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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

男女賃金格差 公表から是正へ② 立証責任 使用者側に

2024-04-09 07:16:54 | 働く権利・賃金・雇用問題について
男女賃金格差 公表から是正へ② 立証責任 使用者側に

早稲田大学名誉教授 浅倉むつ子さんに聞く

―外国の賃金透明化法は賃金差別の個別救済を援助する機能があるとのことでしたが、日本の男女賃金差別の救済制度はどのように改善すべきでしょうか。

日本では、労働基準法4条が「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」と、性を理由にした差別を禁止しています。非常に重要な条文ですが、これだけでは性以外の理由によって生じた格差は4条違反だと判断されにくい問題もあります。
たとえば、コース別雇用における男性総合職と女性一般職の賃金格差や、正社員男性と非正社員女性の賃金格差は法的にどう評価されるのか。労基法4条だけでは救済されるか否かが明確ではありません。




私は、現行の賃金に関する性差別禁止原則を労基法4条1項として、新たに2項で「同一価値労働同一賃金原則」を定めるという法改正を提案しています。さらに3項で、性に中立的な職務評価制度により「同一価値」の判断はなされる、と規定することもあるでしょう。韓国ではそのような法改正を行いました。

―他にも課題はあるのでしょうか。
賃金差別の裁判では、立証責任の課題があります。賃金差別を立証する責任は原告側・労働者側にあり、使用者に情報開示を請求することはできません。たとえ「同一価値労働同一賃金原則」が規定されたとしても、男女の労働の価値が同一かどうか、同価値の仕事をしている比較対象労働者は誰か、その人の賃金はどれだけか、などの情報をもとにした立証を行うことが労働者に課されていれば、それを果たすのは難しい。
そのため、立証責任の軽減の仕組みが必要です。原告が賃金格差の存在を明らかにすれば、格差を正当化する証明責任は使用者に転換するという仕組みです。前回も指摘したように、諸外国ではこうした仕組みがあっても、労働者の負担が大きかったため、労働者から使用者に格差に関する情報開示を請求できる賃金透明化法にすすんだことは教訓的です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月6日付掲載


日本では、労働基準法4条が「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」と、性を理由にした差別を禁止。非常に重要な条文ですが、これだけでは性以外の理由によって生じた格差は4条違反だと判断されにくい問題も。
私は、現行の賃金に関する性差別禁止原則を労基法4条1項として、新たに2項で「同一価値労働同一賃金原則」を定めるという法改正を提案。
賃金差別の裁判では、立証責任の課題が。原告が賃金格差の存在を明らかにすれば、格差を正当化する証明責任は使用者に転換するという仕組み。
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