く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<女子バレー決勝ラウンド> 岡山にも勝機、鍵はサーブレシーブ

2012年03月14日 | スポーツ

16日岐阜で開幕、上位4チームが総当たり】

 女子バレーボール・プレミアリーグの決勝ラウンドが1618日、岐阜市の岐阜メモリアルセンターで開かれる。レギュラーラウンドの上位4チームが1回戦総当たりで戦い、その結果を受けて24日に1~2位チームによる優勝決定戦と3~4チームによる3位決定戦が行われる。レギュラーラウンドの戦績は東レ18勝3敗、久光製薬15勝6敗、デンソー14勝7敗、岡山シーガルズ1110敗で、東レの優位は否めない。岡山にとっては3日間厳しい戦いが続くが、若手を中心にチーム状態は上向いており、十分勝機はありそうだ。

【初戦の相手はレギュラーラウンド首位の東レ】

 対戦の日程は16日東レ×岡山、久光×デンソー、17日東レ×久光、デンソー×岡山、18日東レ×デンソー、久光×岡山。岡山にとっては初日に当たる東レ戦が決勝ラウンドの行方を左右しそうだ。レギュラーラウンドでは岡山が昨年12月の初戦をセットカウント3―2で取ったが、その後の2戦は0―3、1―3で敗れている。

 2日目に当たるデンソーともレギュラーラウンドは1勝2敗。ただ第1、第2戦を0―3、1―3と負けた後、2月の第3戦は逆に岡山が3―2で取っている。3日目に当たるデンソーには3戦全敗。だが第3戦は最終の第5セットまで持ち込んでおり、ほぼ互角の戦いを繰り広げている。

【チーム状態は上向き、持ち味の粘り強さ発揮を!】

 岡山にとって勝敗の鍵を握るのはサーブレシーブだろう。レギュラーラウンドでは相手サーブで崩されるケースが目立った。サーブレシーブ成功率は57.5%で決勝ラウンドに進出した4チームの中で最低だった。一方、アタック(スパイクやフェイントなど)決定率は3チームがほぼ40%で5本に2本が得点に結び付いたのに対し、岡山は33.3%と3本に1本しか決まらなかった。サーブレシーブをいかにきっちりセッターに戻して攻撃につなぐか。決勝ラウンドでもその課題改めて問われることになりそうだ。

 今季の岡山は随所に粘り強さが目立った。レギュラーラウンドではジュースになったセットが7回あったが、そのいずれも奪っている。また最終の第5セット(15点先取)まで持ち込んだ試合は3勝1敗と分がいい。決勝ラウンドでも最後まであきらめない粘りの姿勢が欠かせない。2位以上となって優勝決定戦へ! 上り調子の最近のチーム状態からみて、それも決して夢ではない。

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<スミレ> 可憐な姿が人気。日本に50種余、世界には450種も

2012年03月13日 | 花の四季

 春の野山や庭の片隅でうつむき加減に咲くスミレ。その可憐な姿が日本人の感性をくすぐるのか、古くから人気が高い。世界にはおよそ450種もあり、日本では50種余りが見つかっている。別名に「相撲取草(すもうとりぐさ)」。

 「すみれの花さくころ頃」は宝塚歌劇の代表曲の一つだが、歌劇場のある兵庫県宝塚市はそのスミレを市の花に指定している。奈良県香芝市の市花もスミレ。ほかにも滋賀県大津市の「叡山すみれ」、長野県小諸市の「こもろすみれ」など、スミレを町の花に指定しているところは多い。 

 万葉集にはスミレを詠んだ歌が長歌1首も含めて4首。ただ、花を愛でるというより山菜として詠んだものらしい。スミレの俳句を多く残したことで知られるのが小林一茶。「鼻紙を敷て居(すわ)れば菫哉」。草むらで一休みしようと鼻紙を取り出して腰を下ろすと、そばにスミレが咲いていた――。春ののどかな光景が目に浮かぶようだ。松尾芭蕉も「野ざらし紀行」の中に「山路来てなにやらゆかしすみれ草」の一句を残している。夏目漱石は「菫程な小さき人に生まれたし」。

