く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<サルスベリ(百日紅)> 真夏にカキ氷のような花で存在感を発揮!

2012年08月15日 | 花の四季

【「笑いの木」「こちょこちょの木」「怠け者の木」などの異名も】

 ミソハギ科で原産地は中国南部。唐代の都、長安の紫徴(宮廷)に多く植えられていたことから漢名は「紫薇(しび)」。日本には江戸時代に渡来し、貝原益軒の「花譜」(1694年)に百日紅として登場する。「百日」は花期が長いことを示す。花の色は主に赤やピンク。白いシロサルスベリ、淡紫色のウスムラサキサルスベリなどもある。

 幹がツルツルで、木登り名人の猿でも登りにくいため「猿滑り」とも書く。だが実際にはやすやすと登っていくそうだ。ツルツルになるのは成長に伴って樹皮の古いコルク層が剥がれ落ちていくため。このため「ハダカノキ」「ハダカギ」と呼ぶ地方もあるという。「笑いの木」や「こちょこちょの木」の異名も持つ。その心は? 「裸の幹は振動が伝わりやすく少し触れるだけで枝先の花や葉が揺れるため」、いや「弱い風でも枝先の花がくすぐったそうに身をよじるため」など諸説がある。サルスベリは葉を遅くつけ早く落とす。葉が茂る期間が短いため「怠け者の木」とも呼ばれる。「自分は時々この木の横着なるに、人間同様腹を立てる事あり」と、芥川龍之介が怠け者呼ばわりしたのが始まりという。

 サルスベリは長生きだ。高野山普賢院のサルスベリは樹齢約250年で、寺院や文化財の多くが焼失した1888年の高野山大火でも奇跡的に生き残った。毎年ピンクの花が参拝者を和ませてくれる。このほか川崎市の泉福寺、青森県弘前市の革秀寺、岐阜県恵那市の上田薬師堂などのサルスベリも樹齢なんと300~400年という。サルスベリは材質が堅く腐りにくいため、カヌーや床柱、麺棒などの材料として利用される。

 中国原産とあって中国、台湾には紫薇(サルスベリ)を市花に制定しているところが多い。江蘇省徐州市、四川省自貢市、台湾基隆市……。一方、日本でも岡山市や東京都調布市、徳島県美馬市、沖縄県与那国町などで市や町の花や花木になっている。埼玉県秩父市には「百日紅街道」があり、「秩父ミューズパーク」では7月から9月にかけ色とりどりのサルスベリが斜面広場に咲き誇る。広島に「甲山さるすべり街道」、岐阜にも「清流サルスベリ街道」がある。「炎天の地上花あり百日紅」(高浜虚子)、「散れば咲き散れば咲きして百日紅」(加賀千代女)。

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