引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

過去のブログからー37年ぶりに再び歩きはじめた「星と川」の「しんてん」。

2016年06月29日 | ときどき日記

2010年12月投稿のブログです。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10月中旬過ぎのある日。

 

「びっくりするような話があって、

東京行くんやけど、

いんどっち、時間ない?

もちろん、星のっちも来る」

Img_6689

電話の主は、和歌山在住の昔の同僚・

川口っちから。

 

「わーー、残念!

2日続けて教室の日、無理だ」

「そうか、なんとか都合つかへん?、

実は、その日、初めて会う人がおって、

できたら、いんどっちも一緒にて思って・・・」

残念ながら、わたしは行けませんでしたが、

2人に、ほんとに驚くべき感動的なことが

舞い降りてきたのです。

.

37年前のレコードが、CDで復刻。

1973年、37年前、

2人が自主制作したレコードが、

まったく面識のない、若い人の手で

CDで復刻され12月22日に売り出

されることになったのだそうです。

またもや、インディーズで。

Img_6683

(作詞)星野博志、(作曲)川口正浩。

アーティスト名は、星と川。

タイトルは、しんてん。

ヴォーカル、楽器は、もちろん、2人。

イラストは、川口正浩。

.

わずか、50枚リリースしただけの

自主制作盤。

当時25歳だった2人。

2人の年齢を合わせたら50だね、と

たった50枚しかリリースしなかった

レコード。

タイトルの「しんてん」は、手紙の親展の意。

このタイトル通り、

親しい人にプレゼントしたり、買って貰ったり

したようです。

Img_6687

その、たった50枚のうちの1枚が、

なんと新宿の中古レコードショップで

売られていたとのこと(高額だったそうです)。

.

それを購入した前述の若い方は、

「これは、70年代フォークソング群のなか

でも秀逸の出来。

このアルバムは、1人で聴くだけでは

もったいない、もっと多くの人に聴いて

欲しいと思い、インディーズでの復刻を

決意した」のだそうです。

復刻の了承を得るために、今回の顔合

わせが実現した由。

.

1970年代、

アメリカ大使館のそばの広告代理店の

同僚だったわたしたち。

星のっちと川口っちは、営業部。

わたしは、制作部でラジオやTVCMや

雑誌広告のコピーを作成。

入社して間もなく昼食を共にするようになり

いつごろからからか2人でつくった曲を

会社の会議室で聴かせてくれるように

なりました。

新しい曲ができたときは昼食時も2人は

ソワソワ、ソワソワ。

「早く食えよ、いちいち噛むなよ、

飲み込むんだよ」とせきたて、

会議室にデッキを持ち込んで試聴。

今回、復刻された方が「秀逸の出来」と

認められたように、2人の1人1人の声は

もちろん、2人のハーモニーは美しく安定

しており、詞、曲とのバランスもよく、何度

聴いても飽きないものでした。

「プロになればいいのに!」

何度も言ったものです。

.

いつも嬉しそうにデッキにカセットを

挿入し、テヘヘッと照れ笑いしながら

チェックする2人。「ジョン(Jレノン)の

未発表の曲だよ」と、そっくりの声で

わたしをだましたり、甘いラブソング

のときなどは、テヘへへ、アハハハが

いつまでも続き、3人共、おかしくて、

おかしくて、涙がちょちょ切れお腹を

よじって笑ってました。

川口っちは、めがねをふきふき、

星のっちは、肩まで伸びた髪をサラサラと

揺らして。

.

ある日、

「飛行館スタジオ、おさえたんだよ。

収録するから来て」

と、星のっち。

(飛行館スタジオ=当時、新橋に

あった大手の録音スタジオ)

退社後のぞくと2人はスタジオの中。

録音のブースから見る2人は、

いままで見たことのないタイトな横顔、

ピりりと神経が研ぎ澄まされたような表情。

しかし、あがることなく美しいハーモニーで

丁寧に歌う2人に、

鳥肌が立ったのをおぼえています。

このレコードがリリースされて暫くして、

星のっちは、CM制作プロダクションへ、

川口っちは、故郷・和歌山のテレビ局へ、

わたしも、某オーディオメーカーの宣伝部へ。

最後に3人で会ったのは、1975年、

吉祥寺でした。

 

当時わたしは、ただ聴かせてもらっていた

だけですが、音楽に燃焼した2人を見て

いたことが、わたしにとってすてきな日々

でした。

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Img_6695

復刻のCDに関して川口っちは、

「なにしろ37年前のレコード。

音質も擬似ステレオ(左右同じ

音質のモノラル)で良くないし、

3曲のボーナス・トラックは、

自宅でカセットに録音したものなので、

これも然り」、とのこと。

 

モノラル。

当時の自主制作盤らしくて、

わたしはいいと思います。

このブログのタイトルに、

「37年ぶりに再び歩きはじめた

「星と川」の「しんてん」、としましたが、

これからが2人の、ほんとうの歩みに

なればいいな、と想っています。

復刻してくださった若い方に、

わたしからも深謝いたします。

 

12月22日、CD発売!

