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調理室には6台の調理台があり、生徒36人は、
6人づつの班に分かれて実習します。
<実習内容>
1,だし素材の味見、
2,だしを取る(関西風うどん用)
3.取っただしに調味し、めんつゆをつくる。
4,関西風かけうどんをつくる
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講習時間は、1時間20分。
時間に余裕がないので、話はちょっぴりで切り上げ、
だしの取り方の流れを説明します。
*だしの取り方は、子どもたちが覚えやすく、家庭でも
気軽に取れるよう考案しました。
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めんつゆ用のだし素材の味見と
子どもたちの反応
めんつゆ用のだし素材3種を,ボウルに入れて
6班に配ります。
食べやすくカットしたこんぶ、花かつお、煮干。
初めて見る子が多いのでしょうか。
「なに、このちっこい魚」
「黒いのなに?」
「こんぶだよ」
「えー、これ、食えるの?」
感じたことを素直に口に出す子どもたち、
とってもにぎやかです。
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調理場は、広いので、紙を丸めてメガホンにし、叫びます。
「いま配った3種類の材料でだしを取ります。
こんぶとかつお節はそのままでいいのですが、
煮干は、頭とはらわたを取りまーす。
いい?
こらこら!聞いてる?
煮干は、これより(小羽と中羽の中間)小さいのは、
そのままつかいますが、この大きさだと、
頭とはらわたを取ってつかいます。
頭とはらわたの取り方、いま、やりますよ。
おぼえてください」。
2回でマスターしてくれました。
「こんぶ、かつお節、煮干し、味見してください」
ほとんどの子にとって初めてのだし素材、どんな反応であれ、
楽しみでした。
子どもたちは、いえ、男の子たちは、
「うめーーー!」「おいしーー!」と、大きな声で騒ぎます。
「もっと、食べたーーい!」
なんて声も聞こえます。
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ところで、
「なに?このちっこいさかな」「これ、食えるの?」と言ってた子の
ことが気になりました。
ここで質問します。
「おかあさんがだしを取ってる人、手をあげて」
4人でした。
36人中4人です。
36-4=32
うーーーん、
今日のだし取りで、このクラスの子どもたちの家庭の食事
変えたいものです。だし素材には、成長過程に必要な栄養素
ミネラルがたっぷり。だしをつかった料理は、子どもの心と
身体に大きく影響します。
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だし取り教室スタート!
素材を食べて、あんなにおいしいと言っていた子どもたち、
だしを飲んだら、どんな反応するのかしら?
楽しみにしながら、わたしの実習に移ります。
紙を丸めたメガホンで、
「では、はじめまーす、みんな集まって」
そう言って、昆布と煮干しを入れた鍋を火にかけると、
子ども達、ドドっと集まってきます。
3分くらい経過して、
甘いこんぶにくるまれた煮干しの香りが漂いはじめたら、
鍋を囲む子どもたちの輪が重なり始めます。
鍋の上にかぶさり、香りをかぐ子、
「いいにおい~~~~~!」
手で香りを集めている子、
「うまそ~~~ぉぉ~~っ」
「早く飲みて~~~、ね、いま、飲んじゃダメ?」
思い思いの仕草や言葉で、「おいしさ」を表現します。
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1人の男の子は、目をきらきらさせて
鍋のなかの泳ぐ煮干しを指さし、
「ね、お願い!このさかな、一匹でいいから食べさせて!」
「だし取り中だから、だめ」
「こんなにいっぱい、いるじゃない?1匹だけ、ね、ね、ね!」
このあと、かつお節を加えたら、
子どもたちの
「うまそーーーーぉぉぉ!」の声は、最高潮に。
「だしの取り方、わかった?」
「は~~い」
「かんたんじゃん」という声も聞こえます(笑)。
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だし取りをしたコンロのそばには、で
だしを取ったあとの、だしがら。
「ね、ね、これ、どうすんの?捨てちゃうの?」
「ふりかけとか佃煮とか、いろいろつくれるのよ」
「どんな味がするんだろう」と、
かつお節や煮干のだしがらをつまむ子たち。
「おれ、昆布、食べてみる」とかじる子。
未知の味への好奇心・挑戦は、男の子ならでは。
それと共に、W小学校が食に関心の高い学校というのが
よくわかります。
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いよいよ、子どもたちの実習スタート!
