く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<切り絵作家・達富弘之さん> 親子で切磋琢磨、京の風景や祭りの一瞬を切り取る!

2012年08月24日 | ひと模様

【娘さんと2人で京都新聞に『切り絵エッセー』を丸10年連載】

 この数カ月の間に藤城清治さんや久保修さんら影絵、切り絵の第一人者の作品に触れ、切り絵はまさに創造力とともに集中力、忍耐力が問われる世界であるということを痛感させられた。その世界に親子で挑戦し続けている父と娘がいる。京都府亀岡市の達富(たつとみ)弘之さんと長女の睦さん。地元の風物や祭り、童話の世界などを切り取った2人の切り絵の作品には温かさがあふれ、描かれた人の息遣いまで伝わってくる。

  

 達富さんは1944年亀岡市生まれ。切り絵を始めたのは京都府立園部高校の数学の教諭をしていた約40年前の1971年。クラブ活動の一環として生徒と共に始めた。独学だったが、その後2000年には娘の睦さんと共にウクライナ青年芸術連合の招きでキエフ市内の画廊に出展するまでに。こうした実績から京都新聞から声が掛かり、翌01年11月から2人で毎週交互に「切り絵エッセー」の連載を始めた。題材は主に丹波や丹後、京都市内の風景や祭り、生活の一こまなど身近な話題を取り上げ、それにエッセーを添えた。

 親子交代の切り絵は男と女、親と子の見方が作品に反映されて、それぞれに味わいがあったのだろう。連載は好評で丸10年、昨年の11月まで続いた。この間、読者や知り合いからは「先生(達富さん)のもいいが、娘さんの作品はもっと素晴らしい」といった声も。「先生のはどんくさいけど、飽きない」と言ってくれる人もいた。そう言われるのがうれしかった。写真は「お月見」と「京北町の百年桜」。2枚とも弘之さんの最新作だが、いずれも「ほっ」とさせてくれる温かみがある。

  

 達富さんは2008年から毎年「切り絵 日本むかしばなし」をテーマとするカレンダーの製作を依頼されている。月めくりで12枚。取り上げる題材は全て任せてもらっているが、近畿発祥の昔話の後は関東もの、その後は中国地方と順番にも気を使うそうだ。今製作中のものは何と再来年の「2014年版」カレンダー。しかも8月末が締め切りという。「いつもギリギリになって気分が乗った時に一気に仕上げる」そうだ。

 その傍ら長年、地元亀岡市東竪町の切り絵サークルの指導にも当たっている。毎年秋の「亀岡祭」に合わせ色鮮やかな切り絵灯籠を製作、町内に並べてきた。過去5年間にサークルで製作した灯篭は全部で100基。今年は「宵山」をテーマに11種22基を新たに製作中という。それらの新しい灯篭は10月24日夜(亀岡祭宵宮)の「第3回あかりの祭典」に参加し、JR亀岡駅前から会場の南郷公園までを灯す予定だ。

 達富さんは現在68歳。8年前、府立桃山高校を最後に教員生活にピリオドを打ったが、その後も毎年年末には「PTA研修」と称して、翌年の干支の切り絵作りを指導してきた。チェス・オリンピアード(五輪)への2年連続参加、五目並べを競技化した「連珠」の海外普及、ボルネオなど海外での緑化活動……。これまで多方面で精力的に活動してきた。切り絵については「ここまで長く続くとは思っていなかったが、これからも楽しい切り絵を作っていきたい」。達富さんにとって切り絵は自己表現とともに地元の魅力再発見、住民同士の交流などの大切な手段にもなっているようだ。

コメント (1)
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