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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

近づくG20サミット 断層③ 温暖化対策の前進へ試練

2017-07-07 15:46:26 | 国際政治
近づくG20サミット 断層③ 温暖化対策の前進へ試練

地球温暖化対策の新たな枠組みである「パリ協定」から離脱するというトランプ米大統領の表明が世界に衝撃を与えています。

トランプ政権 再交渉を要求
パリ協定は2015年12月の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択されました。温室効果ガス削減のための京都議定書(1997年採択)に代わる20年以降の枠組みです。世界の気温上昇を産業革命以前から「2度未満」に抑える長期目標を設定。今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることをめざします。歴史上初めて、すべての国が参加する合意となりました。
16年9月の20力国・地域首脳会議(G20サミット)に先立ち、パリ協定の批准を発表したのがオバマ米大統領でした。中国の習近平国家主席との共同発表でした。温室効果ガスの二大排出国の批准で機運が高まり、パリ協定は同年11月にスピード発効したのでした。
ところが、温暖化に懐疑的なトランプ政権の誕生で事態は急変しました。亀裂は今年5月に開かれた主要7力国(G7)首脳会議で表面化しました。気候変動の問題で米国が「コンセンサスに参加する立場にない」と、首脳宣言に書かざるをえなかったのです。
6月1日、トランプ大統領はパリ協定から離脱し、米国に有利になるよう再交渉を求める意向を正式に表明しました。
トランプ氏は「パリ協定は米国にとってこの上なく不公平だ」と主張。中国やインドが石炭の生産を拡大できるのに、米国は炭鉱を閉めなければならないとして、次のように述べました。
「私はパリの市民ではなく、(鉄鋼業の拠点)ピッツバーグの市民を代表するために選出されたのだ」



パリ協定からの離脱を表明するトランプ米大統領=6月1日、ワシントン(ロイター)

米国内外から批判噴き出す
こうしたトランプ氏の言動に対し、米国内外から一斉に批判が噴き出しています。
ピッツバーグのペドゥート市長はツイッターで反論しました。
「私たちは、市民、経済と未来のためにパリ協定のガイドラインに従う。ピッツバーグは世界を支持し協定を守る」
米国の経済界からもパリ協定への残留を強く求める声が出ています。「低炭素の米国を支持するビジネス界」キャンペーンにはインテルやナイキなど1000以上の企業・投資家が賛同。温暖化対策のメリットを強調しています。「いま正しい行動をとれば、雇用が創出され、米国の競争力を押し上げるだろう」
多くの市民団体が「暴挙」「背信行為」と離脱表明に強く抗議する声明を発表しています。地球環境市民会議(CASA)は指摘します。「地球温暖化問題での最大の『不公平』は、先進国といわれる国々の排出した温室効果ガスによって後発開発途上国などの人々がその影響を最も強く受けることである」
メルケル独首相は連邦議会での演説(6月29日)でG20に向けた決意を述べました。
「(パリ協定での)意見の対立は明らかであり、うわべだけとりつくろうのは不誠実だ。私は決してそんなことはしない」
トランプ政権の「米国第一主義」という試練にどう立ち向かうのか。G20の大きな焦点になりそうです。
世界第5位の温室効果ガス排出国である日本政府の姿勢も問われます。安倍晋三政権が決めた30年の削減目標は1990年比で18%という不十分なものです。石炭火力発電の増設など逆行する政策も進めています。
WWFジャパンは「積極的な解決策をもって、アメリカに対してパリ協定体制参画の意義を示していくことが必要である」と強調しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月6日付掲載


トランプ氏は、「米国経済の発展のためにはパリ協定から撤退しないといけない」という事だが、米経済界は意外にも一概にそれを支持しない路線のようだ。
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