 写真の「ニオイスミレ」はヨーロッパ原産。「スイートバイオレット」ともいわれ、古くから香水の原料として栽培されてきたという。この小さな花から香りのエキスを取り出すには一体どれほどの量がいるのだろうか。めしべの先端、柱頭が下に曲がっているのが特徴。花びらは5枚で藍色が多いが、八重咲きもあり、色も白や薄いピンクなどもある。「生きてゐて紫濃ゆき菫摘む」(久保内雅子)。

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<BOOK> 『絶対にゆるまないネジ 小さな会社が「世界一」になる方法』

2012年03月12日 | BOOK

【若林克彦著、中経出版発行】

 ネジは締めてから時間がたつと振動などで次第にゆるんでしまうもの。そう思っていたから、このタイトルに目が留まってつい手に取った。著者は東大阪にあるナット専業メーカー、ハードロック工業の経営者。当のネジ「ハードロックナット」は国内では新幹線や瀬戸大橋、さらに今年5月開業の東京スカイツリーなどにも採用されている。新幹線の場合、16両編成で実に約2万個もの同社製ナットが使われているという。海外でも英国やドイツ、台湾の高速鉄道に採用されており、内外でこのナットへの信頼性は高い。

    

 商品開発のきっかけがおもしろい。大阪の住吉大社で鳥居を見上げていて、継ぎ目の要所にクサビが打ち込まれているのに気づいた。「ボルトとナットの隙間にクサビを打ち込めば、強いゆるみ止め効果が得られるのではないか」。若林社長はそう直感した。だが試作品を見て顧客は「これではあきまへんで」。作業現場で1本1本クサビを打ち込む手間ひまなどない、というのがその理由。試行錯誤の末に、凹形状の下ナットに凸形状の上ナットをねじ込む「ハードロックナット」が誕生した。

 この超ロングセラー商品のおかげで、1974年の創業以来、一度も赤字を出したことがないという。2009年には第3回ものづくり日本大賞の特別賞を受賞、さらに翌10年には第35回発明大賞を受賞――。同社は今、内外から熱い視線を注がれている。生涯現役という若林社長(78歳)の座右の銘は「アイデアは人を幸せにする」。10歳のとき、疎開先の信州で大人が手作業で一つひとつ種をまく姿を見て、楽に種まきができる「種まき機」を開発して喜ばれたという。「たまご焼き器」やトイレの「ペーパーホルダー」は創業まもない会社を支えてくれた。若林社長はいま〝東大阪のエジソン〟といわれているらしい。

 「中小企業が大手企業と互角にやっていこうと思ったら、アイデアで勝負するしかありません。ちょっとした身の回りのこと、困ったこと、こんなものがあればいいのにと感じたこと、それがアイデアなんです」。そのアイデアを基に他にないオンリーワン商品をいかに作り出すかがカギという。成功の3要素として「好奇心、情熱、計画性」を挙げる。今後の目標は航空宇宙産業の市場開拓。昨年9月には航空・宇宙・防衛分野の品質管理システム「JISQ9100」の認証も取得した。ものづくりに携わる中小企業にとって、同社の行き方は一つの指針を示しているといえそうだ。

 若林社長の趣味は鉄道模型。東大阪の本社内商談ルームには鉄道ジオラマがあり、台湾高速鉄道の模型が走る。第3工場2階には1周80メートルのミニSLのレールも敷かれ、最大20人を乗せて時速20キロで走るという。工場見学に行くと最後に必ず乗れるそうだ。一度訪ねてみようかな。

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<世界フィギュア選手権> 26日開幕。真央、3度目Vへ再び3Aに挑戦?

2012年03月11日 | スポーツ

【ライバルは伊コストナーと米国勢2人か】

 今月26日からフランス・ニースで開幕するフィギュアスケート世界選手権のエントリーリストが発表された。女子シングルには日本から浅田真央、鈴木明子、村上佳菜子の3人が参戦。四大陸選手権で惜しくも金メダルを逃した浅田がトリプルアクセル(3A)で2年ぶり3度目の頂点をめざす。グランプリ(GP)ファイナル2位の鈴木への期待も大きい。日本勢にとっては、欧州選手権覇者カロリーナ・コストナー(イタリア)や、四大陸選手権優勝のアシュリー・ワグナーら米国勢2人が手ごわいライバルとなりそうだ。

過去の世界選手権の上位選手

    「金」       「銀」         「銅」

2007年  安藤美姫    浅田真央           金妍兒(韓国)

