引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

はじめまして。

2008年12月08日 | ごあいさつ

料理研究の仕事をしている引頭佐知(いんどう

さち)と申します。

.

このブログは、主に料理を中心とした内容+趣味

少々で展開していく積りですが、始めるにあたり、

料理に関して本当にたくさんのことを教えていただ

いた方に、ご挨拶をしたいと思います。

東京・杉並区A駅の関西料理店「竹本」さんのご主

人です。

知る人ぞ知る有名店でした。

たとえば食関係の人々との、おいしい日本料理店

の話題のとき、お店の名前がひと通り並んだあと、

「では、中央線A駅の竹本さんをご存知ですか?」

何度聞かれたことでしょう。

「とっておき」の、そういうお店でした。

.

1年12ヶ月。おとうさんの手による、

巡りくる季節の、香り高い料理には、気品と華があり、

おいしい、などという簡単な言葉では表せないもので

した。

その一品、一品に、

材料をみる眼の厳しさ、

手間を惜しまない完璧な仕事ぶり、

高い美意識、

陶磁器への造詣の深さがうかがわれ、

その芸術的な素晴らしさは、枚挙の暇がありません。

当然、上質のお客にめぐまれ、愛されたお店でした。

多くのマスコミ取材を断り、

常連客を大切に料理し、騒がず、淡々と料理に向う

方でした。

休日は、読書や次男Hさんと陶磁器を中心とした

美術館通い。

コレクションの器の数も夥しいものがあり、

料理をいただいたあとの、器談議も竹本のおとう

さんならでは。

「まるで、ゼミのよう」、と称した人もいました。

.

築地でも「あんなに見る目のある職人さんはい

ないね」、

「最後のちゃんとした職人さん」と業者の方にも

高く評価されていた方でした。

師匠とはとても呼べない、雲の上の方でしたが、

不肖の客のわたしの仕事によく眼を通してくだ

さり、感想を頂戴しました。

ほんのひと言でしたが、そのひと言でまた次の

仕事のときのヒントになり、すこしづつ育ってき

たような気がします。

調理法で悩んだときは、夕方4時ごろ電話でう

かがうのでした。

わたしの質問のボールは直球でミットにストン

と入るのですが、おとうさんの回答は、ワンバ

ウンドやカーブで投げ返され、

自分でもう少し考えなさい、というものでした。

どんな仕事でも、作業中に「竹本のおとうさん」

の眼をいつも意識することができたのは、本当

に幸せなことだったと、思います。

2年前、現役でお亡くなりになられました。

享年82歳。

このブログも、1番最初に読んでいただきたい、

その積りで書きこみます。

わたしのことですから、ときどきふざけますが

「ほんっとにもう、しょうがないねぇ」と許しても

らえるはずです。

では、おとうさん、始めます。

チェック、よろしくお願いいたします。

2008年5月10日。

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