CDで再び1歩踏み出した

「星と川」の「しんてん」

あれから、色んな反響が届いて

いるそうです。

22日、disk union、芽瑠璃堂

など店頭に並びます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

再掲載するためにタイトルを変え

さらに「下書き」にしたため、迷子に

なっていたブログでした。

このときから6年経ちました。従って

レコード制作は43年前のできごとと

なります。

 

 

 

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます。 (川口っち。)
2010-11-24 16:14:22
ありがとうございます。
目に浮かぶように書いてもらって、流石、コピーライターです。
あの3人でよくクククって笑っていたのを思い出すよ!
しかし、いろいろ、よく覚えているよなぁ~!こっちなんか、
ボーナストラックの3曲なんて、もう、全然、記憶になかった
んだから、困ったもんだよ!
星やんに、作った本人なのになんでやねん?って言われる
始末。
でも、こうして、再発出来て、ほんと、盤も生きがえったというか、
こっちにも、元気をもらっている感じです。
これから、ほんとうの歩みになればいいけどね。
ブログ掲載、ほんと、ありがとうございました。
次回上京の折には、教室じゃない時に「お笑い会」しましょ!
引頭っち!ありがとうね!
返信する
はじめまして! (Branco Label)
2010-11-24 21:05:49
はじめまして!
しんてんのCDを復刻させていただきました、その若造です。
こちらこそ、ブログにて紹介していただき、貴重なお話も読ませていただきましてありがとうございます!
いんどう様にも喜んでいただけましたようで、僕もうれしく思います。
ぼくはいつも、おもしろそうなことは思いつきでパッとやってしまうのですが、このようにやったことに対してレスポンスが返ってきてくれたりするのが本当に楽しくて、今回のしんてんのCDもやってよかったなーと思えます。
このCDは少しずつ、地道に売っていこうと思っております。素晴らしい内容なのは確かですので、時間をかければ評判が広まり売れると思います。
それでは、失礼いたしました。
返信する
「しんてん」ものすごく聴きたくなります... (RT)
2010-11-26 23:32:59
「しんてん」ものすごく聴きたくなります...
ちょっと映っている歌詞もとっても気なりました。
イラストもすごくいいですね。。

50枚のうちの1枚… すごいお話です。

お二方のコメントも、楽しく読ませていただきました。

返信する
ブランコ・レーベルさま。。 (いんどう さち)
2010-11-27 08:55:13
ブランコ・レーベルさま。。

こんなこともありました。
ある日の午前中、わたしのブースにに2人揃って
やってきて
「ビートルズの海賊盤見つけてさ!」
とうれしそうに言い、「じゃ、昼!」と去っていきました。


海賊盤ね、
なんで、オリジナルじゃないものを聴かせるんだろう、
不思議だな、と思いつつ昼食を共にし、いつものように
会議室へ。

Let it beだったか、曲は忘れましたが、聴きなれた
ビートルズ・ナンバーです。
「どこでみつけたの?」
「え?」
星のっちの小鼻はふくらみ、
クルっと、うしろを向いた笑い上戸の川口っちの肩はヒクヒク、
すぐさま
2人揃って、
ぷーーっとふきだしました。

2人が楽器と声を重ねて作ったコピーでした。

驚いたと同時に、
なぜ、この2人がネクタイをしているんだろう、
もったいない、と思ったことでした。

もうひとつ、あのころのフォークソングを聴けば
わかるように、2人もまた、飽き足らないものを
抱えていたはずです。
ひとつには、その発露といえるのかもしれません
よく働き、仕事もできる2人でしたし、ただ明るく
音楽を楽しんでいただけではありません。

P.S.
教室での食後のお茶のとき、こっそり「しんてん」をかけました。
生徒さんから「ところで『しんてん』ってどんな曲なんですか?」
と聞かれ、「いま、かかってるのがそうよ」とこたえたら、
「え~~~~~~~~っ、こんなに,お上手なんですか!」
「聴いたことないから、何の曲か分からなかったけど、
これ、プロの歌だと思ってました!全然、素人くさくない」

みなさん、完成度の高い曲に驚いてました。



返信する
Oh! yeh! 毎度マイド! (☆のッチ)
2010-12-06 16:02:00
Oh! yeh! 毎度マイド!
懐かしくも、ダシのきいた記事サンキューです。
結局、音楽も、料理と同じ。
旨い酒と美味しい食い物…そして、信頼出来る楽しい
仲間たちがいてゴキゲンてこと!!

またマジな話からバカな話まで、色んな話をして
ゲラゲラ笑いましょう!☆
返信する

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