2008年  浅田真央     C・コストナー(伊) 金妍兒(韓国)

2009年  金妍兒(韓国)  J・ロシェット(加) 安藤美姫

2010年  浅田真央     金妍兒(韓国)     レピスト(フィンランド)

2011年  安藤美姫     金妍兒(韓国)       C・コストナー(伊)

【コストナー世界ランク1位、ワグナー全米に続き四大陸も制覇】 

 欧州選手権ではコストナーがトータルスコア183.5で2位以下を大きく引き離して圧勝した。169㌢の長身を生かしたダイナミックな滑りが魅力で、GPファイナルではパーソナルベストを更新して金メダルを獲得している。現在の世界ランキングは1位。過去の世界選手権では銀1回(2008年)、銅2回(05年と11年)で、今回初の金を狙う。

 欧州選手権2位のキーラ・コルピ(フィンランド)も侮れない。6年前、17歳で世界選手権に初参戦、〝フィンランドの妖精〟と人気を集めたが、欧州選手権では4年前の5位から毎年1つずつ順位を上げており、着実に力をつけてきた。欧州からは欧州選手権3位のエレーネ・ゲデヴァニシビリ(グルジア)、世界ランキング3位のアレーナ・レオノワ(ロシア)も参戦する。レオノワはGPファイナルの銅メダリスト。

 欧州勢以外では米国のワグナーに勢いがある。全米選手権の初制覇に続いて、四大陸選手権でも安定した滑りで浅田を抑え、トータル192.4の自己ベストで優勝した。米国からはもう1人、全米選手権2位のアリッサ・シズニーがエントリーした。佐藤有香コーチの指導を受けており、前季GPファイナルの優勝者。今季GPファイナルは足の負傷もあってやや精彩を欠いて5位だったが、実績ではワグナーを上回る。米国の出場枠は2人で、四大陸選手権3位のキャロライン・ジャンは補欠に回った。

【日本勢3年連続Vなるか? 鈴木にも頂点のチャンス】

 日本勢3年連続Vがかかった大会。浅田が2年ぶり3回目の頂点を果たせるかにも注目が集まる。前年優勝の安藤美姫と2位の金妍兒(韓国)がともに今シーズン休養中で参戦しないこともあって、その可能性は十分ある。四大陸選手権では武器のトリプルアクセルがショートプログラム(SP)、フリーとも回転不足と判定された。そこをどう修正できるか。

 鈴木は現在世界ランキング2位。GPシリーズではカナダ杯2位、NHK杯優勝、そして上位6人で競うGPファイナルは2位と、このところ安定した演技を見せており、金も夢ではない。17歳の村上の世界ランクは浅田より1つ上の7位。四大陸選手権ではSPで3位につけていながら、フリーが振るわず4位とメダルに届かなかった。初参戦の昨年の世界選手権は8位。持ち味の思い切りの良さで悔いの残らない演技を期待したい。

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<BOOK> 『光りのくにへ 親鸞聖人の足跡を訪ねて』

2012年03月10日 | BOOK

【写真・文 井上隆雄、淡交社発行】

 筆者は1940年、滋賀県生まれ。京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)卒業。民族芸術や仏教美術などの写真家として活躍、「チベット密教壁画」「ビルマの仏塔」「みちのく風土記」など多くの著書がある。本書は親鸞聖人の足跡を5年がかりでたどったものだが、ふんだんにカラー写真を盛り込んでおり、自然風景の一瞬一瞬を切り取った名写真集にもなっている。

   

 「少年のこころ」から「自然から 民衆から」まで全34章。足跡をたどる旅は親鸞生誕の地、宇治に近い日野から始まる。9歳の春、出家得度し、20年にわたって比叡山で修行を積む。ところが1207年思いもかけない事態に巻き込まれる。「承元の法難」。師の法然は土佐へ、親鸞(当時の僧名は善信)は越後への流罪となる。京から越前、加賀を通って越後へ。その道程は諸説あってはっきりしないだけに、足跡をたどる旅も大変だったに違いない。

 ただ、筆者は足跡の検証よりも、流罪の旅路の過程で「僧に非(あら)ず、俗に非ず」として自ら「愚禿(ぐとく)」と名乗った親鸞の心中に何が起きたかに重きを置いた。「豊かな自然に囲まれた田舎人の営み、素朴な人情や温もりのある心に直に接した流人は、難行や仏道理念になかった『何か』と出会い、熱い魂を揺さぶられたのであった」

