きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

原発新規建設はどこでも高くつき失敗の恐れ エネルギー問題コンサルタント マイケル・シュナイダーさんに聞く

2023-06-06 07:07:37 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
原発新規建設はどこでも高くつき失敗の恐れ エネルギー問題コンサルタント マイケル・シュナイダーさんに聞く
政界の原発の現状は?

「原発回帰」が世界の流れのように描き原発推進を突き進む岸田政権。世界の現実はどうかー。世界の原子力産業の現状に詳しいエネルギー問題コンサルタント、マイケル・シュナイダー氏に聞きました。 ベルリンで桑野白馬記者



@Nina Schneider
マイケル・シュナイダー
ドイツ出身。1997年、高木仁三郎氏とともに「もう一つのノーベル賞」といわれるライト・ライブリフッド賞を受賞。92年以降、世界の研究者らと「世界の原子力産業現状報告」を発表


私は、人々の原発産業についての認識と、その実態の間に大きな隔たりがあるのではと、とても心配しています。事実に基づく議論や報道が希薄で、原発をめぐる政治的決定が現実から切り離されて行われています。
例えば日本では原発を60年以上稼働させる法案が議論されています。しかし60年稼働が法的に可能になることと、それが技術的に可能になることは別問題です。日本は10年以上も原発再稼働をめざしてきましたが、「運転可能」とみなされながら発電していない原発が23基もあります。フランスでも56基の原発は全て運転許可がありますが、去年は約半分が運転しませんでした。
世界で稼働中の400基以上の原発のうち、50年以上稼働しているのは十数基です。2017~21年の5年間に閉鎖された29基の平均稼働年数は42年です。これが事実です。金をかければ日本の原子炉が60年稼働する可能性はあるかもしれませんが、より安く高効率の他の選択肢と競争できる確率は限りなくゼロに近いと思います。




欧州建設ラッシュは誤解 過去30年で2件しかない
欧州に原発建設ラッシュが訪れているかのような誤解があります。しかし過去30年間に欧州連合(EU)内で原発建設が始まったのは05年のフィンランドと07年のフランスの計2件だけです。世界の原発着工件数のピークは1976年(44基)。建設中の原発基数のピークは79年(234基)。操業開始基数のピークは85年(33基)でした。どれも何十年も前の話です。


4月に閉鎖された独南部のネッカーウェストハイム原発の内部を視察する人々=5月22日(ロイター)

特徴的なのは現在建設中の大型原発の8割強は、核兵器保有国か核保有国が支配する企業が造っていることです。例外は韓国です。20~23年5月中旬着工の28件中17件が中国におけるもの、11件はロシアによるものです。
ロシアはベラルーシ、バングラデシュ、中国、エジプト、イラン、トルコで原発を建設しています。動機は他国を何十年もロシアに結びつける地政学的戦略にあり、エネルギー政策とは無関係です。
マクロン仏大統領は「原発ルネサンス」と言いますが、政治家が何と言おうと産業上の理由から原発建設は進んでいません。同氏は改良型欧州加圧水型炉(EPR2)6基の建設を望んでいますが、EPR2は設計の青写真すら存在しません。
07年に着工したフラマンビル3号機の建設経費は、公表された数字に基づく私の計算では少なくとも220億ユーロ(3兆2300億円)に達しています。それでもまだ稼働していません。六ケ所村の再処理工場(注)を見ても分かるように、原子力産業では資金投入しても成功しない事例が増えています。

(注)93年に着工したがトラブル続発で竣工(しゅんこう)が25回延期され、稼働の見込みが立たない。

フランスのある原発では最近、安全上重要なパイプで85%の深さまで亀裂が入っていたことが判明しました。それがなぜ今まで見つからなかったかというと、そこを点検していなかったからです。10年に1度の点検で初めて分かった。技術的問題が頻発し、22年に原発が全く発電しなかった日数は1基あたり平均152日でした。
たとえ仏大統領が「6基新設したい」と宣言しても、政府自身の評価によれば1番目が稼働開始しうるのは39~43年です。6番目は、うまくいかなければ51年まで稼働できません。「原発は温暖化対策に役立つ」と言っても、影響を及ぼすことができません。しかも、ほとんどの場合、実際の工事は遅れ、投資家は目途が立ちません。
日本で稼働中の原発で最後に建設が始まったのは玄海4号機の92年で30年以上前です。日本の原子力産業の現実は、現世代のエンジニア、技術者、経営管理者には、建設開始から送電線への接続まで一つのプロジェクトを完結させた経験がないということです。新規建設の試みはどれも、他国の多くのプロジェクト同様に高くつき、失敗に終わる可能性が極めて高いでしょう。

「しんぶん赤旗」日曜版 2023年6月4日付掲載


「原発回帰」が世界の流れのように描き原発推進を突き進む岸田政権。世界の現実はどうかー。
私は、人々の原発産業についての認識と、その実態の間に大きな隔たりがあるのではと、とても心配。
60年稼働が法的に可能になることと、それが技術的に可能になることは別問題。
欧州建設ラッシュは誤解 過去30年で2件しかない。
日本の技術者も、原発の設計から建設、稼働まで携わった人が残っていない。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 改定マイナンバー法 問題山... | トップ | 梅雨ってなんだっけ? 大雨... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー」カテゴリの最新記事