変貌する経済 軍事化の足音⑩ 機密が生活の自由奪う
海外旅行で「自分の身分を明かさない」。
第三者の前で「仕事の話はしない」―。
軍事機密保護のための「生活上の留意事項」などが書かれた「取扱注意」の資料を本紙は入手しました。

米国との関係
表紙には「三菱重工業株式会社横浜製作所」の「保全教育資料」と書かれています。日付は「平成15(2003)年11月」。社員や関連社員への「秘密保全教育」を行う目的で作成されていました。
武器に関する技術や性能、構造、使用方法などの情報は厳格に秘密とされます。それを取り扱う労働者らは日常生活上の自由まで束縛され、漏えいすれば重罰を科されます。
憲法で保障されている基本的人権が、米国従属下の軍需生産では守られません。日米安保条約が国民の諸権利の上に置かれるのです。資料には、そうした秘密保護の実態が赤裸々に書かれています。
「資料作成の主旨」にはこうあります。
「当社では、艦艇、航空機、ミサイル」などの生産・修理を行っており、「秘密として扱われる図面や機器がある」。このため「秘密を守ることが義務づけられている」。秘密が漏えいすると会社は信用を失い、「場合によっては米国との関係においても重大な影響を及ぼす」。「秘密を守る堅い意志」と「正しい知識」が必要である―。
資料によれば、「防衛」関係の秘密には2種類あります。「日本(防衛庁=当時)独自の秘密」と「米国政府から供与された秘密」です。前者は「秘密」「防衛秘密」、後者は「特別防衛秘密」「特定特別防衛秘密」と呼ばれます。漏えいは「アメリカ合衆国の不利益」になると重ねて強調しています。
日本独自の「防衛秘密」に関する罰則は「5年以下の懲役」。自衛隊法によって契約業者の社員も罰せられます。
国民にも重罰
米国から供与された「特別防衛秘密」に関する罰則は官民を問わず「10年以下の懲役」。「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」に基づくものです。
米国、中国、韓国などでは軍事機密漏えいの「最高刑が『死刑』」だと付記しています。
秘密情報が処理される施設は「立入禁止区域」に設定され、関係者しか入れません。関係者は秘密の種類に応じて「記章」を着用します。火災などの災害時に消防署員や警察官を立ち入らせる場合には「防衛庁の許可を得る」必要があります。
しかし米国は、こうした「秘密保全体制」でも「不備」だと主張しました。三菱重工やIHIが加盟する日本機械工業連合会が「秘密保護関連法の充実」を求めたのもこのためです。
「米国国防省は日本との防衛装備の共同開発生産における障害は『武器輸出三原則』と『秘密保護体制の不備』であると認識している」。「日本政府が政府全体の情報保全政策を持ち実施することが必要である」。「これらの体制が整えば」米国だけでなく諸外国との武器の「共同開発・生産も円滑に実施できる環境が整う」(11年3月「産業のグローバル化が我が国の防衛機器産業に及ぼす影響の調査研究報告書」)。
安倍政権による武器輸出解禁と秘密保護法の強行成立が一体だったことを示します。
秘密を知ろうとするメディアや一般国民にまで重罰を科す秘密保護法。その背後には、武器の共同生産を求める米国と、海外市場拡大を急ぐ日本の財界の存在があるのです。
9条を柱とする憲法体系と、米国に従って海外で戦争する安保体系との激突は、激しさを増しています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年11月22日付掲載
もともと、防衛といっても、日本国憲法の下で「秘密」があるってこと自体おかしいのです。
その防衛に関する秘密でも、日本の防衛省に関するものと、米軍に関するものがあって、米軍に関する者の方が重要に扱われているって事ですね。
いかに、アメリカに従属してるかってことが分かります。
海外旅行で「自分の身分を明かさない」。
第三者の前で「仕事の話はしない」―。
軍事機密保護のための「生活上の留意事項」などが書かれた「取扱注意」の資料を本紙は入手しました。

米国との関係
表紙には「三菱重工業株式会社横浜製作所」の「保全教育資料」と書かれています。日付は「平成15(2003)年11月」。社員や関連社員への「秘密保全教育」を行う目的で作成されていました。
武器に関する技術や性能、構造、使用方法などの情報は厳格に秘密とされます。それを取り扱う労働者らは日常生活上の自由まで束縛され、漏えいすれば重罰を科されます。
憲法で保障されている基本的人権が、米国従属下の軍需生産では守られません。日米安保条約が国民の諸権利の上に置かれるのです。資料には、そうした秘密保護の実態が赤裸々に書かれています。
「資料作成の主旨」にはこうあります。
「当社では、艦艇、航空機、ミサイル」などの生産・修理を行っており、「秘密として扱われる図面や機器がある」。このため「秘密を守ることが義務づけられている」。秘密が漏えいすると会社は信用を失い、「場合によっては米国との関係においても重大な影響を及ぼす」。「秘密を守る堅い意志」と「正しい知識」が必要である―。
資料によれば、「防衛」関係の秘密には2種類あります。「日本(防衛庁=当時)独自の秘密」と「米国政府から供与された秘密」です。前者は「秘密」「防衛秘密」、後者は「特別防衛秘密」「特定特別防衛秘密」と呼ばれます。漏えいは「アメリカ合衆国の不利益」になると重ねて強調しています。
日本独自の「防衛秘密」に関する罰則は「5年以下の懲役」。自衛隊法によって契約業者の社員も罰せられます。
国民にも重罰
米国から供与された「特別防衛秘密」に関する罰則は官民を問わず「10年以下の懲役」。「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」に基づくものです。
米国、中国、韓国などでは軍事機密漏えいの「最高刑が『死刑』」だと付記しています。
秘密情報が処理される施設は「立入禁止区域」に設定され、関係者しか入れません。関係者は秘密の種類に応じて「記章」を着用します。火災などの災害時に消防署員や警察官を立ち入らせる場合には「防衛庁の許可を得る」必要があります。
しかし米国は、こうした「秘密保全体制」でも「不備」だと主張しました。三菱重工やIHIが加盟する日本機械工業連合会が「秘密保護関連法の充実」を求めたのもこのためです。
「米国国防省は日本との防衛装備の共同開発生産における障害は『武器輸出三原則』と『秘密保護体制の不備』であると認識している」。「日本政府が政府全体の情報保全政策を持ち実施することが必要である」。「これらの体制が整えば」米国だけでなく諸外国との武器の「共同開発・生産も円滑に実施できる環境が整う」(11年3月「産業のグローバル化が我が国の防衛機器産業に及ぼす影響の調査研究報告書」)。
安倍政権による武器輸出解禁と秘密保護法の強行成立が一体だったことを示します。
秘密を知ろうとするメディアや一般国民にまで重罰を科す秘密保護法。その背後には、武器の共同生産を求める米国と、海外市場拡大を急ぐ日本の財界の存在があるのです。
9条を柱とする憲法体系と、米国に従って海外で戦争する安保体系との激突は、激しさを増しています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年11月22日付掲載
もともと、防衛といっても、日本国憲法の下で「秘密」があるってこと自体おかしいのです。
その防衛に関する秘密でも、日本の防衛省に関するものと、米軍に関するものがあって、米軍に関する者の方が重要に扱われているって事ですね。
いかに、アメリカに従属してるかってことが分かります。