゃないか。アメリカ国民の意識の変化に伴って、アメリカ社会が変質することにより、現在の金融システムや軍事システムが自然崩壊するのなら、それはそれで仕方のないことだ。でも、旧文明の価値観が崩壊した瓦礫の下から、新しい精神文明が台頭してくるのは、やっぱりアメリカが主な舞台になるだろう。
まあ、どこの国がどうとか言うより、重要なのは、やっぱり「意識の覚醒」。これを伴わない「社会システムの変革」など、今までにもさんざん繰り返されてきた権力闘争であり、栄枯盛衰にすぎない。地球人類全員が覚醒するのは無理としても、精神世界の探求者なら、先陣を切る気概が必要だ・・・!!
アースチェンジ情報の宝庫 →
スピリチュアルと後の二つにも興味がある私には、西海岸は21世紀の聖地だともいえなくも無いかもしれません?
これは、その通りだと思います。ITでも、ヒッピー文化でも、西海岸は最先端の地ですね。