きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

けいざい四季報 2024 Ⅱ ④ 半導体産業 米・中覇権争いのなかで

2024-06-29 09:22:58 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2024 Ⅱ ④ 半導体産業 米・中覇権争いのなかで

【ポイント】
①AI専用の半導体をめぐる大企業の競争が激化。米エヌビディアが世界首位に
②AI向け半導体の確保は米・中の軍事的覇権争いの焦点に。日本は米国に協力
③「骨太の方針」で半導体大企業の支援強化。日米首脳会談でも支援連携を確認

自然な言語や画像をつくる生成AI(人工知能)が急速に広がるもとで専用半導体の製造や確保をめぐる大企業間や国家間の競争が激しさを増しています。

ブーム追い風に
18日には米半導体大手エヌビディアの株価が米株式市場で急伸し、時価総額でマイクロソフト(MS)を抜いて初めて世界首位に立ちました。同社の株価は前日終値比4%弱上昇し、時価総額が約3兆3400億ドル(約527兆円)に到達。MS(約3兆3200億ドル)やアップル(約3兆2900億ドル)を上回りました。
エヌビディアは、膨大なデータを瞬時に処理して生成AIの学習や推論を支える画像処理装置(GPU)の世界市場で8割を占めています。
「チャットGPT」を手がけるオープンAIなど巨大IT企業がこぞって購入しており、生成AIブームの追い風を受けて時価を高めた形です。グーグルなども自社の専用半導体の開発に乗り出しています。
エヌビディア製品の確保は、ドローン(小型無人機)や自律型致死兵器システム(LAWS)など最新鋭兵器への生成AIの利用を進める米中両国にとって死活問題となっており、経済安全保障に関する米中対立の焦点になっています。



米半導体大手エヌビディアの本社=5月21日、カリフォルニア州サンタクララ(AFP時事)

輸出規制を強化
18日には米ブルームバーグ通信が、日本とオランダに対して米国がAI向け高性能半導体について対中規制を強化するよう要請すると報道。高性能半導体の製造装置を手がける大手の東京エレクトロン(日本)とASML(オランダ)が念頭にあるといいます。
米国は国内の半導体工場に巨額の支援を行いながら、エヌビディア製半導体の対中輸出規制を強化しています。
日本は米国に歩調を合わせ、半導体製造装置などの対中輸出規制を強めています。一方、財務省の貿易統計によると、半導体製造装置の輸出額は中国向け(台湾を除く)が対世界比で5~6割を占め、依存度を深めている現状もあります。




日本の技術動員
岸田文雄政権は21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)で、次世代半導体の量産に向けて「重点的投資支援を行う」ために法制上の措置を検討すると明らかにしました。すでにラピダスの北海道工場に最大9200億円の支援、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場に同1兆2000億円の支援を決めています。青天井に特定大企業を優遇する政策です。
4月10日には日米首脳会談の共同声明に、AI、量子技術、半導体など「重要・新興技術の振興および保護等によって日米の技術的な優位性を確保するとともに、我々の経済安全保障を強化する」ことを盛り込みました。次世代半導体分野では研究開発から人材育成までの日米の「共同技術アジェンダ(実行計画)」を策定することと、資金調達を含めた日米連携の強化を打ち出しました。
米国の対中覇権争いに日本の先端科学・技術を本格動員する構えです。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月28日付掲載


6月18日には米半導体大手エヌビディアの株価が米株式市場で急伸し、時価総額でマイクロソフト(MS)を抜いて初めて世界首位に。同社の株価は前日終値比4%弱上昇し、時価総額が約3兆3400億ドル(約527兆円)に到達。
「チャットGPT」を手がけるオープンAIなど巨大IT企業がこぞってエヌビディアの製品を購入。生成AIブームの追い風を受けて時価を高めた形。
米国は国内の半導体工場に巨額の支援を行いながら、エヌビディア製半導体の対中輸出規制を強化。
日本は米国に歩調を合わせ、半導体製造装置などの対中輸出規制を強化。一方、財務省の貿易統計によると、半導体製造装置の輸出額は中国向け(台湾を除く)が対世界比で5~6割を占め、依存度を深めている現状も。
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