く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<フヨウ(芙蓉)> 雪舟も好んで描いた薄紅色の清楚な一日花

2012年08月28日 | 花の四季

【園芸品種スイフヨウは咲き始め真っ白、夕方には紅色へ】

 アオイ科フヨウ属で、同じ仲間にムクゲやハイビスカス、モミジアオイなどがある。直径が10cmを超える大きなピンク色の花をつけるが、朝開いて夕方にはしぼむ一日花。短命なことから薄命な美女にたとえられる。「芙蓉峰」は富士山の雅称。美しい山容をフヨウの美しさに重ねて、こう名付けたのだろう。フヨウは花鳥画の画材としてよく描かれてきた。とりわけ室町時代の画僧、雪舟はフヨウを好んで描いた。

 中国では唐の時代以前に芙蓉といえばハスの花を指した。唐の詩人・白居易は「長恨歌」の中で楊貴妃の美貌を「芙蓉如面柳以眉」と称えた。この「芙蓉」もハスのこと。フヨウそのものは唐代まで「木芙蓉」と呼ばれた。こうしたことから日本の国語辞書でも、フヨウを引くと「アオイ科の落葉低木」と並んで「ハスの花の別称。美人のたとえ」(広辞苑)、「ハスの花の古名」(大辞泉)といった説明が出てくる。美しい顔立ちの人を指して「芙蓉の顔(かんばせ)」という表現があるが、この「芙蓉」もハスを指すようだ。

 スイフヨウ(酔芙蓉)はフヨウの改良によって生まれた園芸品種。咲き始めは真っ白だが、午後になると淡紅色、そして紅色と酒に酔って顔が赤くなるように変化する。八重咲きが多いが一重もある。花期はフヨウより少し遅く9~10月ごろが見ごろ。アメリカフヨウは北米原産で、花がフヨウより一回り大きく直径20cmを超える。

 フヨウは福岡市の「市の花」。1979年、市制90周年の記念事業で市民公募によって夏の花としてフヨウ、冬の花としてサザンカが選ばれた。滋賀県長浜市の舎那院は7月から9月にかけ約500株のフヨウの花が咲き誇る。聖徳太子生誕の地といわれる奈良県明日香村の橘寺もフヨウの名所。京都市山科区の大乗寺は最近「酔芙蓉の寺」として人気を集め始めた。挿し木などで年々株数を増やしており、今では約1300株が本堂を囲む。毎年9月中旬から10月中旬にかけて「酔芙蓉祭」が開かれる。

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