く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<コアジサイ(小紫陽花)> 小さな両性花が密集した清楚な花姿

2016年06月07日 | 花の四季

【アジサイ特有の装飾花はなし、秋には黄葉】

 アジサイ科アジサイ属の落葉小低木。名前が示す通り小型のアジサイで、枝は横に広がるがあまり高くならず1mからせいぜい1.5m程度。「シバ(柴)アジサイ」の別名を持つ。本州の関東以西と四国、九州の明るい山林内や林縁、林道沿いなどでよく見かける。花期は6月頃で、枝先に直径5cmほどの小さな散房状花序を出し、うすい青色の小花をたくさん付ける。白花のものは「シロバナコアジサイ」と呼ばれる。

 コアジサイの最大の特徴は装飾花がなく全て小さな両性花だけということ。花弁5枚の小花から10個の雄しべが突出する。ガクアジサイやヤマアジサイ、ツルアジサイなどアジサイ属の多くは萼(がく)が変化した装飾花が花の周りを飾り立てて昆虫を誘う。ガクアジサイがヨーロッパに渡って品種改良されたセイヨウアジサイは、両性花まで装飾花に変化し手毬状になって日本に逆輸入された。コアジサイにはそんなアジサイに特徴的な装飾花がないのだ。ない代わりに、両性花は爽やかな香りを発散して虫たちを呼び寄せる。

 秋になると、ヤマアジサイやカシワバアジサイなどと同じように黄葉する。「オクタマコアジサイ」はコアジサイと同属のガクウツギの自然交雑種とみられ、その名は東京・奥多摩地方で最初に発見されたことに因む。別名「チチブ(秩父)コアジサイ」。「アマギコアジサイ」はコガクウツギとの交雑種で、植物学者牧野富太郎博士が伊豆半島の天城山系で発見し命名した。いずれもコアジサイ同様、装飾花はない。

 関西のコアジサイの群生地として有名なのは奈良・奥吉野の足ノ郷(あしのごう)峠。川上村~東吉野村を結ぶ林道沿いの杉木立の中に500m以上にわたって群落が続く。この峠は標高が約970mで、長距離自転車走「山岳グランフォンドin吉野」(今年は7月2~3日開催)のコースにもなっている。見頃は例年6月中旬から下旬にかけて。関東では奥多摩の高水三山(高水山・岩茸石山・惣岳山)や栃木県矢板市の高原山の群生地などがよく知られる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする