きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

福島原発事故1年 レベル7 収束遠い現状

2012-03-12 21:11:59 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
福島原発事故1年 レベル7 収束遠い現状

最悪の「レベル7」となった東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)事故から1年。現状と今後は―。


2月に報道陣に公開された東京電力福島第1原発。左から三角屋根の建屋カバーに覆われた1号機、爆発がなかった2号機、大破した建屋上部でがれきの撤去が進む3、4号機=2月20日、福島県大熊町(代表撮影)

福島第1原発は昨年3月11日の地震と津波で全ての電源を失い、1~3号機は炉心溶融(メルトダウン)、1、3、4号機原子炉建屋は水素爆発で天井などが崩壊しました。
東電の解析によると、1~3号機とも溶けた核燃料が圧力容器の定位置から底部に落下、さらに格納容器へ相当量の燃料が落ちていると推定されています。落ちた燃料は格納容器底部にあるコンクリートの床を侵食したとみられます。
1月、2号機原子炉格納容器内に工業用内視鏡が入り、初めて内部の様子が明らかになりました。内壁の塗装ははがれ、水滴が絶え間なく落ち、放射線が飛び交っていました。




炉内監視の温度計故障
2月には、2号機原子炉内にある温度計の一つの指示値が急上昇し、異常を示す兆候ではないかと緊張が走りました。指示値は、その後一転して急降下するなど迷走したあげく、“故障”と判定されました。2号機のみならず、1、3号機でも多数の温度計が“故障”などで炉内の監視に使えないことが判明しています。
東電は昨年11月、2号機原子炉の気体を採取した際、半減期が9時間の放射性物質キセノン135が検出されたことで、初めて「再臨界の可能性」と気づくなど、場当たり的な対応に終始しています。
原子炉を監視する手段が少なくなっていることは深刻です。



建設中の大型の仮設タンク(2月20日、ロイター)

増え続ける汚染水処理
1~3号機の原子炉建屋大量の高濃度放射能汚染水やタービン建屋地下には、がたまっています。燃料を冷やすために原子炉へ注水した水が漏れたもので、含まれている放射性物質は、セシウムなど一部に限っても72万テラベクレル(昨年6月3日、東電発表)という途方もない量です。東電はセシウムなどを取り除き、再び原子炉に注水する「循環注水冷却」を行っています。
総延長4キロメートルに及ぶ設備では、トラブルや水漏れが相次いでいます。昨年12月には、設備の水漏れで、放射性ストロンチウムを大量に含む水が海へ流出し、沖合まで汚染しました。
汚染水の処理量は、すでに約26万トンに達しましたが、設備の運転を始めた時とほぼ同じ、約10万トンが建屋地下などにたまっています。
現在、福島第1原発の敷地内は、水をためるタンクで埋め尽くされています。
汚染水を処理した後に残る水をためて置くためのもので、総量は長さ25メートル、幅十数メートル、深さ1.2メートルのプールにして300杯前後に相当する約17万トン分。さらに4万トン分を増設する計画ですが、秋には満杯になるといい、東電は海洋放出の可能性も否定していません。
また、水処理で発生する、放射性物質を濃縮した廃棄物の最終的な扱いも検討せず、増え続ける汚染水処理の見通しはついていません。



廃炉への道険しく
燃料取り出し■ロボット開発…
政府と東電は昨年末、根拠もあいまいなまま福島第1原発が「冷温停止状態」にあるとして「事故の収束」を宣言し、廃炉への工程表を発表しました。2年以内に最も多く使用済み燃料がある4号機のプールから取り出しを開始し(第1期)、10年以内に1~3号機の原子炉から溶融燃料の取り出しを開始(第2期)、その後原子炉解体を始め30~40年で廃炉作業を終了する(第3期)としています。
溶融燃料の取り出しでは、2015年度末ごろから格納容器下部を補修し、水で満たす冠水作業に着手。19年半ばごろから圧力容器内の本格調査に入り、21年末までに取り出しを始めるとしています。




これらの作業は、いずれも放射線量の高い場所で行わなければなりません。人間の手で実施することは不可能で、遠隔操作ロボットなどを使うことが考えられていますが、そのためには多くの技術開発が必要です。
しかし、原子炉内がどうなっているのか、ほとんどわかっておらず、どのようなタイプや大きさのロボットをつくればいいか見当もつかない状況です。
「収束宣言」後、2号機では原子炉圧力容器底部の温度計などが次々故障、経済産業省原子力安全・保安院から「代替手段」を求められました。東電は圧力容器につながる配管に温度センサーを挿入する方法を示しましたが、実現は相当困難とみています。廃炉作業は、それよりはるかに困難で、道のりの険しさを暗示しています。



福島第1原発事故の経過
【2011年】

3月11日 
東日本大震災発生。津波で福島第1原発が冷却機能を喪失。政府が半径3キロ圏内に避難指示、10キロ圏内に屋内退避指示



事故発生翌日の東京電力福島第1原発。右から順に1、2、3、4号機。原子炉建屋は爆発していないが、すでにメルトダウンが進んでいた=2011年3月12日、福島県大熊町(時事通信社チャーター機から)

  12日 1号機原子炉建屋で水素爆発。避難指示を20キロ圏に拡大
  14日 3号機原子炉建屋で
水素爆発
  15日 4号機原子炉建屋が
水素爆発。2号機圧力抑制室圧力低下、異常発生の恐れ。原発正門で1万マイクロシーベルト。20~30キロ圏に屋内退避指示
  17日 自衛隊ヘリが3号機燃料プールに海水投下、地上から放水開始



東京電力福島第1原発3号機(左手前)に放水する陸上自衛隊の消防車=2011年3月18日(陸自中央特殊武器防護隊提供)

  24日 3号機地下で作業員3人が水に漬かり被ばく。高濃度汚染水の存在判明
4月 2日 2号機取水口付近から
高濃度汚染水が海に流出
   4日 高濃度汚染水の貯蔵先確保のため、汚染水を海に放出
  12日 原子力安全・保安院、事故評価をチェルノブイリに並ぶ
「レベル7」
  17日 東電が収束作業の工程表
  22日 政府が20キロ圏内を警戒区域に。計画的避難区域、緊急時避難準備区域も設定
5月12日 東電、1号機原子炉水位が大幅に低いと発表。メルトダウン確定
  17日 工程表見直し。汚染水を浄化・再利用する「循環注水冷却」目標に
  24日 東電が2、3号機も炉心溶融の可能性と発表
6月17日 高濃度汚染水処理システムが本格運転開始
  27日 原子炉の循環注水冷却を開始
7月19日 
政府・東電が工程表ステップ1達成と発表
8月18日 汚染水処理システムに追加された第2セシウム吸着装置が「本格」稼働
9月28日 1~3号機原子炉圧力容器温度、いずれも100度以下に
  30日 政府が緊急時避難準備区域を解除
10月28日 1号機原子炉建屋力バー完成、2号機格納容器内ガス管理システム運転
11月 2日 2号機格納容器内で放射性キセノン検出。再臨界の恐れ、ホウ酸水注入
    3日 東電、キセノン検出は「自発核分裂」と判断。再臨界の可能性否定
12月16日 政府・東電、冷温停止状態の達成と工程表ステップ2終了を発表
野田首相が「事故は収束」と宣言

【2012年】
1月28日 汚染水処理施設や注水ポンプで水漏れ。配管凍結で以降も相次ぐ



2月に公開された東京電力福島第1原発の構内。津波被害の跡が残り、がれきの間にパイプが巡る=2月20日、福島県大熊町(代表撮影)

2月13日 東電、2号機原子炉圧力容器の温度計上昇を「故障」と発表

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年3月11日付掲載


原発事故から1年経った今も、原子炉の中の状態はしっかりとつかめていません。
ロボット技術を開発してカメラで監視したり、除染をしたり、配管などの修復を試みていますが、思うようにはいっていないようです。

ウラン燃料が取り出せるまで温度を下げるには、今のような海水の循環だけでなく、もっと画期的な方法が必要のようです。

今では、メルトダウン・メルトスルーした核燃料はすくなくとも格納容器内にあるわけで、それでかろうじて外部への放射線量を抑えています。
それを取り出すとなると、放射線を出さなくなるほど安定状態にもっていかないといけません。ロボットがどうのこうのよりも、これが一番大変な作業だと思います。

これができないなら、チェルノブイリのように「石棺」にするしかないのですが、それは絶対さけないといけません。
福島は豊かな農業と漁業の地なのですから・・・

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