先日、今回のだしとり教室に参加の、
小2の男の子のお母さんから
メールをいただきました。
男の子のお母さんは、約20年前の生徒さん。
お菓子作りのアルバイトでお小遣いをためては
パリ コルドンブルーへの短期留学を
重ねるというエネルギッシュな女性でした。
飛行機のなかでフランス人の方と出会い結婚。
お子さんのYくんは小学校2年生です。
さていただいたメールです。
(略)
あの日、(Yちゃんは)食事中きちんと着席
していました。
食べることに集中していました。
恥ずかしながら、家や実家では食卓の周囲を
ふらふらと歩くのです。
おだしをつかった本当においしいもの、
一生懸命自分たちで作った料理、
みんなでいただく楽しさもあったでしょう。
貴重な体験、本当にありがとうございました。
いま、いただいた煮干しをつまみながら
Yと2人でパリへの引っ越しの荷造りを
しています。
パリには和食の食材店があるので
おだしの生活がんばります。
食事中、歩き回るお子さんのこと、
メールをいただいてから思い出しました。
出張だし取り教室で京王線S駅のシェアハウスに
お邪魔したときのこと。
そこは大型シェアハウスで、入居の方は
単身~フアミリー、年齢もさまざま。
当日、参加されたのは大人は、3~40人
子どもたちは7~8人ぐらいだったかと思います
建物は横長で、だし取り教室スタート時
子どもたちは奥の遊具で遊んでいました。
「こどもたちに見せたいな」と思いつつ
だしをとり始めると、出汁の香りに、
全員遊びをやめ、走ってやってきて
最前列の3~4台のカセットコンロの前に
一列に並びました。
試飲のたびに
おいしい!とワイワイ。
取り立てのだしで料理をつくり、配膳し、
ごはんよ!と呼びかけると
子どもたちは、子どもたちだけで
テーブルを囲み、早く食べたくて速やかに着席。
ごちそうさまのころ、
30代のおかあさんが顔半分にハンデイタオルをあてて
近寄ってこられ、涙声で
「いや、もう、びっくりしてます。
おだしってすばらしいですね。
うちの子が、あんなに長い間座って、
食事してるの初めて見ました。
いつも食卓の周りをぶらぶらしたり、
走ったり、遊んだりしながら食べてるんです。
どうしたら着席して落ち着いて食べてくれるのか、
悩んでたんです。
だけど、
走り回る原因は、
つくり手のわたしの方にあったんですね。
うれしいわ!!おだしとります!!!」
と喜んでおられました。
昆布、鰹節、いりこ、干し椎茸・・・
昆布を中心に天然のだし素材を組み合わせて
だしとりをすれば、
昆布のグルタミン酸、鰹節やいりこのイノシン酸、
干し椎茸のグアルニン酸など
それぞれ出し素材のもつ旨味成分や栄養が合わさることで
いつもの料理のおいしさが7~8倍に増します!
つまり
ひとくちひとくちの満足感がとても高いのです。
また、鰹節は消化酵素を含んでおり、
食欲を刺激してくれることも覚えておきましょう。
このことも、落ち着きの要因かと
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だしとり教室です。
鰹節のサイズ、子どもたちには
小さい方が良いと思われるかもですが、
大きい方をある程度削って(面をつくって)
劑りやすくしておけば、大丈夫ですし
手を切ることもなく安全です。
こどもたち4人で劑りました。
つまみぐい
ワカメは、正しくもどすと7~8倍に。
もどしたワカメは、3cm角位に切ります。
同じサイズに切ると、たべやすいんですよ。
お料理好きの仲良し姉妹。
炊き込みごはんに、だしと調味料を
加えています。
今日のおだしは、いりこだし
黒いのは、だしがらの昆布。
今日のいりこは、6月中旬からはじまった
伊吹島新漁のとれたて。
だしがらいりこ、だしをとったあとでも
まだまだおいしくて、
料理しながら、つまみぐい。
デザートは、
白玉粉をまるめてお団子つくり。
大人もそうですが、
子どもたちもお団子づくり大好きです。
「いくつ作るの?」
「人数8人だから、8の倍数でつくるのよ」と
中1のはなさん。
蜜は、今朝つくっておきました。
洗双糖に黒糖のかけらをちょっぴり
混ぜて煮溶かした蜜です。
できた~~~♫
「いただきます!の前に、記念写真とりまーす。
みんなでつくったお料理と一緒にね」と
今回お申し込みの美和子さん。
「おいしかった、また来たい」
「ここ、また来たい」とこどもたち。
またどうぞ!!!
小2の2人の男の子たちは、フイリピンでの
小学校の同級生。
なんと誕生日も同じという仲良し。
まるで双子のように息の合う2人でした。
そうそう、特筆すべきことがありました。。
子どもたちは、味にも香りにも、とっても
知覚能力の高い子達でした。
昆布、かつおぶし、いりこを口に含んでは、
感想を言ってくれましたが、それが的確で
本当に驚きました。
とくに4種の昆布のうまみのちがいを
はっきりと・・・・。
舌には味を感じる「味蕾」という味の受容器が
ありますが、今回の子どもたちの「味蕾」が
ちゃんと機能していることを知り得たこと、
そんな意味でも、楽しい教室でした。
<こどもの頃の食事をたいせつに>
年齢を重ねてきたから言えるのですが、
日本人は、こども時代に、だしをきかせた
和食で育つこと、その母の味のベースが
舌の記憶にあると、一生の健康が大きく
ちがってきます。
10代~30代、油脂分の多い食事で過ご
したとしても、
消化力の落ちる40歳位になると、
日本人は自然に和食が恋しくなり、
さっぱりした酢の物、野菜の煮物、
ひじきや切り干しの煮物、味噌汁等、
食べたい和食の料理が頭に浮かんできます。
しかし、
幼児から子供の頃、その舌の記憶がないと、
体はあっさりしたものを欲しているのに
料理がイメージできず、何をたべていいのか
わからず、かわらず外食などで高脂肪、塩分
過多の食事で済ませてしまう・・・。
その先は生活習慣病が待っています。
子供のころの食は、とっても大切です。