1リットルのだしが取りやすい18cmの鍋などのだし取り
用道具、材料の、こんぶ、花かつお、煮干しをそろえて、
各班に取りにきてもらいます。
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花かつおは、散らかるので、ビニール袋に入れて渡します。
袋に手を入れ「ね、これ、少し、食べていい?」
「だし用にちゃんと計ってあるんだからだめ!」
男の子は、率直で本当に愉快です。
だし取り、子どもたち、たった1回の講習で、できるかしら、と
ちょっぴり心配しながら各班を見回りましたが、
初めてなのに、すごく飲み込みが早い。
男の子たちも、あんなに騒いでたのに、しっかりだし取りを
しています。
アク取りもていねい。
うしろからのぞくと、聞こえる真剣な声。
「ほら! こんぶは浮きあがったら出すんだよ」
「こんぶのあと、煮干は弱火で5分煮るんだよ」
布巾の四方をつまんで、こし取るところです。
女の子たちは、男の子と比較するとちょっぴりお姉さん。
講習中も静かに見ていましたが、落ち着いて作業をすすめて
います。
できた!、
おっ、飛び込んできた、Vサイン。
なにか、メモを見て確認してるようです。
学園祭に向けて、地道に学習している感じ。
<無添加の素材はおいしい>
全員だし取りを終え、めんつゆをつくったあとのこと。
36人分のだしを取る大鍋に煮干しを空けようとしていたら、
男の子たちが「あ!ちょうだい、ちょうだい」と集まってきました。
最初の味見で、やみつきになったようです。
食べること、食べること・・・すごい勢い。、
両手でつかみ取りする子もいたりして、すごい人気。
ほんの3分ぐらいでしたが、あっという間に約150gの
煮干しが消えました。
添加物のうまみをまぶしたスナック菓子、あんなに夢中に
なって食べるでしょうか?
煮干は、無添加のカルシューム。
子どもたちの身体が求めている、と確信しました。
子どもたちのお母さんに、ぜひ見ていただきたい光景でした。
シャッターチャンス遅し。
もっともっと、たくさんの子がいたのですが。
各人、家から持ってきたお椀。
稲庭うどんをゆでてよそい、めんつゆをかけ、青ねぎをのせて
できあがり。
「おいし~~~~!」「うめ~~~~!」、
あちこちの班から、聞こえてきます。
その子どもたちの声の元気で明るいこと、明るいこと。
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「だし、すごいぞ!!」
わたしは、胸の中で、ガッツ・ポーズをしました。
時間は、12時10分。うどんを食べ終えたら、お弁当の時間。
めんつゆをおかわりしながらお弁当を食べます。
エプロンの方は、担任の杉見朝香先生です。
終了後は、全員で、あっという間に片付けます。
片付けを始める前に、36人、1人1人の子どもたちが
「ありがとうございました」、「おいしかったです」、
「また来てください」とそれぞれの言葉で、挨拶し、
片付けて退出。
その日の先生のメールには、
「子どもたちが感想文を書きましたので、お渡しします」、
とありました。
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次回は、感想文へと続きます。
おいしいうどん作りのために、だしに取り組んだことが
よくわかる、ひたむきな姿勢がすてきな内容です。
そのうち。
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だし取り教室ご案内
だし取り12ヶ月
10月のテーマは、こんぶと煮干し
こんぶだけ、煮干だけの,だし
それぞれ味わいはあるけれど、
こんぶと煮干、合わせただしは、
旨み以外にびっくりが。
だしで、料理でおたのしみください。
10月23日(土)3時~7時
講習料・5000円(伊吹島産煮干を提供していただいたため)
お申し込みは