自宅での日本料理教室では、当然、だしをきちんと取って
料理をしていますが、生徒のみなさんが感動されるのが、
天然だしを使って作ったお吸い物やおかずの味。
その感動は、インスタントの化学のダシでは味わえなかった
素材の香りや味が楽しめるからなのです。
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小さな教室でだしを広めるのには限界があります。
幸いなことに、拙著の出版を機会にお話をいただき
2004年5月5日、子供の日より、3年間、不定期ですが
仙台で出張料理教室を始めました。
このとき教室のタイトルを、わざわざ「だしを取って料理する」に、
させていただきました。
ブログにも書きましたが、このとき参加されたみなさんの
「天然だしとの出会い」は、自宅での教室とはまた異なった
感触で感謝したり喜んでいただき、「だしの力」を心新たに
再確認した次第です。
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2008年6月28日、経堂の自宅でも出汁を取って料理する出汁
教室を始めました。
1人でも多くの方に、出汁と、出汁を使った汁物や煮物などを
味わっていただきたい、という教室です。
出汁の素材は、これ以上ない、最上の品を取り寄せて使います。
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昆布は、大阪・からほり通り、こんぶ土居さん。
削りかつおは、東京・晴海、鰹節のタイコウさん。
<川汲浜産・真昆布>
写真の昆布は、日本一という折り紙つきの真昆布です。
ラベルに「川汲浜」と表示してあるでしょう?
北海道・道南地方の川汲(かっくみ)浜で採れた天然真昆布です。
昆布は、収穫する浜によって品質がちがいます。
通称、浜格差(はまかくさ)というのですが、浜の環境、つまり
海流、プランクトンなどの影響で、味、香り、栄養価、仕上り
方が、ちがうのです。
身が厚い、つまり肉厚で、美しいつやのある褐色、凛とした
風格が天然真昆布ならでは。
味の特徴は上品な甘味。かむほどに真昆布特有の、ほどの良い
甘味が広がります。
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出汁は、澄んでおり、うれしくなるくらい、吸物の色が晴れます。
これは、和食好きの人にとっては、いちばん嬉しいことです。
さらに、控えめな滋味のある香りと甘味は、素材の味と香りの
邪魔をしません。
逆に、香りや味を引き出してくれるのです。
<真昆布の水出汁>
また真昆布は、出汁を取る前、水出汁を(水に浸けて水の中に
旨みを溶出する)してから、削りかつおを加えて出汁を取ると、
とても旨みの強い、力のある出汁が取れます。
初めてのとき、感動しました。
さすが、真昆布の水出汁、と。
椀物(汁物)、野菜や乾物の煮物、煮びたし、おひたし、酢の物、
そしてご飯物。
つかった素材の香りと味を引き出し、また、しっかりとした旨みで
料理を抱き込みます。
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出汁とりと昆布
今回、下記で、出汁の取り方をご紹介しています。
水に浸す水出汁法ではなく、直接出汁を取る方法です。
水に浸しませんから、約10分で取れる出汁の取り方です。
この取り方の場合、まだまだ十分旨みが残っていますから、
2番出汁を取り、そのあと、昆布〆、佃煮や酢の物、和え物、
漬物に利用したりします。
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出汁の取り方には、いろいろです。
料理法にもよりますが、暮らし方、味の好みもありいろいろです。
たとえば、上質の真昆布の場合ですが、
昆布を一晩、水に浸けて水出汁したあと(ここで取り出すのではなく)
そのまま火にかけ、グラグラ5分間位煮立てる方もあります。
しっかりした出汁が取れるから、と。
最高級の真昆布・川汲浜産は、くせ(海藻くささ)がありませんから、
煮立てても海藻のくさみはありません。
その方法もおすすめできます。
浜格差と、前述しましたが昆布は、種類によって、浜によって、
こんなに?と、びっくりするくらい味がちがいます.
