日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

空想の宮殿、シャルトル

2005-04-19 05:56:24 | フランス
なんかのんびりしたいんだよね~、
などと考え、1人有休を取って
電車でシャルトルにでかけていく。
モンパルナスから1時間、あっという間。
あのゴシック建築の至宝、
シャルトル大聖堂が目の前にそびえたつ。

今回の目的はカテドラルじゃないんだ。
もう何年も前から行きたい、行きたいと
思っていたピカシェットの家を訪問するため。
シャルトル郊外の墓守、レイモン・イジドール氏が
あちこちの家々が捨てた皿やガラスの破片を
何十年も拾い続けて作り上げた彼の夢の宮殿、
「ピカシェットの家」。ピカシェットとは
夕飯の残り物をたかる人のことらしい。

自分のことだから、地図も見ずにやみくもに
歩き始める。シャルトルは小さい町だから
すぐピカシェットの家も見つかるだろう、なんて。
あっという間に旧市街から出てしまうけれど、
一向に目的地は見えない。パーキングの脇に張っている
地図にふと目をやると、ピカシェットの家が。
もう少し南のほうに歩かないといけないらしい。
通りを歩いて、EURE川を渡って、緑地公園を
横切って。川沿いの公園では子供づれの家族が
思い思いに遊んでいる。

歩いても歩いてもピカシェット家にはたどり着かない。
しかも標識すらない。観光地としてあまり力を入れてない
のだろうか? 引き返そうかと思ったとき、
近くのバス停の地図にピカシェットの家が。
あとバス停二つらしい。と・・・遠い・・・。

ピカシェットの家の入り口は慎ましい細い路地。
路地を抜けたところに、申し訳程度の切符売り場がある。
4ユーロ10サンチームを払って中に。

中はまったく別世界。壁も、屋根も、窓も、
庭も、すべてイジドールが自分で作ったもの。
細かいガラスや皿の破片がモザイク模様にぎっしりと
埋め込まれている。ある部屋の壁にはモンサンミッシェルが、
ある門の壁にはシャルトル大聖堂が。
庭にはエッフェル塔が立っている。そして中には
きらきら光る王様の椅子が、いくつも備え付けられている。
色と模様の洪水。こりゃ、想像力の勝利だなあ。
見上げるとシャルトルの真っ青な春の空が広がっていた。




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