く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<スミレ> 可憐な姿が人気。日本に50種余、世界には450種も

2012年03月13日 | 花の四季

 春の野山や庭の片隅でうつむき加減に咲くスミレ。その可憐な姿が日本人の感性をくすぐるのか、古くから人気が高い。世界にはおよそ450種もあり、日本では50種余りが見つかっている。別名に「相撲取草(すもうとりぐさ)」。

 「すみれの花さくころ頃」は宝塚歌劇の代表曲の一つだが、歌劇場のある兵庫県宝塚市はそのスミレを市の花に指定している。奈良県香芝市の市花もスミレ。ほかにも滋賀県大津市の「叡山すみれ」、長野県小諸市の「こもろすみれ」など、スミレを町の花に指定しているところは多い。 

 万葉集にはスミレを詠んだ歌が長歌1首も含めて4首。ただ、花を愛でるというより山菜として詠んだものらしい。スミレの俳句を多く残したことで知られるのが小林一茶。「鼻紙を敷て居(すわ)れば菫哉」。草むらで一休みしようと鼻紙を取り出して腰を下ろすと、そばにスミレが咲いていた――。春ののどかな光景が目に浮かぶようだ。松尾芭蕉も「野ざらし紀行」の中に「山路来てなにやらゆかしすみれ草」の一句を残している。夏目漱石は「菫程な小さき人に生まれたし」。

 写真の「ニオイスミレ」はヨーロッパ原産。「スイートバイオレット」ともいわれ、古くから香水の原料として栽培されてきたという。この小さな花から香りのエキスを取り出すには一体どれほどの量がいるのだろうか。めしべの先端、柱頭が下に曲がっているのが特徴。花びらは5枚で藍色が多いが、八重咲きもあり、色も白や薄いピンクなどもある。「生きてゐて紫濃ゆき菫摘む」(久保内雅子)。

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