知れば知るほど、ちがいがわかってきます。
面白いですよ。
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<一本釣りかつおの本枯節>
削りかつおは、ラベルの表示にあるように、タイコウさんの
本枯節の「花くらべ」です。
その製法については、このブログの「タイコウ 仕上げ篇」で
書きましたが、鹿児島・枕崎産の一本釣りの本枯節の削りかつお。
本枯節というのは、かび付けした鰹節のことです。
3度のかび付けで醸成されています。
かび付けするたびに水分が抜け、保存性が高まり、旨みが
重なっていくのです。
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だしを取り、そのまま飲むとわかりますが
①すっきりとした鰹の風味、②深い旨み、さらには飲んだあとの
③後口のよさがあじわえます。
かつおだしに求めたい3拍子の揃った強いかつお節」です。
その強さがあるから、二番出汁も取れるんですね。
また、この「花くらべ」の削りかつおには、2つのタイプがあります。
血合いぬきと血合い入り。
教室では、おかずの煮物や味噌汁をつくりますから、
血合い入りを使っています。
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<価格のこと>
昆布も、削りかつおも「天然のものは高い」、と言う方がおられます。
もちろん、土居さんの真昆布にも、タイコウさんの削りかつおにも普及品はあります。
鰹節でいえば、本枯節を削ったときにでる、便利なかつおの粉なども。
でも、
でも、
本当に「高い」のでしょうか?
真昆布も、かつお節も、年々収穫量が減少していますし、
「天然物の生産者の方の手間」というのは、並大抵のものではありません。
さらに、年々深刻化する異常気象の中での製品化におけるご苦労は、計りしれない
ものがあります。
さらに、土居さんとタイコウさんの扱う商品は、品物自体がちがうものなのです。
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<まずは、最上の出汁を味わってください>
わたしは、「天然出汁との出会いは、最初が肝心」と思っています。
最初に最上の昆布と削り鰹でとった出汁を舌が知り、おいしさが
わかれば、出汁取りの習慣がはじまり、続きます。
教室でも、友人でも、
いままで長い間、化学のダシを使っていた人が、
天然の出汁に出合って、即、転向、というケースはたくさんあります。
わたしが、天然の出汁が「おいしくて安全」と説くよりも、
出汁を使ったお吸物、煮物などでわかっていただけたからです。
まずは、最上の出汁を知っていただきたいと思います。
その味を味わってから、暮らし方や料理法や好みで
ご自分の出汁の素材をきめていただければ、と思います。
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出汁のこと、まだまだ続きます。
栄養などについても、またの機会にお報せしたいと思います。
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出汁とり、初めの一歩です。
1リットル=カップ5の出汁を取ります。
真昆布は、10g
軽くサッサッと、表面をタオルで拭きます。
土居さんの昆布は、そんなことしなくてもいいのですけど。
実際、きれいでしょう?
真昆布の厚みにご注目を。
つやのあるのも、おわかりですね。
表面の白く見えるのは、マンニットという旨み成分です。
洗い落としたりしないでください。
関東の方は、鰹節の味の強いのがお好きです。
20gでも。
昆布をきかせたい、鰹をきかせたい、これはもう、お好みです。
使う料理にもよります。
上の量を基準にして増減なさってください。
ザルに水を通して水気をぬぐい、布巾も水を通して固くしぼって。
布巾の代りにペーパータオルでもOKです。
ボウルの上に乗せておきます。
さて、18cmの鍋を用意します。
カップ5=1Lの水
10gの真昆布を入れて、火にかけます。
わたしは、沸騰まで10分かけています。
つまり、火加減は、ちょっぴり弱目の中火。
上の写真は、真昆布を入れたところです。
あとで、大きさを比較してくださいね。
5分経過。
10分経ちました。
ちょうど沸騰寸前になると、
昆布がゆらりと鍋底から上がってくるので、それを機に取り出
します。
そのまま沸騰させ、アクを取り、削りかつおを加えます。
(アクを取ったあと、水を大さじ2入れ、再び点火しても)
わたしは、約1分30秒~2分おいて、
削りかつおが沈み始めたらこします。
花くらべは薄いので、こんなに少量に。
なるべく自然にこしてください。
でも、花くらべは、渋み、えぐみがないので、
ぎゅっと、しぼっても大丈夫です。
きれいでしょう。
わたしは、約40年間、他の昆布と削りかつおを使っていましたので、
違いがよくわかります。
昆布の幅、
こんなになりました。
上の昆布、もちろん10g。
上下の昆布は、1本の昆布でも上下でした。
厚みも、
こんなになりました。
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こんな風にして、だし取りをしていきます。