引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

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母とだし。削りかつお篇

2008年06月03日 | 天然出汁とのめぐり合い

だし素材を入れていた海苔の缶は全部で4缶、

かつお節削り器とともに、木のトレイにのせていました。

置き場所は、ガスレンジに遠く、しかし、すぐ手の届く場所に。

缶に入ってたのは次のだし素材四天王。

①掃除をした煮干し。

②削りかつお

③使いやすいように大きさを変えて切った昆布、

③干し椎茸

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さて削りかつお。

削りかつおは、たまに市販品の100g入りを買い足すこともありましたが、

ほとんどは、わたしか母が削っていました。

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同世代の人とかつお節の話になると、

「削ってた。あれは子供の仕事だった」

と、懐かしがります。

兄や弟が削ってた絵が浮かばないのですが、

あのころは、男の子に台所仕事の手伝いはさせなかったのかも。

かつお節削り、男の子向きだと思いますけどね。

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かつお節削りは嫌いではありませんでした。

なんでもそうですが、

上手になると、自分なりの楽しみを見つけるようになりますしね。

わたしの場合、

削るときのシュイ、、シュイ、、シュイ、、シュイ、、という音は、

刃と鰹節の奏でる楽器のようで、

気持ちのよい音だと思っていました。

自らの呼吸にあわせて、シュイ、、シュイ、、と削っていくと、

鰹節をつかみ、押さえている掌から腕、腕から肩、肩から後頭部に爽快感が伝わり、

気分がすっきりするのです。

しかも、削るたびに、あの、鰹節特有の呈味アミノ酸

そうです、イノシン酸の香りが深さを増し、

削りはじめると、いつも箱いっぱいに削っていました。

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脂がまわるから、と、

母は、その日の使う分だけを削る主義。

シュイ、シュイ調子に乗って削っていると、

「もう、ええよ、もう、いらんから」と、制止しました。

余ったのは、缶に。

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だし取りで、

鍋に削りかつおを入れたときは、

真剣で、

じーーっと、鍋の前で頃合いをみていました。

このときは、なにか話しかけても

「あとにして」。

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1度だけ、

たった1度だけ例外がありました。

中3のとき、台所をのぞいて、

「幾何100点だった」と言ったら、

だし取りしてたのに、箸をもったまま、

「ホント????」と、飛びだしてきました。

し、し、失礼な!

そんな大事件かいな。

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かつお節削り器は、下の箱の方が壊れ、

2台買いなおしたのを記憶しています。

鉋(かんな)の台木は、つやつやして、いい味だしてました。

もったいないなぁ、って、思ってました。

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夕方、玄関をあけたときに漂っていた

昆布と削りかつおのだしの香り、

そのだしを使って作った温かな煮物、汁物は、

家族をまとめる力があった、と、今思うのです。

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おいしい料理の基本はおいしいだしにあります。

「天然だしとのめぐりあい」、これからも続きます。

これからです。

点や線で続けます。

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