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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ニュース探偵 曜子 「集団的自衛権」の謎を解け

2013-02-07 21:10:35 | 平和・憲法・歴史問題について
ニュース探偵 曜子 「集団的自衛権」の謎を解け
「自国を守る」と思うと大間違いなんだ




メディアで当たり前のように使われる言葉なのに、実はよくわからない―。そんなことってありませんか。そんなニュースの言葉の「なぜ?」を、曜子さんとワカル君が探険し、週刊サンデー記者と疑問を解いていく新企画です。初めは「集団的自衛権って何?」です。


曜子さん

曜子、ワカル はじめまして。よろしくお願いします。
サンデー記者 なんでも聞いてください。
曜子 最近、ニュースで「集団的自衛権」って言葉をよく聞くの。安倍首相が熱心に言っているけど、なんか難しくて。どんな意味ですか?
記者 「自衛権」というと、ふつう、“攻撃から自国を守る”という意味と考えるよね。国連(国際連合)の決まりである国連憲章の51条では「個別的自衛権」として、自国を守る権利が認められている。それと並んで「集団的自衛権」という言葉も「固有の権利」とされている。しかし、「集団的」とつくだけで内容はガラリと変わるんだ。
曜子 えっ。そうなの。



ワカルくん
クラスに例えてみると?
記者 わかりやすいように、学校のクラスに例えて考えてみよう。クラスでいじめにどう対応する?
ワカル クラス全体で、いじめをなくすために話し合い、解決方法を考え、実行するよ。
記者 そう。国連も、過去の世界大戦があって、国連を舞台にした「紛争の平和的解決」を目標にしたんだ。紛争があれば、国連の場で話し合い、対策を集団的に決め、解決するという理念だ。これは集団的安全保障という考え方なんだ。
ところが、強い軍事力を持つアメリカや、旧ソ連は、国連の場とは別に、それぞれの“仲間”と軍事同盟を結ぶ方向に走ったんだ。日本は、日米安保条約という軍事同盟で、アメリカの傘下に入った。
ワカル クラスでいえば、力の強い子がそれぞれ子分を集めてグループをつくってにらみ合うようなものか。
曜子 「オレたちはオレたちのルールでやる」と、勝手に腕力をふるいだしたら困るわ。実際は違っても「これは仲間へのいじめだ」とか、「仲間が暴力をふるわれた」とか、言いがかりをつけて、暴れ出したら大変だわ。
記者 そうだよね。国連でも軍事同盟をひきいるアメリカなどが、“密接な関係がある国が攻撃されたら、自分が攻撃されなくても武力を使う権利がある”と主張した。国連でも強く主張して憲章のなかに、「集団的自衛権」として書き込ませたんだ。
ワカル そうか。国連を舞台に紛争解決するという理念に反するやり方なんだ。



サンデー記者
実際に使われているの?
曜子 実際に、集団的自衛権が使われた例にはどんなものがあるの?
記者 2001年5月に日本政府が国会で答弁している。たとえば、1960年代に始まった米国のベトナム侵略戦争や、旧ソ連によるアフガニスタン侵略(79~89年)などがある。ベトナム戦争では、当時、南ベトナムしていたアメリカが「北ベトナムから攻撃を受けた」などと主張した。あとでウソとわかったけど、東南アジアや韓国の軍隊まで集めて北ベトナムを攻撃したんだ。
ワカル 「自衛」というけど、実際は侵略だね。“親分”であるアメリカに「敵」を示され、グループで参戦する仕組みなんだ。
記者 だから、実際には「集団的攻撃義務」と呼ぶ人もいるんだ。
曜子 それは国連の目的とも反するし、何より日本の憲法9条と矛盾するよね。9条は国際紛争での武力行使も戦力保持も交戦権も否定しているでしょ。
記者 そう。だから歴代政府でさえ、「個別的自衛権は行使できるが、集団的自衛権は憲法の容認する自衛権の限界を超える」と国会答弁してきたんだ。
イラク戦争で米軍を助けるためにイラクにいった自衛隊も、「集団的自衛権は行使できない」という歯止めがあって実際の戦闘には加わらなかったんだ。
曜子 歯止めがなくなったら、自衛隊は海外で人を殺したり、殺されたりするようになるのね。絶対いやだわ。



昨年10~11月に陸上自衛隊饗庭野(あいばの)演習場(滋賀県)で行われた日米共同演習で、米兵の手助けを得て対戦車砲を構える陸自幹部(米陸軍のウェブサイトから)

どうしていま話題なの?
ワカル でも、いまなぜ集団的自衛権なの?
記者 アメリカはね、集団的自衛権の行使を可能にするよう日本に圧力をかけ続けてきたんだ。
曜子 そうなの。
記者 日本政府や自民党などに大きな影響力を持つ米元高官のアーミテージ氏とナイ氏が昨年8月に報告書を出して、集団的自衛権を行使できないことが「日米同盟の妨害物」とのべている。
ワカル でも憲法を変えないとできないよね。
記者 いや、安倍首相は、9条を変えなくても、「集団的自衛権を行使できる」と解釈を変えればいいと言ってるんだ。同じことを、最初の安倍内閣(06~07年)でやろうとして、諮問機関もつくった。それで、公海で米軍艦船が攻撃されたときに自衛隊の艦船が反撃する―など4ケースを可能にするよう提言している(表)。いま、安倍首相は「(4ケースで)十分かも含めて検討を」といっているから、さらに広がりかねないね。
ワカル そんな危険なことしたら、近隣諸国からも警戒されそうだ。
記者 日本が憲法解釈を変えるなどしたら、「韓・中・日間の平和は水泡に帰す」(韓国紙・中央日報)といった強い懸念の声が出ている。二度と侵略国家にならないという戦後日本の出発点を覆すものとみられているんだ。
曜子 国際的信用も失いかねないことなのね。

【安倍首相が自衛隊にやらせたい4つのケース】
①公海上で米軍の艦船が攻撃されたとき自衛隊の艦船が反撃する。
②米国に向かう可能性のある弾道ミサイルを日本が迎撃する。
③PKO(国連平和維持軍)などに参加している他国軍隊が攻撃を受けた際、救援のため駆けつけて武器を使用する。
④海外で他国軍隊が行っている攻撃と一体化する形で補給、運送、医療などの後方支援をする。
首相の諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)が2008年6月に出した報告書をもとに作成

「しんぶん赤旗」日曜版 2013年2月10日付掲載


まさに「少年探偵団」気取りの曜子さんですね。
迎え撃つは怪人二十面相ならず、日本の巨大メディアの流す報道のまやかしとウソに迫ります。
「しんぶん赤旗」日曜版の新規企画です。面白い趣向に期待します。
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