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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ビジネスと人権 国連「訪日報告書」を読む(中) リスクに直面する人々

2024-06-24 07:13:27 | 政治・社会問題について
ビジネスと人権 国連「訪日報告書」を読む(中) リスクに直面する人々


労働者教育協会 筒井晴彦理事

国連「ビジネスと人権」作業部会の報告書は、差別などのリスクに直面しているグループとして、女性、LGBTQI+の人びと、障がい者、先住民(アイヌ民族)、マイノリティー、子ども、高齢者などをとりあげます。


2024年ジェンダーギャップ指数ランキング
順位(23年)国名指数
1(1)アイスランド0.935
2(3)フィンランド0.875
3(2)ノルウエー0.875
4(4)ニュージーランド0.835
5(5)スウエーデン0.816
6(7)二力ラグア0.811
7(6)ドイツ0.81
8(8)ナミビア0.805
9(11)アイルランド0.802
10(18)スペイン0.797
14(15)英国0.789
22(40)フランス0.781
36(30)カナダ0.761
43(43)米国0.747
87(79)イタリア0.703
94(105)韓国0.696
106(107)中国0.684
118(125)日本0.663
129(127)インド0.641
(0が完全不平等、1が完全平等)


深刻な差別
女性…世界経済フォーラムの2023年のジェンダーギャップ指数で146カ国中125位だったことや、日本政府の統計で女性労働者の68・2%が非正規雇用で働いていること、賃金もフルタイム同士の比較で男性の75・7%、非正規同士の比較で80・4%にとどまることを紹介。「女性の職業はしばしば補助的労働や臨時的雇用、パート労働に限定されている。その結果、キャリア昇進の機会が制限され、低賃金となっている」と強調しています。
大企業の男女賃金格差の公表を「積極的な第一歩」と評価する一方、女性の昇進差別やセクハラについて憂慮すべき事例が報告されているとし「指導的地位と意思決定機関においてジェンダー多様性の促進が必要」だとしています。
LGBTQI+の人びと…昨年成立したLGBT理解増進法について「LGBTQI+の個人への差別を禁止する条項が存在せず、差別の明確な規定が存在しない」と厳しく指摘しています。
障がい者…職場における差別と低賃金、見せかけだけ企業が雇用義務を果たす雇用代行事業の横行など「偽装雇用」に懸念を表明しています。障がい者の雇用促進には、法定雇用率の基準拡大が不可欠だと主張しています。
マイノリティー・先住民…アイヌ民族が職場で依然として差別に直面していること、在日コリアンや在日中国人の労働者に対し、雇用主がヘイトスピーチを含めた差別を繰り返していることに懸念を表明しています。
高齢者…差別的雇用慣行が存在すること、65歳以上の高齢者の70%が非正規で働いていること、60歳から65歳までの高齢者の賃金が同じ仕事をしている場合でも引き下げられていること、他のOECD(経済協力開発機構)諸国と異なり年齢差別禁止法が存在しないこと、雇用主が定年制を設け高齢者に劣悪な仕事を押し付けていることーなどを報告。「高齢者の労働権のための政策」を求めています。
アニメ制作者…報告書は、アニメ制作者が長時間労働を強いられているにもかかわらず初任給が年間150万円しかなく、制作者の30・8%がフリーランスまたは個人事業者で労働法の保護を受けていないとし、「アニメ業界は、これらの問題に取り組み、制作者に人間らしい労働を拡大することが絶対に欠かせない」と訴えています。

長時間労働
報告書は、企業による労働組合の日常活動への妨害や組合組織化を理由とした職場への立ち入り拒否などの事例があるとし、「公正で法律を順守する職場慣行を促進するうえで、労働組合は必須の役割を担っている。作業部会は、労働組合の重要性を繰り返し強調する」と主張しています。
長時間労働に関わって、職業に起因する病気、とりわけ精神疾患に対する損害賠償件数が増えていることに懸念を表明。残業時間の上限規制に例外が設けられていること、医師の場合は年1860時間もの残業が可能となっていることにも強い懸念を示しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月21日付掲載


女性…世界経済フォーラムの2023年のジェンダーギャップ指数で146カ国中125位だったことや、日本政府の統計で女性労働者の68・2%が非正規雇用で働いていること、賃金もフルタイム同士の比較で男性の75・7%、非正規同士の比較で80・4%にとどまることを紹介。「女性の職業はしばしば補助的労働や臨時的雇用、パート労働に限定されている。その結果、キャリア昇進の機会が制限され、低賃金となっている」と強調。
障がい者…職場における差別と低賃金、見せかけだけ企業が雇用義務を果たす雇用代行事業の横行など「偽装雇用」に懸念を表明。
アニメ制作者…報告書は、アニメ制作者が長時間労働を強いられているにもかかわらず初任給が年間150万円しかなく、制作者の30・8%がフリーランスまたは個人事業者で労働法の保護を受けていないとし、「アニメ業界は、これらの問題に取り組み、制作者に人間らしい労働を拡大することが絶対に欠かせない」と。
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