引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

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鰹節店・タイコウ 仕上げ方と味

2008年06月09日 | 天然出汁とのめぐり合い

築〇の削りかつおなら、大丈夫、

最高のいいだしが取れる、

そう思ってました。

そうですね、約30年近く、そう思ってました。

教室でも、自信をもって紹介してきました。

 

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ところが、

あるんですね、上には上が。

東京・晴海のタイコウという会社のは、

1本釣りの鰹節。

日本一おいしいという噂でした。

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2月10日、わたしの暮す町・経堂で開催された

<CrewCrewネットワークのセミナー>に出席。

タイトルは「鰹節屋が鰹節について語る」 。

お話は鰹漁の話からです。

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◎鰹漁には、1本釣りと、巻き(まき)網があります。

タイコウさんが扱っている鰹節は、

1本釣りした鰹です。

 

巻き網漁ので水揚げされた鰹は、

網の中で鰹同士がぶつかりあって、苦しみ、、

外形も外傷を受けていますが、

精神的(?)にもストレスを受けており、

人間同様、そのストレスで魚体に乳酸がまわり、

結果、

すっぱい、酸味のある鰹節になるのだそうです。

◎1本釣りの鰹は、そのストレスを受けていないため、

形も整っているし、

酸味もない、

旨み成分のイノシン酸も損なわれていない、

だからおいしい鰹節というわけです。

やっぱり、原料の段階から、ちがうのですね。

釣り上げられた鰹は、船内で凍結され、

鰹節生産者に届けられます。

 

鰹節製造の最初の仕事は、解凍です。

解凍作業には、丁寧さが要求されます。

一晩かけてゆっくり解凍されます。

さらに、

ここから、

多くの手作業が積み重ねられるのです。

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◎鰹節の種類.

大きくわけて「荒節」と「枯本節」の

2種類があります。

荒節は、かび付けをしていないもの

(その荒節を削ったものが花かつおです)

 

枯本節は、荒節の表面を仕上げてから、

かび付けを3回施したものです。

干して乾かして箱に詰めてかび付けし、

また干してかびを取り、

という手作業を繰り返して製品に仕上げます。

◎枯本節の「だし」の旨みは、このかび付けの間に、

醸成されます。

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セミナー修了後、

わたしは、その場で、

枯本節の鰹節と枯本節の削り節を購入。

そして、会場をぬけ出し、

自転車に飛びのり、自宅のキッチンへ急ぎました。

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どんな香りなんだろう、

どんな味なんだろう、

のどごしは?

Img_0397_2

「花くらべ」の袋を開けてみました。

すっきりとした高い香り。

香りがすくっと、立っています。

冴えているといえばいいのかな。

薄さも、乾きぐあいも、ちがいます。

ふわっふわ。

さらっさら、

つかんだときにわかります。

これは楽しみです。

さすが、噂通りの削り節、

だしは、料理をする者にとっては、

料理のいのちを決めるもの。

まずは、香りで、うれしくなりました。

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大急ぎで2つの鍋を用意し、

水を入れ、

真昆布を加えて火にかけます。

実は、ありあわせの三つ葉と焼き麩。

昆布がゆらりの浮き上がってきたら沸騰直前。

昆布を取りだします。

さて、

左の鍋には築地の削り節。

右の鍋には本枯節の削りがつお「花くらべ」を投入。

なるほどーーーぉ。

タイコウさんのは、薄いので,すぐに浸透し、

鍋の中に、旨みを抽出しきっているようです。

吸物の味も香りも、色も

濁りがなく冴えています。

塩で味をきめて、薄口しょうゆで香りを添えます。

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すごくおいしい。

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価格は、安くはありません。

原料をはじめ、品質が違うのです。

価格に見合った品質、そう思います。

 

手ぬきをしない手作業、

いいものを、という姿勢を守るには,仕方のないことなのです。

伝えたいことたくさん。

続きはまたそのうち。

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タイコウのさんの鰹節のHP。

http://taikoban.chicappa.jp/

TEL=03-3533-4834

FAX=03-3533-4622

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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