きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 農業④ TPP先取りの「改革」

2014-11-10 22:29:34 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 農業④ TPP先取りの「改革」

安倍晋三政権は、環太平洋連携協定(TPP)など経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)の推進を成長戦略の重要な柱にしています。政府の「農業・農協改革」はそれを先取りで実施するものです。

経済連携を推進
政府が6月24日閣議決定した「再興戦略」は、経済連携を推進する目的に「世界全体の貿易・投資ルールづくりの前進を通じてわが国の対外経済関係の発展および国内の構造改革の推進を図る」ことを掲げました。また、「締結された協定の活用を促進し、企業の積極的な海外展開を促す」としました。
日本はこれまでに14力国・機構とEPAを締結しました。また、TPPや韓国とのEPAを含め九つの協定を交渉中です。貿易総額に占める協定締結国の割合であるFTA比率を2010年の18・9%から18年の70%へ高めるのが目標です。
TPPは現在、日米を含む12力国が交渉中で、結果は予断を許しません。しかし、TPPが国内の農林水産業に大打撃を与えることは確実で、政府の甘い試算でも、関税が撤廃された場合、農林水産物の生産減少額が約3兆円にのぼり、食料自給率が現在の39%から約27%へ低下します。
このような経済連携の推進は、多国籍企業化した大企業の利益に沿ったものです。他方で、小規模な農家が、「構造改革」の名で切り捨てられようとしています。



TPP交渉からの撤退を訴える諸団体の人々=9月24日、東京・銀座マリオン前

米暴落の旗振り
政府は13年11月、米の生産調整を18年度をめどに廃止すると決定しました。1995年に食糧管理法が廃止され、代って制定された食糧法の下で、米の流通は市場任せにされています。生産調整の廃止によって、政府は米の需給に全く責任を負わなくなります。
政府は、米の生産調整を前提に実施してきた農家の経営所得安定対策は、「構造改革にそぐわない」として、米の直接支払交付金も米価変動補填(ほてん)交付金も廃止すると決めました。直接支払交付金は、14年産から17年産まで従来の10アール当たり1万5000円の交付金を7500円へ半減して実施し、その後は廃止します。米価変動補填交付金は、14年産から廃止します。
これらはみな、TPPなど経済連携推進を先取りしたものです。経済連携推進で米の関税が撤廃または削減され、外国産米がいくらでも国内へ入ってくるようになると、国内での生産調整が全く意味をなさなくなるからです。
現在、14年産米の価格暴落が、交付金の半減・廃止と相まって、農家の死活問題となっています。政府は、米の需給について自らの責任を果たさず、市場任せにし、米価暴落に何の対策も講じない姿勢に固執することで、米価下落の“旗振り”となっているのです。
政府は、39%にまで低下した食料自給率を引き上げる責任も放棄しています。
それどころか、財務省は10月20日、20年度に50%を目指す目標の引き下げを求めました。目標を下げ、それに要する財政支出を削減する狙いです。西川公也農林水産相もこれに応じる考えを示しています。
財界・大企業のいいなりに、家族農業を切り捨てる「戦後農政の総決算」を目指す安倍政権の「改革」は、日本の農業をいっそうの危機に追い込み、地域経済にも壊滅的打撃を与える結果となりかねません。
(おわり)(この項は、北川俊文が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年11月6日付掲載


まがりなりにも日本の主食であるコメが、まったくの市場原理の価格にまかされることになれば大変です。
急峻で狭い耕地の多い日本のコメ生産地、特に景観の保全が保たれるべき棚田などには、市場の原理を超えたペイがされるべきです。
コメント
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