 親鸞の著書「教行信証」の文中には「海」という単語や述語は58回、「光」は41回も出てくるという。越後で光輝く大海を前にして「かつて経験したことのない精神の飛翔を感得したのではなかったのか」。そして4年にわたる草庵での流人としての生活も「その時間の光陰は坦々として無機的なるものではなかった。むしろ、己の魂や生命と対座し自問する日々であった」。その間、親鸞は恵信尼を伴侶とし、子どもをもうける。

 赦免となった親鸞は京に戻らず、信濃、上野(群馬)を経て、常陸(茨城)に向かう。「遺弟同法等、全く一処に群会(ぐんえ)すべからず」。その法然の遺言に従ったのだろうか。関東で20年余り念仏を説き続けた親鸞が故郷に戻ったのは60歳を過ぎてから。それから90歳で入滅するまで「教行信証」などの著述に専念する。ただ、長子の背信に伴う「善鸞義絶」や京都大地震などもあって、「京での歳月は、決して安らかな仏道専一、念仏三昧の時の流れではなかった」。親鸞は最後に「某(それがし)、親鸞閉眼せば、賀茂河にいれて魚にあたうべし」と言い残したという。

 筆者は最終章で足跡をたどる旅をこう振り返る。「足跡の確かな痕跡は少ないとはいえ、伝承のその地その場に佇んでいると、或いは雲の流れを見てきたとき、一本の樹や野の草々、風や雨や雪、あまねく注がれてくる太陽の光。そしてまた、海を望んでいたとき、山道を歩いていたとき、その情景の何処かにも、風や光に混じってその時を歩くかのような聖人の気配が感じられてきた」。5年余の旅路はまさに親鸞聖人と共にたどる〝同行二人〟だったようだ。

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<ネコヤナギ> 春の息吹を伝えてくれる銀色の産毛

2012年03月08日 | 花の四季

【猫のしっぽに見える? まだ帽子かぶった花穂も】

 ヤナギの一種で、雌雄異株。猫のしっぽに似ていることから、この名前がある。またの名を「エノコロヤナギ」。「エノコロ」は犬の子のことで、漢字では「狗尾柳」と書く。川辺など湿地を好むため「カワヤナギ」とも。

 

 飛鳥、奈良時代には「川楊(かはやぎ)」といっていたらしい。万葉集にはその川楊を詠んだものが3首。そのうち1つに「山の際(ま)に 雪は降りつつ しかすがに この川楊は 萌えにけるかも」(巻10―1848)。山にはまだ雪が降っているのに、このネコヤナギは芽吹いています。もう春ですねぇ~。ちょうど今ごろ、冬から春への季節の変わり目を詠んでいる。

 冬の間、花穂はあずき色の固い1枚の鱗片(芽鱗)に包まれている。春が近づき、そのコートを脱ぎ捨てると、銀色の毛で覆われた楕円形の花穂が姿を現す。中にはまだ芽鱗が取れず、頭の上に帽子をかぶったようなものも。

 普段、影が薄いが、毎年この時期になると「待ってました!」とばかりに、葉っぱが出る前に銀色の花穂で自らを誇示する。カワヤナギというだけあって、ネコヤナギにはやはり川辺が似つかわしい。上高地の梓川べりで見たネコヤナギが目に浮かぶ。陽光の中で光り輝やいて、北アルプスに遅い春の訪れを告げていた。「猫柳奈良も果なる築地越し」(加藤楸邨)。

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うさぎの「く~にゃん物語」⑧ ウサギの楽園「大久野島」をご紹介!

2012年03月07日 | ウサギ「く~にゃん物語」

【私の仲間が300羽。癒やしを求め年に10万人も】

 「大久野島」は広島県竹原市の沖合いにある小島。昔は化学兵器の製造工場があって「毒ガス島」といわれていたとか。だけど今では島中に私の仲間が約300羽もいて、「ウサギの島」と呼ばれているのよ。きょうはその大久野島をご紹介しますね。

  

  

  40年ほど前、島外の小学校で飼われていた数羽が放たれたのが始まり。それからどんどん増えて、今では船着き場や国民休暇村の周りなどそこかしこに。ウサギと触れ合いたいという人たちが毎年10万人もやって来るんだって。

