【7回目、夏休みに合わせ1億年以上前の昆虫化石を展示】
医療法人康仁会「西の京病院」(奈良市六条町)の4階多目的ホールで、22日から「第7回世界の化石展」が始まった。展示品は同医療法人理事長、比康臣さんのコレクションで、副題に「化石は太古の記憶、神の彫刻である」。例年12月に開いていたが、今回は「昆虫」をテーマとしたことから、大昔の昆虫の化石を子どもたちにも見てもらおうと夏休み中の開催となった。28日まで。(下の写真は昆虫化石を前に説明する比康臣さん)
昆虫は今から3億年ほど前の古生代のデボン紀と石炭紀の間に現われたといわれる。展示化石はその後の中世代のジュラ紀(2億年前~1億5000万年前)と白亜紀(1億5000万年前~6500万年前)のもの。内骨格を持たず空中を飛び回る昆虫は化石になりにくい。とりわけ新生代ならともかく、1億年以上前の中生代の昆虫化石は見つかる地域が世界でも限られているという。その地域はドイツ・ゾルンホーフェン(ジュラ紀)、中国・遼寧省(ジュラ紀後期~白亜紀前期)、ブラジル・サンタナフォーメーション(白亜紀中期)――の3カ所。
展示中の昆虫化石はトンボ、チョウ、ハチ、セミ、バッタ、ツユムシ、ハエ、カ、ゴキブリ、カゲロウ、アメンボ、ゲンゴロウなど。いずれも〝5体満足〟の貴重な化石で、中でも中国で見つかったタテハチョウとヤママユガの化石(下の写真2段目の右側2つ)は超希少で価値が高いという。比さんによると「ジュラ紀のチョウの化石は世界でもわずか20体ほどといわれている」そうだ。タテハチョウの前足や触覚、ヤママユガの翅(はね)の目玉模様なども鮮明に残っている。
同じ中国で見つかったクツワムシ(3段目左から2つめ)も目や触覚から翅の縞模様まで完璧な状態。大きなバッタの化石は体長が16cm以上あり、翅を広げると優に30cmはあったとみられる。アメンボも体長が18cmと巨大(最下段の左端)。ジュラ紀のトンボの化石も多数展示されている。ジュラ紀といえば恐竜の時代。昆虫も全体的に大型だったようだ。比さんによると「ジュラ紀のトンボは大きく、翅の付き方や頭部の形、目の大きさも現在のトンボと違っていた。だが、白亜紀になると今のトンボと寸分変わらなくなってくる」。1億年以上前の昆虫化石を目にする機会はめったにない。それだけに来場者の多くが「すごい」「きれいね」と感嘆の声を上げながら化石に見入っていた。