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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

福島県 飯館村 今とこれから② 汚染土の上に水田整備も

2023-11-24 07:08:38 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
福島県 飯館村 今とこれから② 汚染土の上に水田整備も


避難解除で福島県飯舘村に戻った伊藤延由(のぶよし)さんは東京電力福島第1原発事故当時、農業研修所「いいたてふぁーむ」の管理人として水田、畑を作っていました。
事故後、土壌や作物の放射性物質を測定し続けています。飯舘村で今月3日開かれたシンポジウムで、今年村でとれた天然のキノコ類にまだ高い値のセシウムが出ていることを報告。「放射線は測定しないとわからない」と話しました。
魚類の免疫学研究をしてきた東京大学名誉教授の鈴木譲さんが登壇。水生生物への放射線影響はこれまで十分な調査がなされていないといいます。池のコイや海洋での魚の調査では個体数が少なく放射線との関係は不明だとしつつも、汚染水(アルプス処理水)の海洋放出について、「海の生物への影響について、まともに議論すらされていない」と指摘します。



環境省が除染とともにおこなっている農地再生事業。除染で出た排出土でかさあげしているため、水田が見えない=福島県飯館村長泥

不安の声
シンポジウムを主催した飯舘村放射能エコロジー研究会(IISORA)共同世話人でNPO法人エコロジー・アーキスケープ理事長の糸長浩司さんは村の75%以上が森林に覆われ、宅地と農地は除染したものの、森林には放射性セシウムが残ったままで、住宅地の山に近い家屋裏の空間線量率は高いままだと指摘します。
さらに帰還困難区域の長泥地区では再生利用実証事業の名で村内の汚染土壌が水田の1メートル以上の深さに埋められ、その上に50センチの土が盛られ、野菜や花が試験栽培されていることを報告。将来、水田利用を想定して大型圃(ほ)場整備がされています。「法的根拠がないまま汚染土壌が利用されている」と糸長さんはいいます。
県内の木材を燃料として利活用するバイオマス発電事業についても説明しました。「飯舘みらい発電所」は東京電力も出資する「飯舘バイオマスパートナー」が事業を担うとされています。福島森林再生事業では、樹皮1キログラム当たり6400ベクレル以下は伐採し製材加工され市場化されています。「樹皮の入手が困難になり、より汚染された樹木や樹皮に頼る可能性もある」と糸長さん。「フィルターは100%除去できないという研究もあり、煙突から放射性セシウムを含む粉じんが飛散しかねない」と指摘しました。
質疑ではバイオマス発電について不安の声が相次ぎました。



来年の運転開始を目指しているとされる木質バイオマス発電所「飯舘みらい発電所」=福島県飯舘村蕨平(わらびだいら)

復興とは
主催団体IISORAの共同世話人で京都大学複合原子力科学研究所の今中哲二さんは原発事故直後と、現在の汚染状況を測定し、「山林などはほったらかしになっている」と強調。環境汚染を規制するもとになっている環境基本法にふれ「法にもとついた放射性物質の基準を設定すべき」だと訴えました。
写真家の豊田直巳さんは、事故直後から現地に入って写真を撮り続けています。「事故から12年。朽ちていく姿を見せまいと家も納屋も次々と消えている」といいます。「福島における復興とは何か。なかったことにされようとしている」と危機感をあらわにしました。(都光子)(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月21日付掲載


飯館村の75%以上が森林に覆われ、宅地と農地は除染したものの、森林には放射性セシウムが残ったままで、住宅地の山に近い家屋裏の空間線量率は高いまま。
「飯舘みらい発電所」は東京電力も出資する「飯舘バイオマスパートナー」が事業を担うと。福島森林再生事業では、樹皮1キログラム当たり6400ベクレル以下は伐採し製材加工され市場化。「樹皮の入手が困難になり、より汚染された樹木や樹皮に頼る可能性もある」。

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