 「大久野島に行くとウサギに癒やされるんだ。できれば毎月1回ぐらいのペースで訪ねたい」。こう話してくれたのはご主人様のお友達。関西からご夫妻2人で1月には1泊で、2月にも日帰りで行ってきたとか。しかも大好物のキャベツを両手に何玉も抱えて。私、ウサギを代表してぜひ感謝状を差し上げたいわ。お写真もそのお友達が撮ってきてくれたの。

 仲間が島で安心して暮らせるのもほとんど天敵がいないため。だから犬の連れ込みは禁止。飼っていたウサギを棄てていくのもご法度よ。ウサギの世界にも縄張りがあって、見知らないウサギはいじめられて、なかなか生きていくのが大変なの。それにかわいいからといって、むりやり抱き上げたり、耳をひっぱったりしないでね。

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<BOOK> 『母と餡パンと学童疎開』

2012年03月06日 | BOOK

 【青木民男著、編集工房ノア発行】

 著者は1956年、京都大学卒業後、関西初の民間テレビ会社、大阪テレビに入社。後に毎日放送に移籍してテレビドラマディレクターやプロデューサー、テレビ制作局長などを務めた。タイトルのものを含め6編を収録。いずれもテレビ局退職後、同人誌に寄せたエッセー風の自伝で、母の思い出や集団疎開、バイオリンとの出合い、転校した福岡県の小倉中学時代の冒険旅行などを、歯切れのいい文体でさわやかに綴っている。  

      

 最も印象に残ったのが4編目の「ひと冬の奈良ものがたり」。京大めざし一浪中の筆者が奈良で友人と受験勉強の合宿中のこと。毎朝散歩していた飛火野で、シューベルトの「冬の旅」の一節を歌っていると、初老の男性に声を掛けられる。名刺には大学文学部教授の肩書き。誘いに応じ翌日、教授宅を訪ねると、レコードから「冬の旅」が聞こえてきた。京大在学中、学徒動員で出征し南方で亡くなった一人息子が大好きだったという。「聴くのが辛くてレコードは仕舞っていたんですが、昨日偶然にも貴方が歌っていられるのを聞いて、息子のためにもう一度聴いてやろうと決心し、貴方たちをお招きして今日掛けてみたのです」。読んでいてぐっと胸に迫るものがあった。

 2人は奈良を離れる前に再度、高畑町の教授宅を訪ねるが、そこに一人息子の婚約者だった女性も来ていた。高校の音楽の先生になるというその女性がピアノでベートーベンの「熱情」を弾いてくれた。「戦争がなければ、若い二人は幸せな生活を送っていたであろうに、また先生も夫人も悲しい思いをすることもなく、平穏な、或いは可愛い孫に囲まれた生活を送っていただろうにと、僕は目を閉じながらこの人たちの心中を考えていた」。高畑町といえば、志賀直哉が1938年まで約10年間過ごし「高畑サロン」に多くの文人が集まった所。その高畑町での60年前の受験生と教授との出会い、心の交流の情景が目に浮かぶようだった。この「奈良ものがたり」にはあと1つ、東京の音楽学校受験のため隣家でピアノを練習していた清楚な女性との心ときめく出会いも描かれている。この1遍だけでもこの本を手に取った価値があると思った。

 ちょうど1世紀ほど前、女性の間で「203高地」という髪型がはやっていたこともこの本で初めて知った。203高地は日露戦争の激戦地になった中国・旅順の丘陵地(標高203メートル)。束ねた髪を高くまとめた髪型を当時そう呼んでいたという。その髪型で筆者の母親が女学校の卒業式に参列したらしいという書き出しで最初の1編は始まっていた。筆者の夫人は有名なバイオリニスト、辻久子さんの妹さん。その夫人が父(筆者の義父)、辻吉之助氏に「息子に趣味程度でいいから(バイオリンを)教えてやって」と頼んだら、「趣味程度に教えろとはどういう風に教えることや。趣味もプロも教え方は一緒や」と言われたという。ごもっとも!

