きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安斎育郎さんと考える 放射能汚染⑥ 人体に居座り細胞に損害

2011-09-05 19:51:20 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
安斎育郎さんと考える放射能汚染⑥
人体に居座り細胞に損害



 今回は、人体に取り込んでしまうとやっかいなストロンチウム90とプルトニウム239をとりあげます。

ストロンチウム
 ストロンチウム90はセシウム137などと並んでウランの核分裂反応でたくさん生成されます。一番問題になるのは、食品汚染によって体内に取り込んだ場合です。
 ストロンチウム90の物理的半減期は28年ですが、化学的にはカルシウムに似た性質があり、魚や人体の骨に集まる傾向があります。生物学的半減期(前号参照)は50年もあり、いったん骨に取り込まれると、なかなか出ていきません。





 ストロンチウム90はベータ線を出し、半減期28年でイットリウム90に変わります(図1)。イットリウム90は安定した放射性核種ではありません。半減期64時間でジルコニウム90に変化します。こうしてようやく放射能を出さなくなります。
 実は、親の核種であるストロンチウム90が出すべータ線よりも、娘の核種であるイットリウム90が出すべータ線のほうが4倍もエネルギーが強烈で、破壊力が大きいのです。したがってストロンチウム90が体内に入ったら、ストロンチウム90のべータ線だけでなく、イットリウム90のべータ線も、被ばくすることになります。
 ストロンチウム90を体内に取り込むと、長い間骨に居座り、その間にイットリウム90、ジルコニウム90へと変化する過程で骨が被ばくし、造血作用などに影響を及ぼします。
 骨の部位によってもストロンチウム90の濃度は異なります。一般に、成長をやめてしまった骨では取り込み量は少なく、細胞分裂の活発な骨の先端部分では相対的に取り込み量が多くなります。
 ところが、体内に入ったストロンチウム90はベータ線しか出しませんので、ガンマ線を測るホールボディーカウンターでは検出が困難です。そのため、尿などの排せつ物を測って、その値から推定せざるを得ません。
 福島原発事故では、62キロ離れた福島県内の土壌からもストロンチウム90が検出されました。海も汚染され、福島原発周辺の海底からも検出されています。
 小魚にストロンチウム90が含まれれば骨が汚染され、食物連鎖でより大きな魚に蓄積される心配があります。今後しばらくの問は、日本近海だけでなく、海流に乗って放射能が拡散した海域で、とれた魚介類の放射能汚染のレベルを把握し、監視を続けないといけません。



プルトニウム
 プルトニウムという元素はもともと自然界に存在しません。核燃料に含まれるウラン238に中性子があたると、ウラン239ができます。これがベータ線を出してネプツニウム239に変わり、さらにべータ線を出してプルトニウム239に変わります。
 プルトニウム239の物理的半減期は2万4千年と途方もない長さで、アルファ線を出してウラン235に変わります。最終的に鉛の原子になるまで次々とアルファ線やベータ線を出しながら変化していきます。(図2)





 プルトニウム239を呼吸などで体の内に取り込んでしまうとなかなか出ていかないので、たいへんやっかいです。体の中では骨や肝臓に蓄積されます。
 福島原発の敷地の外でもプルトニウム239が検出され、大きな不安を与えました。食物などに汚染が広がらないよう、厳しい監視が必要です。
 プルトニウム自身はアルファ線しか出しません。アルファ線は空気中を数センチしか飛びませんから、プルトニウムが体の外にある限り、外部被ばくの心配はありません。水の中では0・03ミリほどしか飛べません。
 しかし、体内で細胞1個分程度を飛ぶ間に、全てのエネルギーを使い果たすので、細胞に局所的に大きな損害を与えます。
 細胞には、自分と同じ細胞をコピーするための情報が含まれています。その設計図がDNAです。遺伝情報を含んでいるDNAの鎖を放射線が断ち切ると、自己修復ができなくなったり、間違った情報をもとにがん細胞ができる原因になります。
 このように内部被ばくでは、外から放射線を浴びた場合と違って、「ミクロのホットスポット」が体内にできてしまいます。こうした内部被ばくの危険をきちんと評価できるのかについては今も議論が続いています。
 内部被ばくのリスクがどれぐらいあるのか、重みづけの係数は、まだよく分かっていません。それが分からない以上、市民としては、少しでも被ばくを避け、被ばく線量を低くするよう求めていくことが重要です。

「しんぶん赤旗」日曜版 2011年9月4日付掲載


核種によって体外に排泄される期間(生物学的半減期)が大きく異なってくるんですね。ストロンチウムやプルトニウムは骨や内臓に蓄積され、造血作用に影響したり、はたまたDNAを壊してガンの原因を作ったり・・・。
真に厄介ですね。
特に問題になるのは内部被ばくで、そのリスクはよく分かっていないというのですから、「すこしでも被ばくをすくなくする」という放射線防護学の鉄則に徹することですね。
コメント
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