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<女子バレー> やった! 岡山シーガルズ、最終戦で悲願の4強入り

2012年03月04日 | スポーツ

【前季わずか1勝、今季11勝。セット率でJTを上回る】

 

 女子バレーボールのプレミアリーグは4日、レギュラーラウンドの最終戦を行い、岡山シーガルズとJTが11勝10敗で並んだが、セット率で岡山がJTを上回って4位となった。岡山は最後の最後で5位から4位に浮上、上位4チームで競うセミファイナルラウンド(3月16~18日、岐阜メモリアルセンター)への出場権を勝ち取った。

 

2011/2012シーズン女子プレミアリーグ・レギュラーラウンド順位表

 

1位 東 レ     18勝 3敗

2位 久光製薬    15勝 6敗

3位 デンソー    14勝 7敗

4位 岡 山     11勝10敗(得セット41、失セット41)

5位 J T       11勝10敗(得セット39、失セット41)

6位 パイオニア    7勝14敗

7位 トヨタ車体    5勝16敗

8位 NEC            3勝18敗

    4~5位はセット率による。1~4位は準決勝ラウンドに進出、7~8位はチャレンジリーグ上位1~2位チームとの入れ替え戦に回る。

 

【東レが後半独走。久光、デンソーを抜いて2位に】

 

昨年12月から8チームが3回総当たりで行ってきたリーグ戦は、東レが第3節に入って独走し1位。第2節まで首位争いを演じていたデンソーは息切れし、最終戦で久光製薬にも抜かれ3位に後退した。この3チームは早々と準決勝ラウンド進出を決めていたが、4位争いは熾烈を極めた。最終週の2試合を残して2月26日時点で、JTと岡山の両チームが10勝9敗で並び、得セット(36)と失セット(37)も同じ。得点率(総得点÷総失点)でわずかにJTが上回っていた。

 

 3月3日、JTはパイオニアに勝ったが、岡山は久光に善戦及ばず敗戦。この段階でJTが勝率で一歩前進したが、決着は4日の最終戦にかかっていた。4日、JTは首位の東レにセットカウント0―3で負けた結果、11勝10敗で得セット39、失セット41で終わった。一方、岡山はトヨタ車体に大一番の緊張からか1セット目を簡単に取られたものの、3―1で勝って11勝10敗で並び、得失セットとも41。ずっと5位だった岡山が最後の21試合目で、JTをセット率の差で上回って4位となった。

 

【若手の成長がチームに活力を与える】

 

              

   (2月11日、兵庫県尼崎市のベイコム総合体育館で)

 

岡山は第3節の初戦で過去2戦とも勝っていたNECに取りこぼし、その段階で通算7勝8敗と黒星が先行して、目標の4位以内に黄信号がともった。だが、その後、過去2戦とも負けていたデンソー、JTに続けて勝ち星を挙げたのが大きかった。さらに3月3日、過去2戦とも1―3で負けていた久光に善戦、2―3と2セット取ったのもセット率勝負での4位浮上につながった。

     

前季わずか1勝(25敗)しかできず、ほとんど補強もなかったチームが今季、ここまで健闘するとは誰が想像しただろうか。前年の悔しさをばねにした一人ひとりの努力の賜物だろう。森和代や山口舞、福田舞らベテラン勢の活躍に加え、高校生セッターの宮下遥をはじめ川畑愛希、関李香、丸山亜季ら若手の成長がチームに活力を与えた。今季の戦いぶりには、このチームがまだ発展途上にあることを痛感させられた。

 

実業団チームばかりのプレミアリーグの中で唯一のクラブチーム。一般のファンや大阪国際滝井高校(岡山シーガルズ所属選手22人中14人の出身校)の生徒たちの熱い応援が、コート上の選手たちを後押ししたのは間違いない。準決勝ラウンドは4チームの1回総当たりで、3日間続けて行われる。その結果を受けて3月24日、3位決定戦と優勝戦がある。今季の締めくくりとして、岡山には来季につながるような悔いのない戦いを繰り広げてほしい。

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<クリスマスローズ>ブーム続く早春の主役、「合格の花」受験生に人気

2012年03月03日 | 花の四季

 

 

 花期は主に2~4月。それなのになぜクリスマス? 西洋で「クリスマスローズ」といえば「ニゲル種」という品種を指す。12月のクリスマス前後から咲き始めバラのような花を付けるので、こう名付けられた。

日本では主に春に開花する「オリエンタリス種」が多く出回っているが、それらもまとめてクリスマスローズと呼んでいるわけだ。ローズといってもバラ科ではなくキンポウゲ科。ややうつむき加減に咲き、清楚で気品のあるたたずまい。豊富な色や柄、寒さに強く育てやすいことなども受けているようだ。

花弁のように見えるものは実はつぼみを包む萼(ガク)。花弁は蜜腺に退化している。花期が長いのもガクが花びらのように開くため。受験シーズンを挟んで長く咲き続ける。萼が落ちない→学が落ちない。しかも萼片は通常5枚。そこで「5ガク」→「合格」。そんな語呂合わせから「合格の花」として持てはやされるようになったらしい。

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<卓球女子世界ランク>石川佳純、自己最高の6位に 福原愛11位に後退

2012年03月02日 | スポーツ

 

19歳石川、3年前の99位からこつこつと6位にまで】

 

石川佳純が世界卓球連盟(ITTF)の世界ランキング(3月1日発表)で、順位を前月から1つ上げ自己最高の6位になった。石川が100位以内に登場したのは3年近く前の2009年4月(99位)。その1年後の10年3月には25位、11年1月には11位。そして翌月2月には8位とついにトップ10入りし、半年前の9月には福原愛を抜いて7位まで上げていた。

 

この間、国内では2010年に女子初のインターハイ(高校総体)3連覇を達成、昨年1月には全日本選手権も初制覇した。実に22年ぶりの高校生女王の誕生だった。今年1月の全日本では決勝で福原愛の前に涙をのんだものの、ここまで順調に世界ランキングを駆け上がってきた。

 

世界卓球連盟3月1日発表の女子世界ランキング

(カッコ内は前月)

  

1位  (1位)  丁寧(中国)

2位  (2位)  劉詩ブン(中国)

3位  (3位)  郭炎(中国)

4位  (4位)  李暁霞(中国)

5位  (5位)  馮天薇(シンガポール)

6位  (7位)  石川佳純(全農)

7位  (6位)  郭躍(中国)

8位  (8位)  王越古(シンガポール)

9位  (10位) 武楊(中国)

10位 (12位) 帖雅娜(香港)

11位 (9位)  福原愛(ANA

12位 (20位) 馮亜蘭(中国)

13位 (11位) 平野早矢香(ミキハウス)

 

【石川以外の日本勢は軒並み順位落とす】

 

トップ10を守ってきた福原は9位から11位に、平野早矢香は11位から13位にそれぞれ後退。その他、石垣優香は40位→45位、森園美咲は43位→51位と順位を下げた。それだけに日本勢の中で石川の躍進が目立つ。ただ少し腑に落ちないことも。過去1カ月間、石川が国際大会で大活躍したというニュースにほとんど接していなかったからだ。

 

2月の戦績を振り返ると、上旬のカタールオープンでは2回戦で格下の韓国・石賀浄(当時29位)に敗退。下旬のアジア選手権シングルスでは4回戦まで順当に勝ち上がったが、準々決勝で中国・丁寧(1位)に1―4で敗れた。丁寧は昨年11月から世界ランキング1位を死守する実力者だ。アジア選手権団体では準決勝のシンガポール戦で馮天薇(5位)に1―3、ユ・モンユ(35位)にも2―3で破れて、日本は対戦成績2―3で決勝進出がかなわなかった。

 

【石川、近く5位の可能性も。五輪出場選手では実質4位】

 

それでは、なぜ石川の世界ランクが1つ上がったのか。ランキングポイントを見て、ようやく分かった。7位だった石川は2月の2738から2727にポイントを少し下げたが、6位だった中国・郭躍は2751から2704へ、石川以上に大きく落としていた。つまり石川の6位浮上は郭躍の大きな落ち込みがあったからこそといえる。その郭躍は石川と同じ左利きで、石川が尊敬する卓球選手として挙げる憧れの人だった。

 

ついに世界で6番。実にすごいことだ。上位4人の中国勢(30362880)とはまだポイント差がかなり開いているが、5位のシンガポール・馮天薇(2733)との差は僅かに6ポイント。石川は近く5位まで上がる可能性も出てきた。

 

 ロンドン五輪の卓球シングルスには男女それぞれ世界の上位28人が参戦する。出場枠は1カ国・地域につき2人まで。そのため上位4位までを独占している中国もこのうち2人しか出場できない。ということは現時点で、石川は五輪参加選手に限ってみると実質4位ということになる。福原の場合は7位に相当する。

 

【小学生の時「愛ちゃんみたいに強くなり五輪に出たい」夢実現も間近】

 

石川のことを初めて知ったのは「山口の卓球少女 愛ちゃんめざす」という2005年2月2日付の読売新聞の記事だった。11歳の小学6年生が全日本選手権で大学生のお姉さんを2人も負かしたこと、小学校を卒業したら単身で大阪の卓球強豪中学に入ることなどを紹介し、「愛ちゃんみたいに強くなり、五輪に出て活躍したい」とのコメントで結ばれていた。

 

それから丸7年。その少女は夢に向かって努力を積み重ね、一歩一歩階段を上り詰めてきた。期待に応えて年々成長してくれる様を見せてもらえることほど楽しいことはない。この2月23日で19歳になったばかり。まだまだ成長途上にある。3月下旬にはロンドン五輪団体戦の前哨戦ともいえる世界選手権(ドイツ・ドルトムント)が控えているが、そこでも石川はさらに成長した姿を見せてくれるに違いない。

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<スキー女子ジャンプW杯>山形・蔵王で10~12戦 高梨沙羅、初Vの予感

2012年03月01日 | スポーツ

【残り4戦、日米〝サラ〟対決、いよいよ佳境に】

 

 昨年12月からヨーロッパを転戦してきたノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子は3月3~4日、舞台を山形市の蔵王に移し1012戦を行う。15歳の日本のエース、高梨沙羅(北海道・上川中)は出場3試合連続で米国の17歳、サラ・ヘンドリクソンに次いで2位。その間、高梨はユースオリンピックでの金メダルに続いて、1週間前の世界ジュニア選手権ではついに初めてサラを破って優勝。W杯でも表彰台の一番上へ、高梨への期待が高まっている。

 

W杯第3戦以降のサラ・ヘンドリクソンと高梨沙羅の成績

      1回目飛距離 2回目飛距離 ポイント

第3戦(1月8日・ドイツ、出場選手49人)

1位 サラ  107.5m     104.5m    273.2

2位 高梨  100.5m      99.5m     242.6

第8戦(2月11日・スロベニア、出場選手46人)

1位 サラ   85.5m     87.0m     246.5

2位 高梨   86.5m     88.5m     240.2

第9戦(2月12日・スロベニア、出場選手43人)

1位 サラ   91.5m     95.0m     259.6

2位 高梨   90.0m     90.5m     246.7

 

高梨はW杯初戦が6位、続く第2戦は17位だったものの、第3戦で2位となり初の表彰台。第4~7戦はユースオリンピックなどに出場のため欠場したが、そのユースオリンピック(1月14日・オーストリア、出場選手14人)では圧勝で金メダルを獲得した。その間、サラはW杯で優勝を重ね、第9戦までに1位6回、2位2回の好成績を収め、通算の総合順位ではトップを走っている。

 

世界ジュニア選手権の成績

(トルコ、出場選手46人)

<個人戦>2月23

1位 高梨   108.5m    107.5m     276.5

2位 サラ   105.0m    100.5m     265.0

<団体戦>2月25日(参加9カ国、米国は不出場)

1位日本、2位ドイツ、3位スロベニア

 

 だが、世界ジュニアでは高梨がついにサラをとらえ、金メダルを獲得。団体戦でも最長不倒の大ジャンプ(1回目103.0m、2回目104.5m)を2本飛んで、日本の優勝に大きく貢献した。高梨は途中欠場もあってW杯での総合順位は現在7位。1位のサラと2位のダニエラ・イラシュコ(オーストリア)に水をあけられているが、3位との差はあまり離れていない。W杯は蔵王の3戦に続いて3月9日、ノルウェー・オスロで最終戦を迎える。残り4戦。高梨には総合順位でも表彰台に上がる可能性が残っている。

 

 高梨の活躍は日本の女子ジャンプ陣にも活気と刺激を与え、同世代の中高校生も伸びてきた。高梨と共に世界ジュニアの団体を制した伊藤有希(北海道・下川商高)、岩渕香里(長野・飯山高)、山田優梨菜(長野・小谷中)への期待は大きい。この3人も蔵王でのW杯でなんとか上位に食い込んで、2年後のソチ(ロシア)冬季五輪に向け飛躍へのきっかけをつかんでもらいたい。

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